役員研修・ガバナンス関連のブログ - 11ページ目 (163ページ中) - 取締役、役員、投資家など、誰でも投稿できる!

企業文化は戦略に勝る ~変革の時代における「企業文化への取組み」の薦め~

執筆者 渡辺 樹一

マネジメントの父、ピーター・ドラッカーの「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という言葉はよく知られています。また、経営学者のマイケル・ポーターは著書「競争の戦略」において、「戦略とは、独自の地位、競合よりも優位なポジション、そして持続的な発展、持続的な競争優位を構築するためのフレームである」旨を述べています。

「企業とは人であり、その知識、能力、絆である」、これもドラッカーの言葉ですが、経営者の戦略を実現するのは社員であり、企業文化の醸成や変革にいかに取り組んでいくかは企業の未来を左右します。本稿では、従来、企業経営では焦点が当てられてこなかった「企業文化」に光を当て、企業文化への取組みを行う意義と手法等をテーマにお話させていただきます。

1.今、企業が企業文化に取り組むべき理由

「組織文化」は「組織においてその構成員が共有する価値観・行動様式」を言い、それは個々の構成員の実際の具体的な行動と組織環境・組織風土にあらわれます。「企業文化」は企業内の組織毎に存する組織文化の集合体ですが、企業が企業文化に取組む場合、最初の障壁となるのは、企業文化そのものを担当する部門を持たないことです。企業文化から染み出てくる「従業員のコンプライアンス意識」は法務部等のコンプライアンス部門、企業文化から生み出される「従業員のエンゲージメント」は人事部門が担当し、企業文化から創り出される従業員の業務遂行上のビヘイビア(行動)は内部監査部門が業務監査としてチェックしていますが、これら3つのアプローチは、いずれも企業文化そのものに直接踏み込むものではありません。この障壁を解決するのが、企業文化への直接的アプローチである「組織診断に基づく組織開発」ですが、そのお話は後半とし、前半では、「今、なぜ企業が企業文化に取り組むべきなのか」について、「企業価値の向上」、「企業価値の棄損防止」、「企業風土の形成要素」という3つの視点から考察したいと思います。

1-1 企業価値向上の視点

大和総研:上場維持基準の適合に向けた進捗状況の開示

政策調査部 主任研究員 神尾 篤史

「■本来の上場維持基準を充たさず、経過措置の適用によって東証の新市場区分に上場した会社による「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況」(進捗状況)の開示が行われ始めた。なお、現時点での進捗状況の開示は任意のものであり、経過措置が適用されているすべての会社に義務が生じているわけではない。」

レポート全文PDFダウンロード

ウェビナー:失われた30年を40年にしない為の日本企業とコーポレートガバナンスのあるべき姿とは? ~経営とガバナンスの視点は噛み合うのか〜

 

失われた30年を経て、稼ぐ力を取り戻すために導入された、コーポレートガバナンス・コードが導入されてから7年、コーポレートガバナンスは日本企業の価値を高めることができたのでしょうか。地政学リスクの高まり、パンデミック、戦争が次々と起きるVUCAの時代に、日本企業の舵取りに必要なガバナンス、戦略、経営はどのようなものでしょうか。

本ウェビナーでは、多くの企業、組織でボードメンバーとして活躍されている橋本孝之氏と、投資家サイドの経験を活かしコーポレートガバナンス推進に努めるニコラス・ベネシュ氏が、日本企業の現状と必要施策を本音で語り合います。日本型vs.米国型のような単純比較を超えて、今の外部環境に照らして求められる、リーダー、機関設計、人材育成、海外子会社管理について真剣に議論します。その後のパネルディスカッションでは、視聴者からの質問も取り混ぜて、社外取締役経験を持つ弁護士である市川佐知子が、両氏からさらに詳しくお話を伺います。 橋本氏は山城経営研究所の社長として、ベネシュ氏はBDTIの代表理事として、それぞれ経営層とガバナンス人材の育成に長年取り組んできた実績を有しています。二人の議論は噛み合うのでしょうか、すれ違うのでしょうか。企業価値を高めるための取締役会の役割を考える経営者、社外取締役に是非とも聞いていただきたいウェビナーです。

【開催日時】  2022年7月25日(月)15:30 ~18:00

【参加方法】  ZOOMビデオ会議形式(実名を伏せたい方は表示名を匿名などへ変更して下さい。オーディオはオフにして下さい。)

【参加費】   無料

【定員】     100名

メトリカル:コーポレートガバナンスはどのくらい改善したか2021年(4)- ROAとROEの変化率とコーポレートガバナンス・プラクティス

前の記事「How far has corporate governance progressed in 2021 (3)」で、Metricalユニバース1,704社の2020年12月および2021年12月時点の時価総額の変化率とTobin’s q、ROAおよびMetricalスコアのそれぞれの変化率で相関を分析の結果について述べました。その分析結果は、下表の通り、時価総額の変化率とTobin’s qおよびROAおよびMetricalスコアのそれぞれの変化率において有意性のある正の相関が確認されたました。

今回のテーマは時価総額の変化率にはROEよりもROAと有意性のある正の相関が確認されたのはなぜか?に焦点を当てたいと思います。ご案内の通り、ROAは会社の収益力の言わば地力を示すものであるのに対し、ROEはその収益力に資本構成を変更することによって引き上げることができるから、ROAは業績改善によって直接的にインパクトがあるのに対し、ROEは業績向上に直接拠らずとも引き上げることができるということができます。本記事ではROAが改善した(然るに時価総額が増加する傾向がある)会社にコーポレートガバナンス・プラクティスの観点で何か変化があったのかを検証してみたいと思います。

Metricalユニバース1,704社の2020年12月および2021年12月時点のROAの変化率をコーポレートガバナンス・プラクティスの各評価項目において相関分析をしてみます。下表ではボードプラクティスとキー・アクションで分けて示しています。2021年の1年間のROAの変化率には、会社が実際に行動するキー・アクションの中の現金保有スコアと配当方針スコアが有意性のある正の相関、成長方針スコアとは有意性のある負の相関がみられました。会社はROAが1年間で変化したことによってボードプラクティスを変更する動機にはならないということができるかもしれません。一方で、キー・アクションに関してはROAが1年間で変化した場合に会社は配当を増やすことによって現金を減らした傾向があることが確認できました。ROAの変化率と成長方針との間に有意性のある負の相関があることに関してはさらに分析していく必要がありますが、利益の増加によってバランスシートに積み上がった現金を増配による株主還元に利用したものの、成長投資に現金を利用する面では説得力がまだ不足していると推測することができるのかもしれません。

日本の大手機関投資家の「ESG」の真実…

BDTIのガバナンス改善の使命に賛同される皆様へ

公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)は、日本で最も影響力のある(1)取締役・執行役員研修(2)コーポレート・ガバナンスに関するデータの提供者であります。この度、2021年度の活動報告をご紹介させていただきます。特筆すべきは、昨年度の企業向け個別研修以外のプログラム参加者のうち、32%以上が女性であったことです。(こちらで報告書をダウンロード)。

BDTIの研修活動は増加いたしましたが、日本のコーポレート・ガバナンスの改善に大きなインパクトを与え続けるためには、投資家からの寄付が欠かせません。そのために、ここ数年、私自身の給料も最低限まで減らすことで活動を支えています。(実際、過去12年間、BDTIへの寄付を差し引くと、私自身文字通りゼロ報酬で国内株式市場と日本経済の改善のために働いてきたことになります)。

BDTIは政府の監督下で活動しております。2009年にNPO法人としてBDTIを設立し、その後活動が「公益」に寄与すると認められました。政府の特別認定を取得することで、日本でベストプラクティスおよび役員研修の習慣を普及させるための最も「支援しやすい」プラットフォームを築き上げました。 特に、私が2013年にコーポレートガバナンス・コードを政府に提唱した後(取締役研修の項目も含めて)、日本の機関投資家がスチュワードシップ・コードでの責任やESG・サステナビリティ投資活動がより具体的な成果を上げる観点からは、公益法人BDTIの活動は支援しやすいと考えました。 結局のところ、「G」(取締役会)の質は、「E」と「S」などが株主、ステークホルダー、そして社会に価値をもたらすかを決める柱であります。。

しかし、誠に残念なことに、この12年間、日本の大手機関投資家の一社からもご支援をいただけておりません。日本の大手機関投資家に勤めている個人から何等かのサポートおよび協力も、極めて珍しいです。BDTIの寄付金の99%は、世界で最も影響力のある投資団体を含む海外の資産運用会社や機関投資家から寄せられております。

ウェビナー:ESG2.0-ISSB統一基準で企業経営と統合報告書はどう変わる?動画公開

2022年4月14日、ウェビナー:ESG2.0-ISSB統一基準で企業経営と統合報告書はどう変わる?と題したウェビナーを開催いたしました。

上場会社の担当者の方には先の見通せない中で今年の統合報告書等をどうすべきか、悩みが多いと聞きます。また経営層、取締役会の皆様におかれても、ESG経営の意味合いが腹落ちしない、Net Zeroを宣言するべきか姿勢を決めかねるという声も聞きます。本ウェビナーでは、現在VRFの理事を務められている北川哲雄氏、カタリスト投資顧問株式会社 取締役副社長COO小野塚 惠美氏を講師としてお迎えし、また優れた情報開示を行っている、味の素株式会社の矢崎久美子氏、株式会社アドバンテストの????本康志氏にパネリストとして加わっていただき、新時代に必要となるESG経営の真髄、効果的な開示の方向性をお示しいただきます。

お問い合わせ等ありましたら下記までお願いいたします。
Email: info@bdti.or.jp

DXリーダーに必要な学びとは

Withコロナに入り、企業のDX投資が加速しています。そのほとんどが、管理帳票のクラウド化やマーケティングオートメーションなど、既存業務のデジタル化に集中しています。DXの第一歩として、デジタル化推進はコスト削減、業務効率化による社員の働き方改革への寄与など、一定の効果を発揮することは間違いありません。

この流れを受け、DX教育投資についても多くの企業が社員全体のITリテラシーを高めることに注力しています。ITリテラシーのバラつきを1日も早く解消し、全従業員が共通言語でDXについて語ることができることを目指すべく、e-ラーニングや、データサイエンス教育を幅広く提供している様子がうかがえます。
しかし、デジタル化=DXという解釈がDXの本来の姿を見えにくくさせていることは課題です。改めてDXの定義を振り返ると、「DXとはデジタルテクノロジーおよびデジタルビジネスモデルを使うことによる業績改善のための組織変革」(「デジタル・ディスラプター戦略」日本経済出版:2017)とあります。これは顧客との新しいつながりをデジタルテクノロジーで生み出すための変革を意味し、同時に企業の価値創造を目指すための戦略のことをいいます。

GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」

2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、上場企業が同年12月末までに改訂版コードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書を提出しています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対して、改訂版コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ記載内容が充実していると思われる「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」の選定を依頼しました。今回は最大5社の選定を依頼し、下記のリストの通り、延べ44社が選ばれました。

Managing Human Resources in the Age of VUCA and Diversity — Advice from Levent Arabaci, Former CTRO at Hitachi

Japan has created a council to consider a “new form of capitalism”, stating that it aims to lead in the areas of “sustainability and human capital”. At the same time, the corporate governance code states that “in light of the importance of human resource strategies …companies should present their policies for human resource development and the internal environment development to ensure diversity.” Abroad, foreign companies continue to compete globally based on constantly refining their systems for managing HR, attracting and developing talent, and drawing on diversity as a source of competitive advantage.

Here in Japan, Hitachi has been a leader in this area under the leadership of the late CEO Hiroaki Nakanishi and Levent Arabaci, who until recently served as Chief Transformation Officer (CTRO) for Global Operations, and previously was the EVP of Human Resources starting in 2012.

In this webinar, Mr. Arabaci will describe the range of modern HR practices that Hitachi has put in place during the past 10 years, spanning areas such as talent mapping, career planning and development, performance evaluations, practices for promotions, and increases in diversity. BDTI Representative Director Nicholas Benes will interview Mr. Arabaci to identify the biggest challenges Hitachi has faced, and to reveal his concrete advice as to how other Japanese companies can overcome similar challenges.

Next, we will be joined by Takeo Yamaguchi (ex-Hitachi) and Christiane Iwanoff of Olympus, two persons with extensive experience at HR management. The panel participants will share their experiences and perspectives, will consider additional issues that have arisen in recent years, such as the impact of WFH, addressing work-life balance, and building more diverse, innovative organizations.

Date:         June 1, 2022(Wed.)  12:00-14:30

Location:          Zoom Web Conference

Charge:       Free

メトリカル:コーポレートガバナンスはどのくらい改善したか2021年(3)

前の記事「How far has corporate governance progressed in 2021 (1)」および「How far has corporate governance progressed in 2021 (2)」に続いて、上場会社のコーポレートガバナンスを改善する取り組みが2021年にどのくらい進んだかを数値を持って見ていきたいと思います。

前の2つの記事を簡単に要約しておくと、ボードプラクティスに関して、改訂コーポレートガバナンス・コードの中で具体的に改善すべき事項として言及がなかった評価項目、例えば取締役会の議長、女性取締役、買収防衛策に関してはほとんど改善していないか限定的な改善にとどまったことをご報告しました。上場会社が実際にとったキー・アクションに関しては、キャッシュと政策保有株式の効果的な使い方と成長戦略の明確な打ち出し方は今年も課題と思われることをご報告しました。株価およびバリュエーションが上昇する中で、外国人株主比率がやや低下していることを考慮すると、ROEおよびROAが伸び悩んでいることとも関係があると考えることもできることから、成長が期待できるキャッシュや資産の効果的な活用がやはり課題なのかもしれないことを結論としました。

今回の記事では、各会社の時価総額がどのくらい成長したのかという観点で分析します。下表は2020年12月および2021年12月で比較可能なMetricalユニバース1,704社の時価総額の変化を示したものです。2020年12月時点のMetricalユニバース1,704社の時価総額の中央値は385,547百万円で、2020年12月時点のMetricalユニバース1,704社の時価総額の中央値は421,138百万円に増加しました。1年間の増加率は9.23%でした。

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