日経ビジネス:「磯山友幸の『政策ウラ読み』日本企業に必要なのは『年金ガバナンス』」

「安倍晋三内閣は成長戦略の柱として、日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)強化を掲げている。企業に「稼ぐ力」を取り戻させることで、経済成長を促そうという考えだ。2014年以降、企業のあるべき姿を示す「コーポレートガバナンス・コード」と、株主である機関投資家の行動指針である「スチュワードシップ・コード」を相次いで導入、これを「車の両輪」として規律を働かせる意向だ。
一方で、東芝の巨額会計不正などガバナンスのあり方が問われる問題も発覚している。ACCJ(在日米国商工会議所)で成長戦略タスクフォース委員長を務め、自民党に両コードの導入などを働きかけてきたニコラス・ベネシュ・会社役員育成機構(BDTI)代表理事は、年金基金などにガバナンスをきかせることが重要だと語る。 ・・・・」

RIETI:「従業員のメンタルヘルスと労働時間-従業員パネルデータを用いた検証-

rieti

「2000年以降、日本では精神疾患を患う人が増加傾向にあると言われており、昨今では、メンタルヘルスの不調は個人の問題だけでなく、経済的・社会的損失をもたらす問題として社会的に注目されるようになってきた。たとえば、厚生労働省の試算によれば、自殺やうつ病による経済的・社会的損失は2009年度だけで約2.7兆円に上ることが示されている。精神疾患の発症原因については、仕事や職場、とりわけ日本では労働時間の長さにあると指摘されることも少なくないが、メンタルヘルスと労働時間との関係を検証した国内外の研究は、疫学あるいは社会科学の分野のいずれにおいてもそれほど蓄積されていない。そこで、本稿では、労働時間との関係に注目しながら、同一個人を追跡調査した従業員の個票データを活用して、メンタルヘルスを毀損させる要因の特定化を試みる。

ICGJ:「監査等委員会設置会社の脆弱性 ~コーポレートガバナンス・コードの形骸化につながるおそれ~安田 正敏 」

ICGJ

「 監査等委員会設置会社が、本来の目的である執行と監督の分離により業務執行の効率化を図りながら守りのガバナンスもしっかりと機能させるためには、常勤の監査等委員取締役を置くことと実効的な内部監査部門を持つことが必須です。この条件が整っていない状態で監査等委員会設置会社に社外監査役を監査等委員取締役に横滑りさせる形で移行することはまさにコーポレートガバナンス・コードの形骸化を招くことになります。

米国の資産運用会社であるRBMキャピタルが、5%以上の株式を保有する株式会社オプトホールディングの監査役移行の計画に反対を表明しました。具体的には株主総会で当移行のための定款変更の議案に反対票を投じることを表明すると同時に他の株主に対しても反対するよう呼び掛けています。監査等委員会移行に反対する理由について以下のように述べています。

金融庁:『「会計監査の在り方に関する懇談会」提言の公表について』

金融庁

「会計監査の在り方に関する懇談会」(座長 脇田良一 名古屋経済大学大学院教授 明治学院大学名誉教授)においては、平成27年10月より、計4回にわたり、会計監査の信頼性を確保するために必要な取組みについて、幅広く議論を行ってきました。本提言は、会計監査の信頼性確保のための取組みについての議論を取りまとめ、公表するものです。
・・・・・・・

はじめに

資本市場の信頼性を確保し、成長資金が供給されるようにしていくためには、企業が財務情報を適正に開示することが必要である。また、企業が経営戦略を策定し、持続的な成長・中長期的な企業価値の向上を目指すうえでも、自らの財務状況を的確に把握し、株主・投資家等と共有することが不可欠である。

大和総研:「上場企業の『第2回トップマネジメント意識調査』結果を発表」

「~コーポレートガバナンス・コードに対する企業の意識の高さが明らかに~
68%の企業が、投資家との建設的な対話に向けた新たな取組みや検討を開始し、
72%の企業で、社外取締役の選任・活用によりコーポレートガバナンスに変化

【調査結果に対する考察】

1.今後10年間の日本経済の強みに関しては、前回調査に続き「技術開発力」「製品・サービスの品質」「日本のブランド力」が上位回答であった。
技術、品質を含めて総合的に日本が信頼されている証しである「ブランド力」こそ日本の強みという考えが企業経営に根付いていることがわかる。しかし、テレビ等の家電製品やIT機器がそうであったように技術力や日本ブランドへの過信は禁物であり、それらを強み・成長エンジンとして活かす「戦略」の視点がより一層企業経営者には求められよう。

デロイト トーマツ:「取締役会実態調査アンケート結果を公表」

最も足りない情報は「最高経営責任者等の後継者の計画の進捗状況」(38%)

本調査はJPX日経インデックス400銘柄企業(平成27年8月31日時点)及び有限責任監査法人トーマツで選定した企業の計509社を対象とし、2015年12月1日~12月25日に169社から回答を得た。

会計監査の在り方に関する懇談会(第3回)議事要旨 (1月27日)

金融庁

議論の要旨は以下のとおり。

  • 監査法人の機関設計については、パートナーシップ制のもとで強い法的制約が課されていない中、各監査法人において工夫をこらしているところであるが、そのことが外部から見た分かりづらさをもたらしている。監査法人のガバナンス・コード(以下「コード」という)を導入することにより、共通の物差しによる監査法人の比較が可能となり、透明性の向上による監査法人のマネジメントの強化や切磋琢磨につながるのではないか。このため、上場会社の監査を一定数以上行う一定規模の監査法人については、実施している監査業務が多く、利害関係者が多いことも踏まえ、コードを義務付け、日本公認会計士協会(以下「協会」という)の品質管理レビューによってその実効性の確保とガバナンス向上につなげるべきと考える。それ以外の監査法人については、個々の監査業務を直接チェックすることによって監査の信頼性を確保すべき。

毎日新聞:「再生に何が必要?「東芝不正 底なしの闇」著者報告会」

mainichi

「経済プレミアのコンテンツとして初めて出版され、ビジネス書部門でベストセラーになった「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版、税込み1080円)。著者の今沢真・経済プレミア編集長兼論説委員の緊急報告会が2月22日、東京都千代田区一ツ橋の毎日ホールで開かれ、180人が参加した。

RIETI:「グローバル・ガバナンスの今後-COP21「パリ協定」合意に見る「一筋の光明」-」

rieti
「12月12日、厳戒態勢のパリにおいて開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるための取組などを盛り込んだ「パリ協定」を採択した。本協定は、2009年のCOP15において採択された「コペンハーゲン合意」のような政治合意とは異なり、れっきとした法的文書である。同様に法的文書である「京都議定書」(1997年のCOP3で採択)の後継協定となるが、同議定書とは異なり、加盟各国の温室効果ガス排出削減目標に関して法的拘束力がないことが、今次「パリ協定」の最大の特徴の1つである。

筆者は気候変動の専門家ではないので、「パリ協定」の内容の当否について論ずることは控えたいが、グローバル・ガバナンスに日頃より強い関心を有する立場から一言述べたい。