「アセットオーナープリンシプル」をきっかけに、本格的な企業年金改革を

応援しますが、「アセットオーナープリンシプル」は弱いので少しがっかりしています。「SCの受け入れ表明をしてください」というお願い一つは主な趣旨です。しかし、その要求でさえ、弱いです: 「スチュワードシップ責任を果たすに当たっては、自らの規模や能力等を踏まえつつ、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明をした上でその趣旨に則った対応を行うことを検討すべきである。」少なくとも年金の場合、より強い文言がほしかったです。(私が2016年から提案しているように。以下、ご参照ください。)

ましてや、プリンシプルには拘束性がないのに、SCをなどを受け入れをする必要がないのに、アセットオーナーはファンド・マネジャーの適切な議決権行使を監視することが、受託者責任に含まれる責務の一つであることについては言及も明確化もされていない。つまり、米国のERISAにおける「エイボン・レター・ルール(1988年)」は、まだ日本には上陸していないのである。

メトリカル:コーポレートガバナンス・プラクティスの評価が高い会社の収益性はなぜ高い?

今回はコーポレートガバナンス・プラクティスの評価の高い会社にはどのような傾向があるのか、また、コーポレートガバナンス・プラクティスと会社の収益性、バリュエーションにどのような関係があるのかについて考えてみたいと思います。

Metricalでは2018年2月から約1,800社をユニバースとして、有価証券報告書、コ―ポレートガバナンス報告書、決算短信など公開情報をもとに40以上の評価項目で評価し、月次でアップデートしています。また、Metricalではコーポレートガバナンス分析はボードプラクティスとキー・アクションに分かれています。それは会社経営の目標である価値創造のために、ボードプラクティスだけでなくボードプラクティスの改善がディシジョンやアクション(キー・アクション)につながって、価値創造に寄与するとの仮説に基づいています。言い換えれば、取締役会の構成などボードプラクティスの部分を形式的に整えたとしてもそれが価値を生み出す経営に生かされていないかもしれません。ボードプラクティスの改善が実際のアクションにつながり、価値を生み出すことがコーポレートガバナンスの改善であるべきと考えます。このような考えをもとに評価するMetrical CGスコアと会社の収益性、バリュエーションにどのような関係があるのか下記に述べてみます。

「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 」に追加すべきもの

ニコラス ベネシュ
公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)代表理事
(以下の内容は個人としての意見です。)

(次期内閣総理大臣候補 – 順不同)
内閣官房長官林芳正氏、外務大臣上川陽子氏、経済産業大臣齋藤健氏、デジタル大臣河野太郎氏、経済安全保障担当大臣高市早苗氏、幹事長茂木敏充氏、自由民主党衆議院議員石破茂氏、自由民主党衆議院議員小泉進次郎氏、自由民主党衆議院議員小林鷹之氏、自由民主党衆議院議員野田聖子氏、自由民主党衆議院議員加藤勝信氏

CC: 内閣総理大臣岸田文雄氏、自由民主党政務調査会長代理柴山昌彦氏、自由民主党厚生労働大臣政務官塩崎彰久氏、自由民主党幹事長代理木原誠二氏、自由民主党中西健治氏

日本のコーポレートガバナンス・コード(CGC)と投資家のスチュワードシップは車の「両輪」のように機能しなければならない。かねてからそう提唱していた[1]私が、2014年にCGC制定を自民党に提案する機会を得て、最も重要なことだと主張したのは「ガバナンス体制とその実質を確認できる情報開示を促す」ことだった。

『真に独立し、かつ資質を有する独立取締役が過半数を占める取締役会の方がガバナンスと監督が効果的に機能する可能性が高い』。このことは2014年当時から、世界中の多くの国で認められていたことだった。各社の情報開示とスチュワードシップが機能するようにさえなれば、先進国たる日本もその後5年程度で自ずと同様のスタンスをとるだろうと当時の私は考えていた。

しかしながら、10年経った今も、この二つの課題について真剣な議論が行われていない。

投資家が日本の株式市場に注目している今だからこそ、私は、この核心的な問題に向き合い、以下のようなステップを踏んで変革のスピードを上げるべきだと考える。

オアシス&公益社団法人会社役員育成機構「女性の役員育成奨学金」 募集の結果発表

 

オアシスマネジメント株式会社(以下「オアシス」)は、3年連続で、公益社団法人会社役員育成機構(以下「BDTI」)主催の役員研修に協賛し、奨学金を通して優秀な女性を支援する取り組みをいたしました。2024年4月1日(月)から6月30日(土)までの間、BDTIが開催する役員研修コースのいずれかを申し込んだ優れた資質を持つ女性に対し、オアシスが研修費用を全額負担します。

優秀な女性からの応募が多く、91名の女性が選定され、今年中に研修を受けることになります。半数以上はBDTIの中核コースである「ガバナンス塾」を受講し、残りの方々は社外取締役の役割に特化する上級コースである「社外取塾」、英語の「Director Boot Camp」、またはBDTIの提供する「e-Learning」(全4コース)を受講します。

【メトリカル】収益性を高めることによって海外投資家の支持を得ることがバリュエーション上昇の条件

Metricalの分析
日本の会社のコーポレートガバナンスの分析を本格的に始めたのは2015年6月からで、その当時は500社をカバーしていました。その後2018年2月から現在まで約1,800社を分析しています。これら1,800社をユニバースとして、有価証券報告書、コ―ポレートガバナンス報告書、決算短信など公開情報をもとに月次でアップデートしています。Metricalのコーポレートガバナンス分析はボードプラクティスとキー・アクションに分かれています。それは取締役会の構成などボードプラクティスの部分を形式的に整えたとしてもそれが価値を生み出す経営に生かされているか懐疑的なためです。というのは、理想的にはコーポレートガバナンスの改善は価値を生み出すことに直接つながるか、あるいはボードプラクティスの改善がキャッシュ・アロケーション、自己株式買い戻し・消却などのキー・アクションを通じて価値を生み出すという仮説に基づいているのです。よって、キー・アクションをコーポレートガバナンスの評価に加えるべきだと信じています。

メトリカル:コーポレートガバナンス改善のドライバは外国人持株比率

2024年1月は2023年6月以来の海外投資家の日本株買い越しによって、日本株は大きく上昇しました。東証の売買高の70%超を占める海外投資家の売買が日本株を牽引する構図に変化はありません。一方で2023年3月末の東証の要請以降、上場会社は株価バリュエーション(P/B)の引き上げに苦労しています。海外投資家の買いに期待を寄せるような上場会社からの開示も増えてきました。今回は外国人持株比率に注目して、海外投資家が投資する会社にはどのような傾向があるのか分析します。海外投資家はもとより、上場会社にも注目してほしい内容です。

Metricalユニバース1,822社(2024年1月)を外国人持株比率で5つのグループ(30%以上、20%以上30%未満、15%以上20%未満、10%以上15%未満、10%未満)に分けて各項目で分析します。外国人持株比率の中央値は15%です。15%以上の会社は外国人持株比率がよりも高い会社といえます。また、以前の拙記事「Takeover Defense Measures and Foreign Shareholder Ratio」で述べた通り、30%に閾値のようなものがあると考えられます。外国人持ち株比率が30%を超えると会社にとっては株主総会で特別決議の1/3の確保が難しくなるため、外国人株主の影響力が強くなり、その結果会社の経営改善が進むことが期待できます。

ウェビナー動画公開:「グラスゴー金融同盟(GFANZ)の役割とは何か」

2024年4月25日に「グラスゴー金融同盟(GFANZ)の役割とは何か」と題したウェビナーを開催いたしました。

GFANZの役割とは何か、具体的にはどのような活動があるのか、事業会社と資本市場にとってどうして重要なのか、こうした疑問に答えるべく、日本支部のコンサルテーティブグループの初代議長を務めている第一生命保険株式会社取締役会長である稲垣精二氏をお招きし、掘り下げた視点でGFANZについて迫ります。当日お見逃しの方、再度ご覧になりたい方はBDTIのYouTubeチャンネルで配信中です。

お問い合わせ等ありましたら下記までお願いいたします。
Email: info@bdti.or.jp

<終了>女性のための役員研修奨学金制度2024

 

投資運用会社オアシスマネジマントは3年連続で、BDTI主催の役員研修に協賛し、優秀な女性に奨学金を提供する取り組みを実施します。BDTIの対象役員研修コースのいずれかを申し込んだ優れた資質を持つ女性に対し、スポンサー企業のオアシスが費用を全額負担します。この支援の目的は、高い資質を持つ女性リーダーが取締役として活躍するために、研修によって必要なスキルを身につけ、女性取締役候補のパイプラインを拡大することで、日本の取締役のジェンダーギャップに積極的に対処することです。BDTIの研修は、コーポレートガバナンスの知識を早めに習得する機会となり、将来の役員人材を確保するうえで、企業にとっても機関投資家にとっても有益です。奨学金制度を通じて、多くの女性が役員研修を受講するきっかけとなることを期待します。オアシスマネジマントのプレスリリースはこちらから。

ラウンドテーブル⑩:「海外投資家によるエンゲージメントとエスカレーション」

  BDTI Roundtable  

BDTIが開催する「ガバナンス・インサイト・ラウンドテーブル」の第10回目のテーマはKaname Capitalの槙野尚氏をお招きし「海外投資家によるエンゲージメントとエスカレーション」です。

Kaname Capitalは米国ボストンに拠点を置く資産運用会社です。日本の中小型の上場企業にフォーカスし、クオリティ(事業の質)とバリュー(割安さ)を併せ持つ会社に中長期的な投資を行っています。割安さを解消するためのエンゲージメントにも注力しており、海外戦略、グリーン転換、取締役会構成など、海外投資家としての視点も活かしながら、幅広い経営アジェンダについて対話を行っています。しかしながら対話に進展が見られない場合や、それを阻害する要因が明らかな場合には、取締役会への書簡送付や株主提案などのエスカレーションを行う場合があります。今回は海外投資家として日本企業の経営にどのような問題意識を持っているか、またどのようにエンゲージメントやエスカレーションを行うのかなど、事例を交えながら参加者の皆様と議論したいと考えています。

METIは「企業情報開示のあり方に関する懇談会」を開催します

METIは、青山学院大学 名誉教授北川哲雄 氏が座長に務める「企業情報開示のあり方に関する懇談会」を開催します。大変タイムリー且つ重要なテーマである「企業価値の向上に資する情報開示を行っていくためには、どのような開示体系に基づき、どのような情報開示を行うことが望ましいのか」について議論を行うのが目的であります。