メトリカル:CG 株価パフォーマンス CG Top20 vs. Topix, JPX400(2022年12月末)

12月の株式相場は日銀が金融政策決定会合で金利操作の運用修正を発表したことをきっかけに大幅下落して終了。CG Top20株価は1ヶ月間ではTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して2ヶ月続けてのアンダーパフォーマンス。

12月の株式相場は米国FOMCの金融政策を見守る動きから、月半ばまで方向感を掴めない相場展開。12月20日の日銀が金融政策決定会合で長期金利の変動幅を従来の0.25%から0.5%に拡大したことが伝わると、その日の後場から株式相場は大幅安。その後も反発気配がないまま取引を終えた。金利上昇を好感した銀行株が急上昇する一方で、成長株を中心に下落する株式が目立った。
12月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ-4.79%および-4.87%下落した。CG Top20株価は-5.59%の下落と両インデックスに対してアンダーパフォーマンス。2014年以来の長期間で見ると、CG Top20株価は両インデックスに対し年率2%程度のアウトパフォーマンスを継続。なおCG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。新たな構成銘柄は下記の表の通り。

メトリカル:海外投資家が必要な書類と会社が英訳する書類にミスマッチがある

東証が2022年8月3日に月末に2022年7月末現在で英文開示実施状況調査を開示しましたので、ご報告したいと思います。

開示資料の冒頭で、東証は次のように述べています。「この度、2022年4月の新市場区分への移行後の状況を明らかにするため、2022年7月時点の調査を行い、調査結果をとりまとめましたので、お知らせいたします。グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場であるプライム市場上場会社においては、英文開示実施率が92.1%(2021年12月末時点85.8%)に達し、新市場区分への移行を機に上場会社における英文開示の取組に一定の進展が見られました。他方で、昨年実施した海外投資家アンケートにおいて7割超が英文開示を必要とした適時開示資料(決算短信除く)や有価証券報告書であっても、プライム市場上場会社の英文開示実施率が半数未満に留まる状況も見られます。新市場区分への移行以後に適用されているコーポレートガバナンス・コードでは、「特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである」(補充原則3-1②後段)としており、英文開示の範囲の拡大・内容の充実、開示タイミングの差異の解消に向けて、更なる進展が期待されます。」

上記の東証の調査結果まとめのステートメントに述べられている通り、プライム市場の上場会社の多くは何某かの資料を英訳しています。英文開示をする会社が増えたことは一定の評価ができます。しかし、まだ緒についたばかりというのが事実で、東証も後段で述べている通り、有価証券報告書のような重要な開示資料の英文開示をする会社はとても少ない状況です。有価証券報告書は来年度からは従来の四半期の提出から年次の提出に変更される代わりに、サステナビリティ項目が記載事項に含まれる計画であることから、その重要性が一層増しています。以下にて、東証の調査結果を見てみましょう。

英文開示を実施状況の概要
英文開示を実施している上場会社の割合は全市場では56.0%(前年末比+3.2ポイント)、プライム市場では92.1%(同+6.3ポイント)です。プライム市場以外の上場会社で英文開示を実施している会社は多くありません。昨年改定されたコーポレートガバナンス・コードは補充原則3-1②において、「プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべき」と規定しています。しかし、必要とされる情報として具体的にどの書類を英文で開示するのか示していません。コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-2④で「招集通知の英訳を進めるべき」と唯一言及されたのが、招集通知でした。プライム市場の上場会社で招集通知の英訳を実施した会社の割合は76.1%(前年末比+11.9ポイント)と高まりました。英訳の実施率が高かったのが、決算短信の77.1%(同+9.3ポイント)、IR説明会資料の61.1%(同+3.5ポイント)でした。一方で、英訳を実施した会社が少なかった資料は、適時開示(決算短信除く)、コーポレートガバナンス報告書、株主総会招集通知(事業報告)、有価証券報告書で、実施率はそれぞれ38.7%(前年末比+2.3ポイント)、24.5%、(同+2.3ポイント)、22.7%(同+2.1ポイント)、13.3%(同+0.8ポイント)でした。有価証券報告書やコーポレートガバナンス報告書などの重要な資料は大部分の会社で英訳されていないことがわかります。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2022年11月)

11月の株式相場は米国長期金利低下を背景に大幅上昇した米国株式相場を好感して上昇した。CG Top20株価は1ヶ月間ではTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して3ヶ月ぶりのアンダーパフォーマンス。

11月の株式相場は買い戻しから上昇して始まった後、23日に公表されたFOMC議事要旨が利上げペース減速の方向性を示唆する内容だったため、投資家のリスク志向が強まり米国長期金利の低下を背景に大幅上昇した米国株式相場を好感して大幅上昇した。Topixは1月12日以来およそ10カ月ぶりに終値ベースで2,000ポイント台を回復した。その後月末にかけてはパウエル議長講演や雇用統計を警戒して慎重な取引が続いた。
11月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ2.94%および3.36上昇した。CG Top20株価は1.47%の上昇と今月は両インデックスをアンダーパフォーマンスした。2014年以来の長期間で見ると、CG Top20株価は両インデックスに対し年率2%程度のアウトパフォーマンスを継続。なおCG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。新たな個性銘柄は下記の表の通り。

メトリカル:創業者ファミリー企業と他の会社との経営戦略の違いの背景にあるのは持株

10月14日の日経新聞に「「逆張り創業者ファミリー企業株」の磁力:危機下も攻め、コーポレートガバナンスが課題」との記事が掲載されていました。当該記事の論点について、考えてみたいと思います。

10月14日の日経新聞の記事の概略は次のように報じています。
危機下でもひるまず「逆張り戦略」に動いた創業者ファミリー企業が投資家を引き付けている。経営の意思決定が速く、COVID-19パンデミックで出店拡大などを進めた企業は業績回復の爆発力も大きく、株式市場で異彩を放っている。長年の課題だったガバナンスの弱さにもメスが入り、先手を打つ企業にマネーが集まる。

10月14日の東京市場で日経平均株価は大幅反発し、前日比853円高で終えた。昨年末比でみれば6%安。米利上げ継続や景気後退への懸念は強く、神経質な相場環境が続く。そんななかで株価が右肩上がりで推移し、上昇率が2倍以上の株価上昇を達成した銘柄が貸会議室大手のティーケーピーだ。コロナ禍で対面イベントの減った2021年2月期は上場以来初の最終赤字に転落。人件費や地代家賃など固定費を減らしつつ、裏では攻めの手を緩めなかった。割安になった優良物件などの仕入れを積極化した。こうした「逆張り経営戦略」がいま結実している。行動制限の解除で需要が戻り、2022年3~8月期は同期間として3年ぶりに営業黒字を回復。同社の河野貴輝社長は10月13日の決算説明会で「スペースを貸すだけでなく(配信サービスなど)コンテンツも提供して付加価値を高める」と意気込む。

中古車販売のネクステージも果敢にリスクを取った企業の一つだ。コロナ初期には在庫増に苦しんだものの出店はやめなかった。買い取りや整備、車検サービスを一括で提供する大型の「総合店」は2022年8月末で51店舗と、2019年11月末から2.4倍に拡大。優良顧客の取り込みで利益率が向上した。

両社に共通するのは、主要株主が経営者やその一族で構成される創業者ファミリー企業である点だ。危機下でも攻める企業を発掘する投資家が注目している。日興アセットマネジメントの「ジパング・オーナー企業株式ファンド」を運用する北原淳平シニアファンドマネージャーは「創業者ファミリー企業は意思決定の速さと大胆な経営戦略が強み」と指摘。「経営者と株主の視点が一体で、危機下でも利害関係者を納得させやすい」と分析する。

論点1:「創業者ファミリー企業は意思決定の速さと大胆な経営戦略が強みで、経営者と株主の視点が一体で、危機下でも利害関係者を納得させやすい」

創業者は元々リスクをとって事業を拡大させて上場会社になった経緯があります。創業者であればリスクテイクが事業拡大のチャンスであることをよく知っています。常識にとらわれない発想と戦略もとても必要な要素であると考えていても不思議はありません。また、創業者およびその家族は自社の株式を相当割合で保有しているため、自身が大株主であることから他の株主と同じ目線で経営しているということができ、他の株主とsame boatで企業価値の最大化という同じ目標を共有しやすい立場にあります。キーは持株にあると思っています。

メトリカル:バリュエーションを上げた会社はどのような取り組みをしている?

前回の記事「プライム市場の経過措置適用会社:バリュエーションを高めるために」で時価総額を2020年12月-2022年2月の期間で増加した会社を検証したところ、バリュエーションの上昇に起因していることがわかったことから、Tobin’s qが当該期間に上昇した会社の取り組みを検証しました。検証の結果、Tobin’s qの変化には外国人持株比率の上昇と密接な関係があり、Tobin’s qを大きく上昇させた会社は現金同等物と総資産において減少傾向が見られたことから、会社は資産を効果的利用することに動いたことが推測されます。資産を効果的利用にも関連するのですが、これらの会社は成長投資と株主還元のバランスをキャピタル・アロケーションのポリシーの中で明確にし、株主・投資家とのコミュニケーションに取り組みを進めたことが確認されました。ボードプラクティスに関しては、Tobin’s qを大きく上昇させた会社はプライム市場の上場基準が求める独立取締役比率および報酬委員会の独立性確保において顕著な改善を行いました。また、買収防衛策の撤廃をした会社が含まれていたこともTobin’s qを押し上げることに寄与したことも推測されました。これらの結果を踏まえて、そもそもバリュエーションが高い会社にはどのような傾向があるのかに興味が出てきましたので、どのような取り組みをしてきたのかを検証してみたいと思います。

下表は、MetricalTobin’s qの変化とプロファイルおよびKey Performance Indicatorsの変化の間の相関分析を示しています。当該期間において、Tobin’s qの変化は時価総額の変化および外国人持株比率の変化と有意性のある正の相関が示されています。このことから、Tobin’s q(バリュエーション)の変化は時価総額の変化と外国人持株比率と関係が深いことが確認されます。また、Tobin’s qの変化は現金同等物の変化および総資産の変化と有意性のある負の相関が示されています。当該期間において、Tobin’s qを上昇させた会社は現金同等物と総資産を減少させた傾向があったことがわかります。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2022年10月)

10月の株式相場は米国政策金利引き上げの減速期待から上昇した米国株上昇を好感して上昇して取引を終了した。CG Top20株価は1ヶ月間ではTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対してアウトパフォーマンス。

10月前半はインフレ持続を懸念して下落した米国株式相場が米国金利引き上げが減速するとの期待感から10月後半に反発したことを受けて、株式相場は月末にかけて上昇して引けた。10月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ5.11%および5.22上昇した。CG Top20株価は5.26%の上昇と今月も両インデックスをアウトパフォーマンスした。2014年以来の長期間で見ると、CG Top20株価は両インデックスに対し年率2%程度のアウトパフォーマンスを継続。なおCG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。新たな個性銘柄は下記の表の通り。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2022年9月)

9月の株式相場は金利の上昇を嫌気した欧米株式相場の下落により、下落して取引を終了した。CG Top20株価は1ヶ月間ではTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対してアウトパフォーマンス。

インフレを背景に米国の金融引き締めの長期化予想によるリセッション懸念から、大きく下落した米国株式相場を嫌気して、9月の株式相場は下落した。さらに、日銀の円買い介入した9月22日以降は、比較的値を保っていた日本株式相場にも弱さが目立った。TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ-6.83%および-6.96%に対して、CG Top20株価は-4.93%の下落にとどまり、大きくアウトパフォーマンス。2014年以来の長期間で見ると、CG Top20株価は両インデックスに対し年率2%程度のアウトパフォーマンスを継続。なおCG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。新たな個性銘柄は下記の表の通り。

メトリカル:プライム市場の経過措置適用会社:バリュエーションを高めるために

・プライム市場の経過措置適用会社の「計画」は十分なのか?

4月から始まった東証市場区分再編に伴い、各上場会社は選択する市場を開示しました。現在の東証一部上場会社でプライム市場を選択したもののプライム市場の上場基準を充足できない会社は1,841社のうち296社が「経過措置」によって当面のプライム市場上場が認められています。プライム市場の上場基準の主なものは流通株式比率35%以上と流通株式時価総額100億円以上で、経過措置が適用されてプライム市場に上場する予定の会社の多くは後者の流通株式時価総額100億円以上を充足できていない場合が多いようです。これらの会社は「計画書」を開示して、経過措置の適用を受けています。その計画書の内容は、中期的な数値目標を提示して、目標達成のための施策を記載するものです。流動株式比率が不足する会社の場合には持ち合い株式の解消が主な施策になります。経過措置適用会社が抱える問題は流通株式時価総額であることが多く、その増加に関して特効薬はありません。「計画書」を見る限り、そのような会社の多くは企業価値の成長と株主還元の充実を掲げて、それが時価総額の拡大に結びつくストーリーを描こうとしています。企業価値の成長と株主還元の充実は株主・投資家にとってとても重要なテーマです。これらの施策の具体性、蓋然性が整って初めて、株主・投資家との十分なコミュニケーションが図られます。これらの施策が株主・投資家の賛同が得られた場合には、おそらくバリュエーションに変化がもたらされるのではないかと思います。バリュエーションは企業価値の成長の将来キャッシュフローにビルトインされていると考えることができますから、しっかりとした成長の見通しとキャッシュフローのアロケーションが求められるべきです。このことは経過措置が適用されている会社だけでなく、すべての上場会社にとっても同様です。今回は時価総額を決定する重要なファクターの一つであるバリュエーションを向上させるためのヒントを探ってみたいと思います。

バリュエーションを高めるために有効なファクターを探る
まず、Tobin’s qが上昇した会社はどのような傾向があるかを検証します。Metricalユニバースの2020年12月末から2022年2月末までの期間で比較可能な1,487社を用いて、当該期間にTobin’s qの変化と有効なファクターを探ってみます。

下表は、2020年12月末から2022年2月末までの期間のTobin’s qの変化とプロファイルおよびKey Performance Indicatorsの変化の間の相関分析を示しています。当該期間において、Tobin’s qの変化は時価総額の変化および外国人持株比率の変化と有意性のある正の相関が示されています。このことから、Tobin’s q(バリュエーション)の変化は時価総額の変化と外国人持株比率と関係が深いことが確認されます。また、Tobin’s qの変化は現金同等物の変化および総資産の変化と有意性のある負の相関が示されています。当該期間において、Tobin’s qを上昇させた会社は現金同等物と総資産を減少させた傾向があったことがわかります。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2022年8月)

8月の株式相場は米国金融引締め早期終了期待から上昇した米国株式相場を受けて月前半まで大きく上昇。月後半から月末にかけては米国金融引き締め長期化け年から下落した米国株式相場を受けてボラティリティの高い相場展開。CG Top20株価は1ヶ月間ではTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して、アウトパフォーマンス。

8月中旬までは米国経済リセッション観測から米国金融引締めの早期終了を期待して上昇した米国株式市場を好感して株式相場は上昇した。月後半には米国FEDの金融引締め長期観測懸念から相場の変動率が上昇した。
TOPIXおよびJPX400の両株価指数の8月の1ヶ月間のパフォーマンスは、それぞれ1.53%および1.33%の上昇。CG Top20株価は1.66%%の上昇し、両インデックスに対してアウトパフォーマンス。7月1日に見直されたCG Top20の構成銘柄は下記の表の通り。

メトリカル:株式リターンに有効なファクターは何か?

会社経営者と株主双方の共通の目的は会社の企業価値の持続的成長です。投資家にとってはそのような会社を見つけることが重要な目的です。これを探るために、今回はMetricalユニバースの2020年12月末から2022年2月末までの期間で比較可能な1,487社を用いて、当該期間に時価総額の変化と有効なファクターを探ることにしました。

下表は、2020年12月末から2022年2月末までの期間の時価総額の変化とプロファイルおよびKey Performance Indicatorsの変化の間の相関分析を示しています。当該期間において、時価総額の変化は総資産の変化、外国人持株比率の変化およびTobin’s qの変化と有意性のある正の相関が示されています。このことから、時価総額が増加した会社は総資産が増加し、外国人持株比率が上昇し、Tobin’s qが上昇した傾向が示されています。時価総額が増加する背景には、バリュエーションを表すTobin’s qが上昇することは理にかなっています。海外投資家の売買が存在感を持つ東京株式市場では外国人持株比率の変化と時価総額に変化に相関があることも自然なことです。総資産の変化と時価総額の変化との相関に関しては収益の拡大をサポートする資産の増加が背景にあることが要因の一つかもしれませんが、これについては検討の余地があります。一方で、時価総額の変化は現金同等物の変化、ROEの変化およびROAの変化とは有意性のある正の相関が示されませんでした。当該期間においては過去3年間の実績ベースの収益力の変化はあまり時価総額の変化に影響しなかったということがわかります。