ACCJ、会社法制(企業統治)の見直しに関する中間試案にパブリック・コメント提出:タイムリーなCEO選解任を可能に、「執行役員」の条文化

在日米国商工会議所(ACCJ)は、法務省会社法制(企業統治等関係)部会で2018年年2月14日取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」に関する意見を4月12日に提出しました。

意見書では、経済産業省が2017年4月26日の会社法制部会にて提案した内容を支持し、「執行委員を会社法上の機関として制度化し、監査役会設置会社および監査等委員会設置会社の取締役会の決議によって選任できる業務執行者(代表権のあるCEOを含む)とすることを提案する。執行役員に会社法上の指名委員会等設置会社における『執行役』と同様の法的義務および責任を課すことを推奨する。」とし、その理由を以下の通り説明しています。

—-引用—-

①経済産業省は平成29年4月26日の法制審議会の会社法制部会で、「企業統治等に関する規律についての問題意識」にて同様に提案している。

②現行の監査役会設置会社および監査等委員会設置会社の法制度の重大な問題点の一つとして、新たな代表取締役・CEOの候補者としてタイムリーに検討し得る人材の数は非常に限られることが挙げられる。取締役でない業務執行者を株式会社の代表者として選定できるようにすることによってこの問題点の解決を促す。

③監査役会設置会社および監査等委員会設置会社において現在存在する執行役員は法律上規定がなく、執行役員は会社に対して忠実義務、善管注意義務を負わないため、会社の利益より自己の利益(例えば、出世)を優先させる。

④制度化なしの執行役員という役職名は、日本国民や海外投資家の混乱を招く。

経営法友会レポート「役員研修に関するアンケート結果の分析と今後の課題」2016年2月号

2016年の経営法友会のレポートに会社役員育成機構(BDTI)にとって興味深い「役員研修に関するアンケート結果」が掲載されていますので、一部抜粋してご紹介します。

  • アンケート実施時期:2015年6~7月
  • 回答社数:176社(連結売上高1,000億円以上の会社が73.3%)

「CGコードの原則4-14の文言「上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として」から、監督者としての役割を期待しているとも読み取れる。ただし、これまで日本の上場会社の役員研修は、この監督者としての能力向上を目的とすることに重きが置かれてこなかった。・・・取締役、特に社外取締役によるモニタリング能力の向上も視野に入れる必要がある。

  • アンケート結果から見える問題と今後の課題

1.役員研修の実施率について

役員研修実施率は社内取締役に対して53.9%、社外取締役に対して28.9%。アンケート回答会社の73.3%が連結売上1,000億円以上ということを考慮すると、実施率は低いという印象が拭えない。・・・就任時に十分な知識を習得しているケースは稀であると考えられ、役員研修を実施しないことは、新任の取締役に対していささか酷ではないかとの感がある。

経済産業省:「CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)ー第3回」

2018年2月22日にCGS研究会が開催されました。

企業アンケート調査結果の一部がこちらになります。

取締役会の構成・多様性

・各属性について、社外取締役の選任が進展。
・なお、他社の経営陣幹部経験者を社外取締役として選任している企業は約8割(前回比約5%増加)。
・取締役会の多様性のうち、女性・外国人に着目すると、女性の社外取締役を1人でも選任している企業は約3割。外国人については約5%程度。

 

1800社分析から見えてくるコーポレートガバナンス

メトリカルはこれまでの500社から1,800社に大幅に分析対象を拡大しました

メトリカルはこれまで3年間優良企業が多いとされるJPX400構成会社中心とした500社の分析をしてきましたが、時価総額100億円以上の会社をカバーする約1,800社を調査対象としました。分析は従来と同様に、10 の評価項目と20以上のサブ項目で、ボードプラクティスだけでなくCGプラクティス全体に影響を及ぼし、究極的には財務的パフォーマンスに影響を及ぼすアクションを評価に組み入れています。

日本総研コラム:「【創発eyes】 相談役・顧問制度についての情報開示期待の高まり」

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=31643

「コーポレートガバナンス・コード施行から3年目の株主総会シーズンが終わり、上場企業によるコーポレートガバナンス報告書公表も恒例となってきた。毎年の株主総会シーズンには、おのおの焦点となるテーマがあり、今年は 相談役・顧問のあり方が大きく取り上げられた。その先鞭となったのは2016年10月に公表された議決権行使助言機関ISSによる2017年版議決権行使助言改定案である。同案では相談役・顧問制度を定款で新たに規定する場合、当該企業の議案への反対を推奨するというものだった。実際にはそのような企業はほぼ無く、反対推奨は実際には機能しなかったものの、既に相談役・顧問制度を持つ企業およびその株主の反応に注目が集まった。中には日清紡ホールディングスのように相談役・顧問委嘱制度廃止を明言した企業もあったが、多くの企業は現状を維持しつつ、とりたてて情報開示をした企業はなかった。

そもそも相談役・顧問制度では社長・会長経験者等が退任後も会社に残り、役員時代と同様の待遇を受けている実態も少なくない。それでいて、活動内容や報酬については情報開示対象から除外されている。さらに取締役会の決定に対し実質的な影響力を及ぼす可能性が高いものの、仮にその結果として企業不祥事を引き起こしたとしても、株主に対する説明責任を負わない。その不透明さは以前より問題となっていたものの、折しもコーポレートガバナンス・コード施行により、日本企業の取締役会の慣行に注目が集まったことで、問題が再認識された格好だ。

BDTIの開示検索エンジンのご案内

  • 全上場企業の開示情報を一箇所で検索できる。
  • ガバナンス報告書をXBRLまたはExcel形式で作成できる。(URL付き)
  • 企業のガバナンスガイドラインもすぐに見つかる。
  • コピー出来ないPDFの内容をテキスト形式で簡単に抽出できる。
  • 集計データをBDTIスプレッドシートでクラウド保存できる。

BDTIの開示検索エンジンへ

BDTIの開示検索エンジンの使い方

 

 

優れた企業業績と相関性が高いのは?(調査サマリー)

公益社団法人会社役員育成機構(以下、BDTI)と株式会社メトリカル(以下、メトリカル)は、このほど日本の好業績企業のパフォーマンスとガバナンスストラクチャー/プラクティス及び企業の実際の行動がどのように相関しているかに関する研究を行い、第一次分析結果をBDTI主催の3月16及びゴールドマン・サックス証券主催の4月4日のセミナーにて報告を行った。当共同研究はまだ途中経過ではあるが、今後の分析に繋がる興味深い有用な指針がもたらされた。

BDTIとメトリカルでは、コーポレートガバナンスは優れた戦略・最適な資本配分及びその他の価値を生み出すための企業行動がなければ、それが有効に機能していないのではないかと考える。したがって、分析においては取締役会の運営・基本方針などのボードプラクティスと主要なアクションと価値の創造のリンケージと相関を見出すことを主眼とした。

パナソニックによるパナホームの買収 「会社非公開化」取引において少数株主は脆弱である

パナソニックによるパナホームの買収

「会社非公開化」取引において少数株主は脆弱である

Seth Fischer / セス・フィッシャー

Oasis Management Company Ltd. /

オアシス・マネージメント・カンパニー リミテッド

当社は日本の上場企業の幅広いポートフォリオに投資するファンドを勧めている。私は、日本のコーポレート・ガバナンスをグローバルスタンダード並みに向上させるという安倍政権の取り組みに励まされた。しかし、私も投資をしている係争中の住宅販売会社パナホームの支配株主である電子工業大手パナソニッックによる買収を見ると、日本にはまだ非公開化取引の不均整なリスクに対応する安全装置が確立されていないことがわかる。

米国および欧州のコーポレート・ガバナンス原則では、「会社非公開化」取引(すなわち、支配株主または現経営陣が上場企業の株式をすべて買い取ること)は特に慎重に扱われている。会社非公開化は当該会社の株主にとって異常に高いリスクを課すため、特別な配慮を要するものとされている。取得側には、大きな相反があるだけでなく、非継続株主に不利となるように会社の価値や価格を操作するのに絶好の立場にあるからだ。

パナホームの株主が米国であれば受けられる保護と、パナホームの株主が実際に受けている待遇を比較してみたい。

スチュワードシップ研究会、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案への意見書

一般社団法人スチュワードシップ研究会は、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案について、12月5日、意見書を提出し、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において企業が経営方針・経営戦略等を定めている場合の記載内容「当該経営方針・経営戦略」としている箇所に「資本政策の基本方針」の追記を要望しました。以下詳細。。。