メトリカル:11月の株式相場はワクチン早期摂取・流動性拡大などの期待から大幅な上昇。CG Top20株価はTopix, JPX400に対してアンダーパフォーム。

11月の株式相場はファイザーが新型コロナウィルスワクチン申請したことから景気回復期待と米国FOMCを受けてさらなる流動性拡大の期待などから大幅に上昇した。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間ではそれぞれ10.67%および11.72%上昇。CGレーティング・スコアTop20株価は9.16%と両株価指数の上昇には及ばなかったものの大幅上昇で終了した。

メトリカル:10月の株式相場は月末にかけて 大きく下落。CG Top20株価はTopix, JPX400に対してアンダーパフォーム。

前月までの上昇トレンドから、10月の株式相場は欧州や北米でのコロナウィルス感染者数増加を懸念して、月末にかけて値を崩した。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間ではそれぞれ02.81%および2.75%下落。CGレーティング・スコアTop20株価は5.41%と両株価指数に対して大幅アンダーパフォームした。累計のパフォーマンスでは大きくアウトパフォームを継続(下チャート参照)。

メトリカル:ファミリー企業の株価と投資戦略

前回の記事では、日本特有の「親子上場」に注目しました。当社ユニバース会社を大株主の持ち分によって3つのグループに分類しました:(a) 50%以上の株式を保有する大株主が存在する会社、(b) 20%以上50%未満の株式を保有する大株主が存在する会社、(c)20%以上の株式を保有する株主が存在しない会社。 親会社が所有する上場子会社および関連会社または創業者ファミリー企業は、ROAやROE、トービンのQなどの主要パフォーマンス指標において優れていることをお示しいたしました。この点で、親会社が相対的に収益性の高い上場子会社や関連会社を完全子会社化するなど連結化して、親会社の収益を引き上げることは自然な流れと考えられます。事実このようなケースは増加傾向にあります。 親会社による利益率の高い上場子会社の買収を先取りして、上場子会社(および関連会社)に投資する投資戦略をご案内いたしました。
今回の記事では、逆に株価が安く推移しているファミリー企業に注目しました。株式公開にはいくつかの目的がありますが、資金調達手段の多様化が目的の1つである場合、株価が低いこのような状況ではその目的が達成されません。株式上場を再検討する選択肢もあるのではないかと思われます。経営側から見ると、MBOなどを通じて非上場化することも選択肢の一つです。下表は、ユニバースのファミリー企業の中で持ち分50%以上と20%以上50%未満の2つのグループに分けて、TobinのQが0.8未満の会社をお示ししています。ROAとROEが低い企業にとっては、収益性のパフォーマンスが振るわないことが株価の低い理由と考えて良い場合が多いと思われます。しかし、ROAとROEが高くても株価が低いファミリー企業も散見されます。収益性のパフォーマンスは問題ないが株価は低いままの企業にとって、「非上場化」を検討することも方策の一つになりえます。投資家がエンゲージメントにおいて実際にそのような提案なり行動をするかどうかは別として、そのような視点に着目した投資戦略ということができます。

メトリカル:9月の株式相場は小幅高。CG Top20株価はTopix, JPX400に対して、大きくアウトパフォーム。

前月までの大幅上昇から、9月の株式相場は小幅高で終了。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間ではそれぞれ0.52%および0.11%上昇。CGレーティング・スコアTop20株価は2.28%と両株価指数に対して大幅アウトパフォームした。累計のパフォーマンスでも大きくアウトパフォームを継続(下チャート参照)。

メトリカル:株主構成とパフォーマンス指標、投資戦略

当社はこれまで、大株主による株主保有形態と収益指標ならびに株価に統計上有意性のある相関があることに着目していました。株主の持ち分によって会社を大きく3つのグループに分類して考えてみます。(a) 50%以上の株式を保有する大株主が存在する会社、(b) 20%以上50%未満の株式を保有する大株主が存在する会社、(c)20%以上の株式を保有する株主が存在しない会社に分けて、当社ユニバースでパフォーマンス収益指標ならびに(過去3年間平均ROE, ROA)およびトービンのQで比較したのが下表です。


これを見ると、大株主が存在する会社のグループ(a)および(b) の大株主が存在しない会社のグループ(c)に比べて、ROA, ROE, Tobin’s Qのいずれにおいてもかなり高いことがわかります。この理由にはいくつかの仮説が考えられるでしょう。大株主の存在がリーダーシップを発揮しやすく迅速な経営判断が行われる、経営目標が株主目線に近くなる、多様な事業を抱えたコングロマリット企業が少なく得意事業に集中している、等々が考えられます。コーポレートガバナンスの観点で考えると、大株主以外の一般少数株主の声が経営に反映されづらいことから、大株主の存在は必ずしも良い面ばかりではありませんが、利益率と株価においては大株主の存在がプラスに作用しています。

メトリカル:8月の株式相場は堅調。米国株式相場高に支えられ、月前半の上昇を保って終了した。CG Top20株価はTopix, JPX400に対して、当月1ヶ月間はアンダーパフォームだが、累計では大きくアウトパフォーマンス。

8月の株式相場は前月末からの好地合いを引き続き、月初から上昇。その後も米国株式相場高を好感して、堅調な展開が続いた。
Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間ではそれぞれ7.95%および8.03%上昇。CGレーティング・スコアTop20株価は構成銘柄の一部の下落(塩野義製薬 [4507]、KDDI [9433]、NSD [9759]など)により+3.72%と両株価指数に対して今月はアンダーパフォーム。累計のパフォーマンスは大きくアウトパフォームを継続(下チャート参照)。

メトリカル:株主構成とパフォーマンス指標、投資戦略

当社はこれまで、大株主による株主保有形態と収益指標ならびに株価に統計上有意性のある相関があることに着目していました。株主の持ち分によって会社を大きく3つのグループに分類して考えてみます。(a) 50%以上の株式を保有する大株主が存在する会社、(b) 20%以上50%未満の株式を保有する大株主が存在する会社、(c)20%以上の株式を保有する株主が存在しない会社に分けて、当社ユニバースでパフォーマンス収益指標ならびに(過去3年間平均ROE, ROA)およびトービンのQで比較したのが下表です。

メトリカル:コーポレートガバナンス1,800社スコア(2020年7月末)の分析

当社はこれまで、コーポレートガバナンスの向上と株価ならびに収益指標(ROE, ROA)との関係性に着目して分析を進めてまいりました。長期のホライズンの投資家目線でコーポレートガバナンスの行方を見ているのがその理由です。また、今月からは収益指標(ROE, ROA)に関しましても、長期の株主価値の最大化もしくはサステイナブルな収益の向上が株式会社と株主の共通の目標であることから、各社の過去3年間の平均値をベースに分析することといたしました。

株価は株式会社の重要な指標の一つであることは言うまでもありません。以前のコメントでもIRや株主総会開示情報と株価(トービンのQ)、収益指標(ROE, ROA)およびコーポレートガバナンスの総合スコアと相関が高いということを述べました。情報開示は経営の透明性の出発点であり、とても重要です。実際に株価面でも上記情報開示の努力が報われている結果を表しています。当社では、毎年7月のコーポレートガバナンスの総合スコア上位20社をCG Top20として株価指数化して、代表的な株式市場の指数(TOPIX, JPX400)と比較して毎月お示ししています。その20社の構成会社を見直すのが当月でした(コーポレートガバナンスのスコア自体は毎月変動しています)。2018年にユニバースを500社余りから1,800社に拡大したことと、コーポレートガバナンスの改善に取り組む会社の裾野がそれまでの限られた大企業から広がってきたため、その顔ぶれが変わってきました。本年度は6社が昨年度から入れ替わりました。まるっきり新登場の4社は、塩野義製薬、メイテック、ケネディクス、ネットワンシステムズ、NSD。復活組の2社は、カカクコムとオムロンです。