12月の株式相場は月末最終日は反落したものの、日銀の追加利上げ見送りを背景に上昇して引けた。
12月のCG Top20株価は上昇したものの、TOPIXおよびJPX400の両株価指数に対してアンダーパフォーマンス。
12月の株式相場は堅調な米国株式高を背景に上昇して始まった後、中旬からはFOMCで米国来年の利下げのペースが緩やかになるとの見方を背景に米国株式安を受けて売りが優勢になった。しかし、今度は日銀が追加の利上げを見送り、円安が進んだことから買い戻しの動きが広がった。
『ガバナンス塾』2025年4月以降日程調整中 |
12月の株式相場は月末最終日は反落したものの、日銀の追加利上げ見送りを背景に上昇して引けた。
12月のCG Top20株価は上昇したものの、TOPIXおよびJPX400の両株価指数に対してアンダーパフォーマンス。
12月の株式相場は堅調な米国株式高を背景に上昇して始まった後、中旬からはFOMCで米国来年の利下げのペースが緩やかになるとの見方を背景に米国株式安を受けて売りが優勢になった。しかし、今度は日銀が追加の利上げを見送り、円安が進んだことから買い戻しの動きが広がった。
東証は、2024年8月30日に「「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する今後の施策について」を公表しました。本資料の概要を下記にお示し、論点を考えてみたいと思います。
Ⅰ.要請から1年の振返りと今後の方針
多くの上場企業で開示が始まるなど、取組みに着手する動きが見られる一方で、中長期的な企業価値向上に結実するまでには、相応の時間が必要であり、改革は「途上」と認識
東証は、上場企業が、資本コストや株価を意識した経営や投資者との建設的な対話などを通じて企業価値向上に取り組むことが「当たり前」となる市場を目指す
今後の取組みを進めるにあたり、東証は、市場運営者の立場として、上場企業と投資者との建設的な対話を通じて企業価値向上が図られるための環境整備に主眼を置く
その結果、上場維持コストが増加し、非公開化という経営判断が増加することも想定されるが、そうした判断も尊重(東証として上場企業数に重点は置かない)
上場企業のみならず、機関投資家に対しても、短期的・表面的な視点のみに偏らず、中長期的な企業価値向上を支えるという視点で、上場企業との対話に臨んでもらうよう働きかけ
今後の進捗を測る評価軸として、PBR・ROE・時価総額など定量的な指標(国際比較含む)に加え、上場企業の取組み・開示内容や国内外の投資者の評価を定性的に把握し、全体の進捗をレビュー
2024年6月7日付で金融庁が「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」に関する資料を開示しました。本資料の中の「スチュワードシップ活動の実質化」概要を下記にお示し、論点を考えてみたいと思います。
スチュワードシップ活動の実質化
課題:
チェックボックスを埋めるような形式的な対話が行われており、投資先の深い理解に基づく建設的な目的を持った対話や、双方向の対話が行われていないとの指摘がある。協働エンゲージメントについても、単に協働するのみならず、テーマを絞った意味のある対話が行われることが重要との指摘がある。
また、対話の担当部門、議決権行使の担当部門、運用部門等が分離しており十分な連携が図られていないなど、対話と議決権行使を一体とした実効的なエンゲージメントが行われていないとの指摘がある。
そもそもスチュワードシップ・コードへの対応についてはその遵守状況が確認されていないため、当局において実際の取組みを点検することが必要ではないかとの指摘がある。
東証が「資本コストや株価を意識した経営」(いわゆるP/B引き上げ)を要請してから1年経過しました。プライム市場およびスタンダード市場上場会社は対応策を開示するよう要請されています。3月末時点で開示したプライム市場上場会社は半数超の885社です。3月決算会社が本格化するともっと多くの会社が開示することになります。最近の開示では、東証が開示資料の好事例を公表した成果もあって、資本コストに言及したら、ROEを分解して目標値を示す会社も出てきました。
2年前にも東証はプライム市場などの上場基準に適合できない経過措置適用会社に対して、対策の開示を要請しました。経過措置適用会社の課題は流通時価総額が上場基準(プライム市場の場合は100億円)に適合しないため、株価を上昇させることでした。その対策のための開示資料の多くが、売上高増加および自己株式買い戻しによるEPS増加に加えて、P/Eの拡大というものでした。EPS増加にしても前提条件に依存するので不確定要素が多いのですが、P/Eにおいては経営者がコントロールできるものではないので、とても信頼性が低いものでした。それゆえか、多くの経過措置適用会社は上場基準を維持できずにプライム市場からスタンダード市場に移行していきました。
10月の株式相場は前月末の急落から米国株相場高から買い戻し先行で上昇して始まった。その後は総選挙で自民党が苦戦するとの見方から投資家はリスク回避姿勢を強めた。総選挙後はあく抜け感と円安、米国株相場高を背景に反発して引けた。
10月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ1.95%および1.71%上昇した。CG Top20株価は2.03%の上昇と両インデックスに対してアウトパフォーマンス継続。
CG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。荏原製作所(6361)、テクノプロ・ホールディングス(6028)、ENEOSホールディングス(5020)、イノテック(9880)、ユナイテッドアローズ(7606)、パーソルホールディングス(2181)が新たに加わり、H.U.グループホールディングス(2146)、花王(4452)、ワコム(6727) 、ケーズホールディングス(8282)、エーザイ(4523)、トレンドマイクロ(4704)が外れました。構成銘柄の詳細は下記の表の通り。
日銀の早期利上げを懸念して月中ばまで下落した日本の株式相場は、米国FRBの大幅利下げをきっかけに大幅上昇した米国株式相場と円安への揺り戻しを好感して、月末にかけて楽観ムードから回復した。その後、石破新政権発足をきっかけに早期金利上昇を警戒した円高を嫌気して売りが先行して、反落した。
9月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ-1.61%および-2.49%下落した。CG Top20株価は-0.71%の下落と両インデックスに対して大きくアウトパフォーマンス。
以前の拙記事で何度か時価総額の大きい会社と小さい会社で、収益性およびコーポレートガバナンスの取り組みにおいて差が広がっていくことを述べました。今回はそれを検証してみたいと思います。以前の拙記事「Increasing Profitability to Gain Support from Overseas Investors Is a Condition for Higher Valuation」および「Why Are Companies with High Corporate Governance Practices Ratings More Profitable?」において、外国人持ち株比率が高い会社は時価総額が大きく、収益性が高い傾向があると述べました。また、それらの会社はコーポレートガバナンス・プラクティスも優れていると述べました。その背景には海外投資家の長年にわたるエンゲージメントを通じて、会社が収益性とコーポレートガバナンス・プラクティスを改善してきたことがあります。海外投資家は企業価値を高めるためには取締役会の改善の必要性とキャッシュアロケーションを含めたキャッシュフローおよび手元キャッシュの効果的な使い方を求めてきました。これまでの分析で外国人持ち株比率30%台が閾値として経営者に意識されているようです。この水準に達すると海外投資家の意見を取り入れざるを得なくなる傾向が顕著です。海外投資家のエンゲージメントがドライバとして彼らの投資先会社(時価総額が大きい傾向がある)は収益性とコーポレートガバナンスを一層高めると期待されます。よって、時価総額が大きい会社とそうでない会社でますます差が広がると推察されます。
応援しますが、「アセットオーナープリンシプル」は弱いので少しがっかりしています。「SCの受け入れ表明をしてください」というお願い一つは主な趣旨です。しかし、その要求でさえ、弱いです: 「スチュワードシップ責任を果たすに当たっては、自らの規模や能力等を踏まえつつ、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明をした上でその趣旨に則った対応を行うことを検討すべきである。」少なくとも年金の場合、より強い文言がほしかったです。(私が2016年から提案しているように。以下、ご参照ください。)
ましてや、プリンシプルには拘束性がないのに、SCをなどを受け入れをする必要がないのに、アセットオーナーはファンド・マネジャーの適切な議決権行使を監視することが、受託者責任に含まれる責務の一つであることについては言及も明確化もされていない。つまり、米国のERISAにおける「エイボン・レター・ルール(1988年)」は、まだ日本には上陸していないのである。