金融庁:「機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動のあり方」を公表

2016年11月30日「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書として「機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動のあり方~企業の持続的な成長に向けた「建設的な対話」の充実のために~」という報告書が公表されました。

運用機関とアセットオーナーそれぞれに、以下のような求められる取り組みを提言しています。

「運用機関による実効的なスチュワードシップ活動」

1.運用機関のガバナンス・利益相反管理等
2.議決権行使結果の公表の充実
3.パッシブ運用におけるエンゲージメント等
4.運用機関の自己評価

「『コーポレートガバナンス・コード(第4章)』の開示傾向と監査役としての視点」

日本監査役協会は、11月24日、「『コーポレートガバナンス・コード(第4章)』の開示傾向と監査役としての視点-適用初年度における開示分析-」を公表しました。CGコードの「第4章(基本原則4)取締役会等の責務」に焦点を当て、各社の開示内容の傾向や監査役として対応が考えられる視点について検討されています。
「現時点での開示事例を見ると、株主・投資家等との対話を促進するツールとして有効に機能するには道半ばであると考えられる。」「各社の今後の対応についても引き続き注視していく必要がある。」と今後の継続的な改善の必要性が指摘されています。

コーポレートガバナンススコア増減要因分析 2015/09-2016/09

ティトリスでは上場企業約500社のコーポレートガバナンスをレーティングしているが、2016年9月末でコーポレートガバナンス(CG)のスコアは1年前に比べて約3/100 pt改善した。取締役会の改革による要因が最大だが、役員報酬インセンティブ、買収防衛策、自社株償却なども少しずつ改善の方向に向かってはいる。純投資以外の株式保有は減少傾向を示したが、これは株価下落によるものが大きいため、実質的改善はまだまだである。全体として改善傾向を示すものの、そのスピードは期待が高かった分だけ程遠いと言わざるを得ず、今後もウオッチすべき。
http://www.titlisgroup.com/mwbhpwp/wp-content/uploads/CGR-attribution20161008JP.pdf

東証:コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年7月時点)

東京証券取引所が、2016年7月現在の、上場企業のコーポレートガバナンス・コード対応状況の集計結果を公表しました。

コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年7月時点) | 日本取引所グループ

CG向上に不可欠な『役員力』強化のための唯一の公益法人BDTI

月刊『人材教育』8月号にBDTIの記事広告を掲載しました。
需要が増加している一日役員研修の他、昨年来充実を図ってきたe-Learningの『会社法』『金商法』『コーポレート・ガバナンス(基礎編)』『コーポレート・ガバナンス(実践編)』の全講座を何名でもご利用できる法人向け研修ツール『e-Learning無制限パッケージ』をご紹介しています。

日本総研:『 実効的な取締役等選任をサポートする日本版スキル&インテリジェンスマトリックスの必要性』

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/8885.pdf

「コーポレートガバナンス・コードは株主を含むステークホルダーに対する配慮を企業に求めており、 「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」において社会全体についての見識・洞察である 「インテリジェンス」を取締役等選任基準に含める必要がある。すでに一部の日本企業ではマトリッ クスという形式を採用していないものの、取締役等に求める経験・素養の一部を公表している場合が ある。今後は、多くの企業が「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」として包括的な選任 基準およびその説明を公表することにより、株主だけでなく、他のステークホルダーに対しても透明 性を確保することが望まれる。」

 

日本企業は取締役等に必要な資質や知識を十分議論した上で、適切な取締役等を指名すべき

日本版コーポレートガバナンス・コードは昨年上場企業に適用された。同コードは日本再興戦略で推奨され、中長期的な成長・企業価値創造を実現するための自律的な企業行動を促進するためのものである。コードは取締役等の責務と取締役会の実効性確保の前提について詳述しており、コードで示された原則の狙い・精神と照らして自社のガバナンス慣行を見直し、改善することを要請している。

日本企業は取締役等に必要な資質や知識を十分議論した上で、適切な取締役等を指名すべきである。

EY Japan FSO Thought Leadership:「地域銀行のコーポレート・ガバナンス報告書の分析~コード適用初年度のガバナンス状況」

Summary

・コーポレートガバナンス・コード適用初年度の「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の内容を中心に分析した結果、地域銀行のガバナンスの状況について以下の傾向がわかりました。

・地域銀行においては、監査等委員会設置会社へ移行する動きがみられます。また、同様に、任意の委員会を設置する動きがみられます。

・監査役会設置会社形態の地域銀行の2割で独立社外取締役が1名以下でした。また、実質的に4分の3の地域銀行で、取締役会評価が実施されていませんでした。

本報告では、今後の地域銀行(地方銀行、第2地方銀行)のガバナンスの動向を報告する最初の出発点として、2015年12月末時点の地域銀行のCG報告書を分析し、現状の地域銀行のコーポレート・ガバナンスの状況について解説します。なお、CG報告書の分析は、上場地域銀行(持株会社を含む)83社(行)を対象としています。・・・・」

「市場から問われるコーポレート・ガバナンスの実効性」~パネルディスカッション~

(ビデオ)

株式会社インベスター・インパクトと一般社団法人日本IR協議会共催のコーポレート・ガバナンスに関するセミナーのパネルディスカッションです。

パネルディスカッション
パネリスト
ブラックロック・ジャパン運用部門
ヘッド オブ コーポレートガバナンス・チーム 江良 明嗣 氏
みさき投資株式会社 代表取締役社長 中神 康議 氏
一橋大学 大学院商学研究科教授 Ph.D. クリスティーナ・アメージャン 氏
モデレーター
IR協議会専務理事 佐藤 淑子 氏

日本経済再生本部:日本再興戦略2016(素案)を公表

5月19日、日本再生本部は「日本再興戦略2016」(素案)を公表しました。

第一「総論」より一部抜粋

(P19)
「(3)未来投資に向けた制度改革
ア)コーポレートガバナンスの更なる強化
コーポレートガバナンス改革は、成長戦略の最重要課題である。その位置づけに変わりはない。600 兆円経済の実現に向けた成長市場が顕在化し、第4次産業革命という移り変わりが早い時代を迎えた今こそ、「攻めの経営」が求められているのである。
「企業と投資家の建設的な対話」、その実効性を上げていくことが求められている。魔法の杖がある訳ではない。関係者が、その重要性を認識し、様々な取組を積み重ねていくことが必要である。 コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へと深化させていくためには、機関投資家サイドから、上場企業に対する働きかけの実効性を高めていくことが有効である。このため、投資家には、企業側に「気づき」を与える対話を促していく。
あわせて、最高経営責任者(CEO)の選解任プロセスや取締役会の構成・運営・評価などに係る上場企業の取組状況を把握、公表していくこと等を通じ、コーポレートガバナンスの実効性向上に向けた上場企業による取組みを促していく。そして、そうした取組を支える基盤として、企業の情報開示の実効性・効率性の向上や株主総会プロセス電子化等を着実に進めていく。企業の情報開示については、「スチュワードシップ・コード」に掲げる企業と投資家の対話を促進する観点から、これまでの検討を土台にしながら、2019 年前半を目途として、国際的に見て最も実効的・効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定のための環境整備を目指すこととする。

過去最高の企業収益で、日本経済のフロンティアを切り拓いていく、そうした投資が求められている。

<鍵となる施策>
①企業と投資家の建設的な対話の基盤となる企業の情報開示の実効性・効率性の向上等
②株主総会プロセスの電子化 」