ISS: 2021年版日本向け議決権行使助言基準を公表

ISSは、「2021年版 日本向け議決権行使助言基準」(2021年2月1日施行)を公表しました。

今回の改訂のポイントは、政策保有株式を過度に保有する企業の経営トップに反対するとしている点です。具体的には純資産の20%を超える政策保有株式を保有する企業の経営トップの取締役選任議案に反対推奨するというものです。

政策保有株式保有基準(2022 年 2 月導入予定)
資本の非効率的な配分や資本の空洞化など株式持ち合いに起因する問題は、日本のコーポレートガバナンス上最も大きな問題だと言われている。日本では事業上の関係維持のため、顧客、調達先、借入先などの他の企業の株式を純投資以外の目的で保有する慣習が広く見られる。株式持ち合いのために投入された資本は本業の設備投資、事業買収、配当や自社株式取得などに充当することができず、株式を持ち合う行為は株主の長期的な利益に反する懸念がある。さらに常に会社提案議案に賛成する一方で株主提案には反対するように議決権が行使されるため、市場による規律の低下が懸念される。また、政策保有株式の保有は資本生産性の低下を招くことがある。資本生産性の低が、数十年にわたる日本の株式投資の収益性の低さに影響しているとも指摘される。

全2回SWU&BDTI「役員・執行役員研修」を開催しました!

BDTIでは、昭和女子大学キャリアカレッジと協力し、ダイバーシティー&インクルージョンの課題を含む「役員・執行役員研修」研修を2月18日と3月4日に開催しました。

幹部候補となる中間管理職の女性を育てることは非常に大事です。今回BDTIが昭和女子大学キャリアカレッジと連携したのも、多様な人材を活用するダイバーシティ経営のための人材育成が大事だと考えたからです。全2回のコースには、様々な業種において経験豊富な10名の女性が参加しました。

「役員・執行役員研修」は、コーポレートガバナンス・コード(CGC)の提唱者であるニコラス・ベネシュをはじめ、昭和女子大学キャリアカレッジ熊平美香学院長、各分野の専門家が講師となり、取締役や監査役(役員)に必要な基本的知識を身につけ、自身の経験や意見交換を行い、活気ある研修となりました。

男女共同参画には、男性幹部の関与が重要であるという考えが一般的になっています。今回のコースにはBDTIとしては、男性女性が半々くらい参加してくださると期待していましたので、その点は残念でした。ガバナンスを有効にする要素、ダイバーシティ・インクルージョンは女性だけでは実現できません。男性にこそ女性を登用する重要性をご理解いただき、女性には尻込みせずにチャンスを生かして頂き、多様で包摂的な上層部・取締役会が構成されることを期待しています。これを実現するには日本企業は全ての人材をより生かせるマネージメント・スタイルおよび働き方を工夫することが不可欠です。

【GHIPPからのご案内】第3回クライシス・シミュレーションワークショップ 参加者募集開始

(English follows Japanese)

国際情勢や外交問題、周辺地域情勢をとりいれ、疑似体験として危機管理を学ぶクライシス・シミュレーション・ワークショップのご案内です。第3回ワークショップを3月18-19日に開催いたします。米国から国防総省やホワイトハウスでの経験をもつ第一線の専門家を招き、周辺地域の危機にどう各自が対処していくか実践的に学びます。これまで対面で行ってきましたが、新型コロナ感染防止のためオンラインで実施します。第一次応募締切は2月17日になります。 本プロジェクトは米国国務省の支援を受けております。両日参加できる方の応募を受け付けます。

詳細はこちらになります。
日本語ページ:http://www3.grips.ac.jp/~GHIPP/crisis-simulation3/

分野: ヘルス・国際関係・周辺地域情勢
ワークショップ開催日時:2021年3月18日&19日(木金)両日 09:00 – 12:00正午(日本時間)
            2021年3月17&18(水木)両日 19:00-22:00 EST (米国東部時間)
言語:English
定員: 25人 (ワークショップ両日、全参加できる方のみ)
場所:Zoom (詳細は参加者の方にお知らせします)
参加費:一般個人(6,600円)
応募資格:英語で議論できる方(大学院生、社会人経験2年以上の方)
応募要領
(一般個人参加:公募・選考):以下の情報を添えて、apply@jsie.net まで送付してください。
– 英文履歴書 (書式自由、専門分野・職務経験、英語レベルなどについて記載してください。)
– 自己紹介文(英文1パラグラフ)
ー選考基準:経験や多様性を重視します。
応募締切:
一次募集 2021年2月17日 正午締切。(応募多数の場合、選考という形になります)
二次募集 Waiting list もしくは 一次で空きがある場合、順次お知らせいたします。
一次募集 選考結果:2021年2月19日

お問い合わせは、Global Health Innovation Policy Program 村上まで( hi-murakami at grips.ac.jp)。
提出いただいた情報はワークショップ実施の目的以外には使用いたしません。
本プロジェクトは米国国務省の助成を受けております。
企画運営代行:一般社団法人 JSIE

メトリカル:指名委員会スコアと株価の関係に変化の兆し

Metricalではこれまでコーポレートガバナンス・プラクティスの改善がいかに企業の価値創造に寄与するかを調査してきました。そのため、コーポレートガバナンスのプラクティスの各クライテリアと価値創造指標の代表としてROE、ROA、株価(トービンのQ)との相関を統計分析してきました。コーポレートガバナンスのプラクティスの重要なクライテリアの一つである指名委員会スコアとトービンのQの間に初めて統計的に正の相関が確認されました。約3年間の分析期間で初めてのことです。

指名委員会は取締役会メンバーの決決定に深く関与し得る機関であることから、取締役会の骨格を決める役割を担う重要なコーポレートガバナンスのプラクティスです。それゆえに現経営陣にとっては取締役の人事権を指名委員会に委ねるのは相当な抵抗があることは容易に推測できます。従って、当プラクティスの改善のスピードは他のプラクティスに比べて、これまで遅れがちでした。Metricalでは指名委員会が透明性と客観性を確保するべきとの観点から、(1)指名委員会(諮問委員会含む)の有無、(2)社外取締役が委員長を務めているか、(3)社外取締役が委員会の過半数を占めているか、に注目してスコアリングしています。

下表はMetricalユニバースの1,737社の指名委員会の設置状況をお示ししています。年々改善の方向に進んでいますが、ユニバースの1,737社のうち69社だけが指名委員会設置会社の立て付けで指名委員会を設けています。しかし、その69社の全社の指名委員会の委員長が社外取締役で、また58社の指名委員会で社外取締役がそのメンバーの過半数を占めています。指名委員会設置会社は圧倒的に少数ですが、その透明性と客観性の確保に努めていることは評価できます。一方で、指名委員会設置会社の立て付けでなく、緩め?の諮問委員会としての指名委員会を設けている会社は1,025社にのぼります。そのうち社外取締役が委員長を務めている会社が550社、社外取締役がそのメンバーの過半数を占めている会社が676社でした。以前に比べると当プラクティスの改善の進捗は進んできましたが、報酬委員会と比べると遅れています。諮問委員会としての指名委員会も設置していない会社は643社でした。

メトリカル:1月の株式相場は月半ばの高値から月末にかけて急落して終える。1ヶ月間のCG Top20株価のパフォーマンスはJPX400に対してアンダーパフォームするもTopixに対してアンダーパフォーム。

1月の株式相場は前月末の好地合を受けて上昇して始まった。その後は好調な決算の期待と世界的な金融緩和継続観測に伴い上昇相場が期待されたが、月末の米国株式相場の乱高下・急落により、急落して終えた。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間では、CGレーティング・スコアTop20株価は0.89%下落した一方、Topixの上昇とJPX400は0.29%、0.49%それぞれ上昇。累積のパフォーマンスでは下記のチャートの通り大きくアウトパフォーマンス。

2021.04.21(水)一日役員研修 『国際ガバナンス塾』決定!

 

BDTIの役員研修

会社役員育成機構(BDTI)では、コーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるための研修「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支える立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。ケース・スタディを随所に組込んだ実践的な研修です。
各専門分野の講師による講義に加えて、画面を通じてのディスカッションもございます。是非、ご参加ください。

お申込みいただいた方には、eラーニングコース「会社法」「金商法」「コーポレート・ガバナンス (基礎・実践編の2コース)」の4コースすべて6ヶ月使用権が付与されます!

8/11(火)~8/14(金)オフィス・クローズとなります。

BDTIウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

2020年8月11日(火)~8月14日(金)は夏季休業の為、オフィス・クローズとさせていただきます。
休業期間中のお問い合わせに対する回答は、2020年8月17日(月)以降となります。

休業期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

オリンパス事件を参考に考える公益通報者保護法改正案

現行の公益通報者保護法は2004年に制定、2006年に施行された。三菱自動車によるリコール隠しや雪印食品による牛肉産地偽装がきっかけになったと言われている。しかし、施行当初から、その保護対象事実の狭さや、報復禁止の実効性の乏しさなど、不十分さが指摘されていた。国会の付帯決議や法律の附則に基づき、消費者委員会公益通報者保護専門調査会が設置され、改正議論がなされていたが、その速度は遅々としたものであった。2018年12月に同調査会報告書がようやくまとまり、対象となる法律を定める別表についてのパブリックコメント募集を経て、2020年3月9日に改正法案が閣議決定を受け、国会に上程される運びとなった。

法案の主な改正点には、次のようなものが含まれる。

取締役候補者からのキリンHDの株主へのメモ

インデペンデントフランチャイズパートナー(IFP)は、菊池 加奈子氏(経験豊富なグローバル製薬幹部)と私を独立社外取締役として指名する株主提案をキリンホールディングス(KH)に提出しました。Glass Lewisは二人の選任を支持していますが、ISSは中途半端な「妥協」をして菊地氏の人材価値を認めながら、どういうわけか私だけを支持しているようです。

ですが現実問題として、投資家が菊地氏を支持してくだされば、取締役会がキリンホールディングスの企業戦略について十分な業界知識・情報・分析に基づいた客観的かつ独立した継続的評価を実際に行う確率が高くなります。このような客観的な評価はキリンホールディングスの将来価値向上には不可欠でしょう。

二人ともIFPとは以前から関係は一切なく、IFPの他の株主提案とも関係がありません。それらの提案については、中立的・独立した姿勢をとっています。 株主が配当提案を支持しない場合、我々が取締役会に参加し、質問できる状態になり、内部分析および機密情報が明らかになるまで、戦略に関する決定を保留することが最も賢明であると考えています。したがって、すべての事実を知る前に事前に決定することなく、二人は取締役会に参加するーこれが、真に独立した取締役として取ることができる唯一の論理的な方法です。私の個人哲学と法的義務はすべての株主に答えることであります。IFPがこれまでに取った、あるいは将来取る可能性のある立場に同意できない可能性があることはIFPに明確な形で伝えています。 IFPはこれで問題はないとしています。(もちろん、逐一IFPの「許可」を得る必要は全然ありませんが。)

多くの投資家は、今こ菊地氏の知識および経験が必要とされているのにも関わらず同氏が選任されなければ、取締役会にグローバルなバイオファーマ企業で経験を持つ人が一人もいないことに気付いていないかもしれません。キリンホールディングスはヘルスサイエンス・バイオファーマなどの分野へ事業の多角化を目指す成長戦略を考えれば、この状況は賢明ではなく、私にとって大きな懸念です。

ニコラス・ベネシュ:「コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス ~社外取締役としての証券アナリストの可能性~ 」

2019年12月11日に日本証券アナリスト協会にて弊機構代表理事のニコラス・ベネシュが表題の講演を行いました。以下に講演要旨を掲載致します。

当日の資料(全文)はこちら:「コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス」 (以下の画像は一部のみです。)

目次

  1. サマリーとBDTIの紹介
      ~なぜガバナンス情報分析および役員研修が重要か
  2. コーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係
  3. 投資家に対するアドバイスおよび、今後の研究の展望とAppendix
  4. 独立社外取締役としての証券アナリスト
    質疑応答

今日話す2つの主なテーマは、1つ目はコーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係、2つ目に、社外取締役としての証券アナリストの可能性である。

サマリーとして、ガバナンス改善の効果はあり、これからも期待できるとしているが(資料3頁)、道半ばである。機関投資家は意思表示しているが、エンゲージメントにおいて、まだまだ具体的な期待値・要望を書面で詳しく書いてない。しかしながら、少しずつ向上しているので、政策保有株の壁の崩壊もいずれ3~4年以内に起きると思える。役員研修や近代的な人事制度・慣行の方針や政策については、各社がレベルアップする必要がある。超過パフォーマンスと相関関係のありそうな有意な要因は徐々に見えてきた。例えば、当法人の今までの分析では、独立社外取締役が50%以上であることや、人事諮問委員会の存在、大株主の存在などはその有意な要因であると示されている。また、会社が約30年以下で若くなればなるほど、平均値のパフォーマンスが上がることが見つかっている。皆、そうではないかと思っていたと思うが、政策保有株が少ないほど、だいたいパフォーマンスが良いことを後述する。今日の1つのメインテーマ、因果関係がどの方向へ行っているかについて話をする。

その前に、会社役員育成機構(BDTI)について紹介する(資料5頁)。日本証券アナリスト協会と同様に、内閣府の立ち合い調査を受けている公益法人だ。ちょうど10年前に設立し、1年半後に公益認定を受けた。受けた1つの目的は、単純に日本政府に、歴史上初めて、取締役の研修をすることが社会にとって良いことであることを正式に認めてもらいたかったからである。それまで日本政府は、金融庁も経済産業省もどこも、役員研修は良いことだと間接的にも促したことは一度もなかった。周知のとおり公益認定を受けるプロセスは大変であり、数回この申請を取り下げた方がいいかもしれないと言われたが、あえて我々は取り下げず、理解ある官僚のおかげで最終的に認定を受けた。