試算:日産が支払うことになる損害賠償額はいくらか

ゴーン氏の刑事事件が進行している。刑事事件だけではことは終わらない。日産が投資家から民事事件を提起されるのは、時間の問題である。ゴーン氏の報酬過少記載に起因して、日産からはかなりの資産が流出すると見込まれる。資産流出の一番大きな部分を占めるのは、投資家が提起する損害賠償請求訴訟であろう。一体いくらの資産流出となるのか、計算を試みた。投資家からの請求に利用される条文の中心となるのは、金融商品取引法21条の2第2項である。この条文は、立証責任を被告に転換し、公表日の前1ヶ月間の株価平均と、公表日の後1ヶ月間の株価平均を計算し、その差分を損害であると推定する。

金融庁、「記述情報の開示に関する原則(案)」公表

金融庁は、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(平成30年6月28日公表)の提言を受け、ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実を図るため、企業が経営目線で経営方針・経営戦略等、経営成績等の分析、リスク情報等を開示していく上でのガイダンスを、記述情報の開示に関する原則(案)として取りまとめました。

役員会議のデジタル化に関する5つの誤解

今日、情報技術の進歩は企業経営やコミュニケーション手段においても大きな変化をもたらしている。役員会議においては、紙媒体から徐々にボードポータルに代表される最新技術を搭載したツールやプロセス自動化への移行によって、役員の職務の合理化が進んでいる。

しかしながら、企業においてボードポータルの導入が一体どのようなメリットをもたらしてくれるのか明確に把握出来ず、導入を躊躇している担当者が多いのが現実である。また様々な技術的懸念が検討を進めるにおいて障害となっている事例もよく見受けられる。

本当の「安定株主[1]」比率はどれくらいなのか?

企業年金連合会 コーポレートガバナンス担当部長
公益社団法人 会社役員育成機構 理事
北後(ほくご) 健一郎[2]

「安定株主」、「政策保有株式」、「持ち合い株式」等々、本件に関する呼び名はいくつかあり、特に海外投資家にとっては理解しづらい。彼らは「Cross Shareholdings(持ち合い株式)」という言葉のみを主に聞くのみであり、そこにある日本特有の商慣習の微妙なニュアンスにまで考えが至らないことがほとんどである。筆者は、この数ある呼び名の中でも、コーポレートガバナンスにとっては「安定株主」が最も重要な概念であると考える。従い、実際の「安定株主」はどれくらいの「規模」で、コーポレートガバナンスの改善にどのようなインパクトがあるのか、アセットオーナーの立場としての考えをまとめてみたい。

筆者は、海外出張時に必ずと言っていいほど「日本のコーポレートガバナンスの現状」という題目での講演を依頼されるが、その際に一番やっかいなことは、海外投資家の頭の中には「日本の持ち合い株は10%かそれ以下になった(と報道されている)のだから、それはもう問題ではないだろう」という、点である。無論、著名な研究機関のアナリストによる分析を立派なメディアが報道しているのでその数字自体が間違っているわけではない。しかし、その数字がどのように計算されたのか、その数字だけが全てなのか、という点を説明するのに一番苦労するのである。言うまでもないが、筆者は講演において、海外投資家に日本株式への投資を思いとどまらせるなどという意図は毛頭ない。日本の株式市場の価値極大化はアセットオーナーである我々の悲願でもある。日本のコーポレートガバナンスの進捗をスピードアップし、本物にするためにも、きちんとした現状理解をした上で投資するように講演では聴衆に伝えているのである。

CG Top20株価は株価指数Topix, JPX400に対してアウトパフォーマンス拡大続く(2018年8月末)

2018年8月の株式市場は低調な売買高が続く中、中旬に株式相場が一旦下落したが、月末にかけて下落分を取り戻した。一方で、CG レーティング・スコアTop20株価パフォーマンスは株式相場同様一旦は下押したものの、月末に向かって堅調に推移した。Topix, JPX400の両株価指数に対してアウトパフォーマンスを維持した。METRICALのCG Top20株価は主要株価指数に対してアウトパフォーマンスを拡大している。株価チャートとCG Top20構成会社については下記のリンクからご参照いただけます。

http://www.metrical.co.jp/mwbhpwp/wp-content/uploads/CGPresentation1no-coversheet.pdf

ご意見、ご感想などございましたら、是非ともお聞かせください。
また、詳細分析やデータなどにご関心がございましたら、ご連絡ください。

株式会社メトリカル
エグゼクティブ・ディレクター
松本 昭彦
http://www.metrical.co.jp/jp-home/

COMEMO:「SDGsとSDIs」

「持続可能な開発目標(SDGs)は2015年9月に採択されて以来、日本の国内外で急速に浸透しています。ただし特に欧州と日本ではその取扱いに差があるように思えます。端的に言うと日本では投資リターンへの寄与、欧州はインパクト […]

BDTI 日米クラスアクション・リスク管理研究会報告書(第4号)

本号からお読み頂く方のために。BDTIは、日米のクラスアクションを比較し、日本企業が取り組むべきリスク管理を考えるセミナーを2017年1月に実施した。多くの有意義な提言がなされたが、同時にクラスアクションを研究する場の必要性も認識された。こうして始まったのが、本研究会であり、研究成果をまとめたのが本報告書である。(第1号はこちら)(第2号はこちら(第3号はこちら)

Ⅰ. 本研究会の目的目的
Ⅱ. 本研究報告書の利用上の注意と構成
Ⅲ. 日米クラスアクション制度の俯瞰
Ⅳ. 米国クラスアクション制度の概要と実務上の問題
1. 国におけるクラスアクションとは
2. 米国におけるクラスアクションの動向
3. クラスアクション手続の概要
4. クラスアクションにおける証拠開示手続をめぐる問題
5. クラスアクションの防御戦略
6. クラスアクションの和解戦略
7. 和解と経営判断-企業存続にかかわる事態を避けるために
Ⅴ. 新法によるわが国制度の概要と実務上の問題点(以下本号)
1. 新法制度の背景
2. 新法の特徴
3. 新法による手続の流れ
4. 特定適格消費者団体
5. 新法のリスクと対象事案のイメージ
6. 考えられる対策

COMEMO:「ESGを大学でもっと取り上げよう」

「千葉商科大学が給付型奨学金の安定的な原資形成等を目的として10億円をESG投資に充てると発表しました。もちろんそれ自体も素晴らしいことですが、学部横断的な特別講義「サステナブルな暮らしを考える」を展開しており、事業活動・財務活動の両面でESGの推進に努めています。以下の記事でも説明していますが、このような動きは社会全体で進めるべきで、大学がその重要な一翼を担うと考えています。」

https://comemo.io/entries/8496

日産最終報告書

日産の最終報告書についても、気になる点をまとめてみました。
https://www.nissan-global.com/PDF/20171117_report01.pdf

今回の問題を、取締役会が防ぐことができたのか、との視点でみると、客観的な経営数字の作り方、情報の流れがポイントであろうと思い、関係箇所を拾い出してつなげてみました。部署や工場が異なる記載部分をツギハギしていますから、あくまでイメージであり、実態はそこまで酷くないということもあることには注意したいと思います。