気候変動による経営リスクの情報開示

日本経済新聞:脱炭素の具体策、企業に開示求める 国際組織が新指針より
2022年春から一部上場企業には気候リスクの分析と開示が実質的に義務付けられるようになる。

洪水、 土砂災害、台風など気候変動が原因とされる自然災害が増え、投資家は企業が気候リスクにどれだけ備えているか知りたがっている。各国で石炭離れが始まって化石燃料を使う設備などは将来的に稼働しにくくなるとも予想され、企業がこうしたリスク資産をどの程度保有しているかも投資家は把握する必要がある。

金融庁は、すでに6月から日本のコーポレート・ガバナンス・コードに気候変動に関する情報開示を導入しているが、同コードには法的拘束力がなく、情報開示は「遵守または説明」ベースで導入されている。

東京証券取引所(TSE)は、2022年4月に東京証券取引所の市場再編がある。その実質最上位と位置づけられる「プライム市場」の上場企業は、気候リスクの開示が求められるようになる。さらに金融庁は2023年以降、有価証券報告書を提出する約4,000社に広げる検討をしている。気候リスクの開示が主要企業の標準形となる。

日本経済新聞によると、開示方法は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」と呼ばれる国際組織の指針がベースになる。TCFD勧告では、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標・目標という4つのテーマに沿って開示内容が構成されている。これまでTCFDは温暖化ガス排出量の実績や削減目標、財務に与える影響などの情報開示を求めてきた。新しい指針はさらに踏み込んで、脱炭素への移行に伴う事業や戦略の変更計画、移行を支援するための行動や計画といった情報を開示するよう求める。「少なくとも5年ごとに見直し、必要に応じて更新する必要がある」ともした。

日本のコーポレート・ガバナンス改革:道半ばを過ぎて・・

「この6年間、日本ではコーポレート・ガバナンス改革が次々と実施され、企業や国内機関投資家、さらには社会の考え方を大きく変えてきました。しかし、日本はまだ改革と思考の「トンネル」の半分しか進んでいないため、投資家やその他のステークホルダーにとっての価値創造はまだこれからです。本ホワイトペーパーでは、日本のガバナンス「革命」をデータに基づいて検証し、次のようなポイントを挙げています。

・健全ななコーポレート・ガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードという形で、具体的なコーポレート・ガバナンス改革
が日本で行われています。
・政府の政策と並行して、投資家グループやガバナンス推進派の企業リーダーによる支援ー活動により、今後もこのような前向きな
改革が継続されるであろう。
・日本企業は、大変革が起きたことを「理解」しており、大多数の企業が社外取締役を採用し、指名委員会や報酬委員会を設置し、
買収防衛策を縮小しています。
・日本の取締役会は、インセンティブベースの報酬、より高いレベルの多様性、およびリターンと資本効率への注力というグローバ
ルなトレンドを受け入れ始めています。
・また、国内外の機関投資家が積極的に議決権行使を行うようになったことで、株式の持ち合いやその他の「敵対的保有」が解消さ
れつつあり、市場は全体的に魅力的になっています。
・M&A(合併・買収)やアクティビズムが増加し、資本効率の向上、あるいは経営者の意識改革が進んでいます。
・以上のような多くの変化の結果、日本のROA(総資産利益率)の値は全体的に高い傾向にあります。

このように大きな進歩を遂げている一方で、株主は経営陣や取締役会と緊密に協力して、ガバナンスと価値向上のグローバルスタンダードに追いついていくことが求められています。このような建設的なエンゲージメントやアクティビズムが続けば、新たな期待に適応した企業には、投資や成長のための魅力的な機会が数多く生まれるでしょう。

パブリックコメントから見るコーポレートガバナンス・コード改定案

2021年4月7日に金融庁よりコーポレートガバナンス・コード改定案が公表され、パブリックコメントの受付が開始された。今回の改定案では「独立社外取締役」と「サステナビリティ」が重要テーマになっている。

日本CFA協会が集約した意見によると、今回の改訂点において取締役の機能強化(プライム市場上場企業に対し社外取締役 1/3 以上、スキルマトリクスの開示など)については賛成意見が多かったが、その一方不十分であるという意見、形式的になるという懸念も見られました。またサステナビリティの課題や、TCFD の開示の追加について圧倒的に多くの回答者が「良いと思う」を選択したが、一部やはり“不十分”という意見が見られ、特に日本以外からの回答では不十分であるという意見は半数近くに達した。本改訂の修正・追加部分は概ね市場関係者に好評価とはいえるものの、これで十分であるのか、プライム市場上場企業だけで良いのかについては、引き続き議論が必要である。

以下、日本 CFA 協会「コーポレートガバナンスコード、改定案へのコメント」より抜粋。

環境省:「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」発行

環境省は3月26日、インパクトファイナンスを実施する金融機関・機関投資家向けに「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」を発行しました。インパクトファイナンスとは適切なリスク・リターンを追求しながら、明確な意図を持って環境・社会・経済にポジティブなインパクトをもたらそうとする投融資であり、インパクトファイナンスの5つの基本的流れとしてインパクトの特定事前評価事前評価結果の確認モニタリング情報開示を提言しました。

金融庁:コーポレートガバナンス・コード改訂案

2021年にコーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されています。意見書では、2022年に予定されている東京証券取引所の市場区分再編後のプライム市場につき、その上場企業に対し、独立社外取締役の3分の1以上の選任を求めるべきであると提案しています。

プライム市場に関して、微々たる微調整でしかなく(既に3分の1の選任が多い)、プライム市場に参加しない企業に対しては「現状のままでいい、これ以上は要求しない。ご安心を。」というメッセージを送っているように見えます。

2013-2014年にコーポレートガバナンス・コードを提唱した時、7年後は「過半数」まで行くであろうと思ったので、がっかりしています。過半数の独立社外取締役まで原則を上げないと、多くの企業の取締役会は充分変わりません。

金融庁:有価証券報告書における開示例を中心に好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2020」の追加・公表

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金融庁は、2020年11月に公表した「記述情報の開示の好事例集2020」について、新たに、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の開示の好事例を追加・公表しました。

「記述情報の開示の好事例集」は、ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けた企業の取組みを促し、開示の充実を図ることを目的として、有価証券報告書における開示例を中心に好事例を取りまとめたものです。開示の好事例の検討に当たっては、投資家・アナリスト及び企業の皆様による勉強会を開催しております。

今後、「記述情報の開示の好事例集2020」に、「監査の状況」、「役員の報酬等」等の項目を追加するとともに、令和元年11月に公表した「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」を更新することを予定しています。

また、必要に応じて、「記述情報の開示に関する原則」に反映していくことにより、開示内容全体のレベルの向上を図ることも予定しています。

2021.7月以降の一日役員研修「国際ガバナンス塾」日程確定:7/8(木)、8/4(水)、9/16(木)!

会社役員育成機構(BDTI)では、コーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるための研修「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支え立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。ケース・スタディを随所に組込んだ実践的な研修です。各専門分野の講師による講義に加えて、画面を通じてのディスカッションもございます。是非、ご参加ください。

お申込みいただいた方には、eラーニングコース「会社法」「金商法」「コーポレート・ガバナンス (基礎・実践編の2コース)」の4コースすべて6ヶ月使用権が付与されます!

講義内容
当日の講義には最新の動向を盛り込むため、一部内容を変更させていただく場合があります。予めご了承ください。

Ⅰ.「役員力」:役員は何を、なぜ目指すべきか
  1. 受講者の課題意識の共有
  2. ガバナンスとは(「経営」との違い)?なぜガバナンスが必要か?
  3. 企業を取り巻く環境変化とガバナンスの新しい挑戦課題
  4. 役員の役割
  5. 企業風土の改革の難しさとトップの行動の重要性
  6. 「役割力」、役員としての論理、ベスト・プラクティス

GPIFの「2019年度 ESG活動報告」が刊行されました

「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、次世代も含めた被保険者の皆様の利益のため、長期的な観点から積立金を運用しています。国内外の様々な企業・発行体に幅広く投資するGPIFにとって、国民の皆様からお預かりした年金積立金を長期的に増やしていくためには、市場全体の持続的かつ安定的な成長が不可欠です。そのため、投資先企業のガバナンスの改善に加え、環境・社会問題などによる負の影響を小さくすること、つまり、投資におけるESG(環境・社会・ガバナンス)の考慮を通じ、ポートフォリオの長期的なリスク低減やリターンの向上を目指しています。

GPIFはこうした認識に基づきESGに関する取組みを積極的に行っていますが、その取組みと効果を国民の皆様にご報告するため、今年で3回目の発行となる「ESG活動報告」を刊行しました。昨年度開始した「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言を受けた分析について、今年はさらに分析対象を広げ、気候変動によるリスクと機会の資産横断的な評価にチャレンジしました。

GPIFでは、ESG活動が期待通りに金融市場の持続可能性やリスク調整後のリターンの向上につながっているのかを測定し、長期的な効果の検証につなげていきたいと考えています…」

キャシー松井さん「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」動画

2020年8月5日、ゴールドマン・サックス証券株式会社 副会長のキャシー松井さんをお招きし、「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」と題したウェビナーを開催いたしました。

安倍政権が成長戦略の柱として推し進めている「女性活躍推進」は大きな関心を集めるテーマです。当機構の使命といたしましても多くの方々に知ってもらいたいと思い、今回ウェビナーの動画をアップすることといたしました。ご参加いただいた方はご質問の機会や資料の配布等の特典もございましたので何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

(「続きを読む」をクリックすると動画がご覧いただけます。)

「経済財政運営と改革の基本方針2020」と「成長戦略実行計画」

7月17日、政府は、令和2年第11回経済財政諮問会議および第41回未来投資会議を合同で開催し、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針)」と「成長戦略実行計画」が取りまとめられました。

経済財政運営と改革の基本方針2020のポイントはコロナ禍と防災対策であり、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなかで、デジタルを活用した“新たな日常”の実現を強く打ち出しました。

コーポレート・ガバナンス改革の推進に関しては、成長戦略フォローアップ案(42ページ)に主に下記のように言及されています。

・「コーポレートガバナンス・コード」について、更なる中長期的な企業価値の向上を目指し、事業ポートフォリオ戦略の実施など資本コストを踏まえた経営の更なる推進(上記ⅲの事業再編を促進するための実務指針との連携も検討する。)、上場子会社の取扱いの適正化を含むグループ・ガバナンスの強化、監査の信頼性の確保、中長期的な持続可能性(サステナビリティ)についての考慮や社外取締役の質の向上などの論点につき検討を行った上で 2021 年中に改訂を行う。

・その際、東証の市場改革において高い時価総額・流動性とより高いガバナンスを備え投資家との建設的対話を中心に据えて中長期的な企業価値向上にコミットする企業が参加する市場(プライム市場(仮称))に上場することを予定する企業については、今後、「コーポレートガバナンス・コード」等の改訂等を重ねるごとに他の市場と比較して一段高い水準のガバナンスを求めていくこと等により、我が国を代表する投資対象としてふさわしいガバナンスの水準を求めていく必要があることから 2022 年4月の市場構造改革実施に向け、2021 年中に改訂が予定されている「コーポレートガバナンス・コード」において一段高い水準のガバナンスを求めることとする。

取締役・監査役のトレーニングは言及されず