メトリカル:5月株式相場は月初の上昇後は方向感のない展開。CG Top20株価はTopix、JPX400の両インデックスに対してアウトパフォーム。

月初は予想を下回る米国雇用統計を好感した米国金利低下を受けて、株式相場は上昇して始まったが、その後は方向感を欠く展開となった。5月1ヶ月間でのTopixとJPX400の両株価指数は1.42%、1.78%とそれぞれ上昇した。CGレーティング・スコア上位のCGTop20株価は2.17%と2ヶ月連続アウトパフォーマンス。

メトリカル:ボードダイバーシティの最初の一歩(ジェンダー・ダイバーシティ)

かねてより、当社は女性取締役数を「いかに会社が変わろうとするのか」を測るうえでボードプラクティスの重要なファクターの一つと位置付けています。BDTIの調査(2021年3月26日現在、3,622社)によれば、2016年の全体の1.4%からは格段に改善はされてはいますが、上場企業の女性取締役の取締役会に占める比率は全体の6%に留まっています(下のグラフ参照)。

Metricalの東証一部上場企業を中心とするユニバース企業の調査でも、女性取締役がいかに少ないかがよくわかります(下のグラフ参照)。2021年4月末現在、ユニバースの1,729の上場企業のうち643社(ユニバース企業全体に占める比率は37.2%)には女性取締役が存在していません。676社(同比率は39.1%)が1名の女性取締役を採用し、2名以上の女性取締役を採用している会社は410社(同比率は23.7%)にとどまっています。

メトリカル:4月の株式相場は新型コロナ感染拡大の懸念などから反落。1ヶ月間のCG Top20株価のパフォーマンスはTopix、JPX400に対して下落幅を抑制してアウトパフォーム。

4月の株式相場は3度目の緊急事態宣言に至るなど経済正常化期待が遠のく中で、月末から始まるGW前に手仕舞う動きが出て下落して終えた。当1ヶ月間ではTopixとJPX400の両株価指数は-2.82%、-2.93%とそれぞれ下落した。CGレーティング・スコア上位のCGTop20株価は-1.32%と下落幅を抑えてアウトパフォーマンス。

メトリカル:ポストコロナは資本配分政策がポイントか

新型コロナウイルス感染症の終息はまだ確信を持って見出さない中、経済の正常化に向けて資本市場は動き出しています。製造業の中には企業業績の回復を確認できる会社も少なくない状況にあります。このような状況を踏まえてポストコロナを見渡すと、経営は企業価値を高めるために資本の配分がいかにあるべきかを決定し、あわよくば投資家に対して資本配分方針を打ち出すことができることが望まれます。
資本配分方針は、今後の成長への投資と株主還元から成ります。ポストコロナにおける社会的変化やライフスタイルの変化に応じて、事業構造を適応していく中で検討されるであろうと予想されます。下表はMetricalリサーチユニバース約1,800社の配当方針スコアの分布を示しています。配当方針スコアは配当方針と実際の配当性向を比較した上で、最小0から最大5(配当性向50%以上)までスコアリングしています。現状では純利益の20%-30%に設定する会社が多いことがわかります。
標とも有意性のある正の相関関係の兆候が確認される必要があると思われます。今後は指名委員会のプラクティスの改善がさらに進んで行くか、他の価値創造指標と指名委員会スコアとの間で相関の兆しが出てくるのか、注目されます。

メトリカル:3月の株式相場は米国10年債利回りの上昇を懸念して神経質な値動きが続いたが、結局3月も上昇して終えた。1ヶ月間のCG Top20株価のパフォーマンスはTopix、JPX400に対してわずかにアンダーパフォーム。

3月の株式相場はワクチン接種が順調に進む米国経済再開期待から債券利回りの上昇ペースの速さを懸念した米国株式相場の変動を受けて月半ばに大きく下落したものの、その後の堅調な米国株式相場に支えられて3月も上昇して終えた。当1ヶ月間ではTopixとJPX400の両株価指数は4.82%、4.48%とそれぞれ上昇した。CGレーティング・スコア上位のCGTop20株価は4.16%上昇とわずかにアンダーパフォーマンス。
別件になるが、日銀はかねてよりETF買いによって日経225インデックスの価格形成を歪めているのではないかとの指摘されていたが、4月より日経225連動のETFの買いを行わないとの政策変更があった。一方で、日銀のETF買いでは機械的にインデックス構成銘柄の全ての会社を買うことになっているので、ガバナンス視点としていかがなものかとのもう一つの指摘があったが、その返答はETFの運用会社がその任にあるとのことであった。

メトリカル:コーポレートガバナンス1,800社スコア(2021年2月末)分析

コーポレートガバナンス1,800社スコア(2021年2月末)分析を元にしたコメントをご案内いたします。
今月は個別企業のコーポレートガバナンスに関する詳細レポートをご参考までにご案内いたします。本メールではサマリーページのみをご紹介しますが、全文は本メールのリンクをクリックしてお読みいただけます。ご参考になりましたら幸いです。

(サンプル)コーポレートガバナンス・リサーチ: ディスコ (6146) – 2020年8月13日発行

サマリー:
ディスコのコーポレート・ガバナンスは平均をやや上回っています。ディスコのコーポレートガバナンスは平均をやや上回り*、ROEなどの財務パフォーマンスも平均以上。株主還元策を含め、資本政策が明確に示されています。業績の良さも相まって、株主は喜んで株式を保有すると推測されます。一方で、コーポレート・ガバナンスのリサーチは、将来的に発生するリスクを未然に防ぐことに役立つことが期待されます。このような観点から当社を分析すると、企業のコーポレート・ガバナンスの実践には多くの課題が散見されます。
取締役会のあり方については、取締役会の性別・国別の多様性を高め、できれば社外取締役が過半数を占めるようにすべきです。取締役会は毎年再選されるべきであり、社外取締役は学歴よりもビジネス経験のある人材が望ましいと考えられます。指名・報酬委員会は透明性と客観性を持って運営されるべきです。実際には、委員長は社長が務め、元会長(元CEO顧問、現職)が委員を務めています。
報酬インセンティブについては、経常利益率10%以上を達成した場合の基準ケースでは、固定給と取締役の業績連動報酬の配分が半々となっています。安定した給与を先に支払うスキームや計算式になっています。インセンティブにおいても、ストックオプションは、普通株式とは異なる非対称的な損益プロファイルであることに加え、市場価格と取締役へ付与する1株1円のコストの価格差において利益を提供するスキームにはいくつかの問題があります。

メトリカル:2月の株式相場は月末に急落して終える。 当月1ヶ月間のCG Top20株価はTopixおよびJPX400に対してアンダーパフォーム

2月の株式相場は前月末急落を即座に埋め、日経225株価指数は30年ぶりに3万円台に乗せる好調な滑り出しとなったが、米国債金利の上昇を懸念したテクノロジー株中心に米国株の大幅下落を受けて、月末最終日に急落して終えた。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間では、CGレーティング・スコアTop20株価は1.61%上昇した一方、TopixおよびJPX400は3.17%、2.91%それぞれ上昇した。累積のパフォーマンスでは引き続き下記のチャートの通り大きくアウトパフォーマンス。

メトリカル:指名委員会スコアと株価の関係に変化の兆し

Metricalではこれまでコーポレートガバナンス・プラクティスの改善がいかに企業の価値創造に寄与するかを調査してきました。そのため、コーポレートガバナンスのプラクティスの各クライテリアと価値創造指標の代表としてROE、ROA、株価(トービンのQ)との相関を統計分析してきました。コーポレートガバナンスのプラクティスの重要なクライテリアの一つである指名委員会スコアとトービンのQの間に初めて統計的に正の相関が確認されました。約3年間の分析期間で初めてのことです。

指名委員会は取締役会メンバーの決決定に深く関与し得る機関であることから、取締役会の骨格を決める役割を担う重要なコーポレートガバナンスのプラクティスです。それゆえに現経営陣にとっては取締役の人事権を指名委員会に委ねるのは相当な抵抗があることは容易に推測できます。従って、当プラクティスの改善のスピードは他のプラクティスに比べて、これまで遅れがちでした。Metricalでは指名委員会が透明性と客観性を確保するべきとの観点から、(1)指名委員会(諮問委員会含む)の有無、(2)社外取締役が委員長を務めているか、(3)社外取締役が委員会の過半数を占めているか、に注目してスコアリングしています。

下表はMetricalユニバースの1,737社の指名委員会の設置状況をお示ししています。年々改善の方向に進んでいますが、ユニバースの1,737社のうち69社だけが指名委員会設置会社の立て付けで指名委員会を設けています。しかし、その69社の全社の指名委員会の委員長が社外取締役で、また58社の指名委員会で社外取締役がそのメンバーの過半数を占めています。指名委員会設置会社は圧倒的に少数ですが、その透明性と客観性の確保に努めていることは評価できます。一方で、指名委員会設置会社の立て付けでなく、緩め?の諮問委員会としての指名委員会を設けている会社は1,025社にのぼります。そのうち社外取締役が委員長を務めている会社が550社、社外取締役がそのメンバーの過半数を占めている会社が676社でした。以前に比べると当プラクティスの改善の進捗は進んできましたが、報酬委員会と比べると遅れています。諮問委員会としての指名委員会も設置していない会社は643社でした。

メトリカル:1月の株式相場は月半ばの高値から月末にかけて急落して終える。1ヶ月間のCG Top20株価のパフォーマンスはJPX400に対してアンダーパフォームするもTopixに対してアンダーパフォーム。

1月の株式相場は前月末の好地合を受けて上昇して始まった。その後は好調な決算の期待と世界的な金融緩和継続観測に伴い上昇相場が期待されたが、月末の米国株式相場の乱高下・急落により、急落して終えた。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間では、CGレーティング・スコアTop20株価は0.89%下落した一方、Topixの上昇とJPX400は0.29%、0.49%それぞれ上昇。累積のパフォーマンスでは下記のチャートの通り大きくアウトパフォーマンス。

メトリカル:ポスト・コロナはファミリー企業に注目

新型コロナウイルス感染拡大による社会生活の変化に伴い、経営を取り巻く環境が大きく変容しています。ポスト・コロナを念頭にこの環境変化に適応することが最大の経営課題となっています。この変化に迅速且つ柔軟に適応するための一つの鍵が経営のリーダーシップであると思われます。相対的に経営スピードが速いとみられるファミリー企業の動きに注目が集まることが予想されます。これまでも弊社リサーチでは、創業家ファミリーが20%以上保有する会社のパフォーマンスが平均よりも相当に高いことを述べてきました。直近のデータをもとにあらためて注目したいと思います。下記の2つのグラフは、ROE(実績)とトービンのQでファミリー企業(創業家ファミリーが20%以上保有する会社)とユニバース1,743社の分布を示しています。ROE(実績)とトービンのQのいずれもユニバース1,743社に比べてファミリー企業の方がより高い数値に分布していることがわかります。ファミリー企業が今後も素早い経営スピードで今回の変化に適応し、より高い収益力を実現することができるのか、株価パフォーマンスにも反映されるのか、今後注目されます。