ICGJ:「監査等委員会設置会社の脆弱性 ~コーポレートガバナンス・コードの形骸化につながるおそれ~安田 正敏 」

ICGJ

「 監査等委員会設置会社が、本来の目的である執行と監督の分離により業務執行の効率化を図りながら守りのガバナンスもしっかりと機能させるためには、常勤の監査等委員取締役を置くことと実効的な内部監査部門を持つことが必須です。この条件が整っていない状態で監査等委員会設置会社に社外監査役を監査等委員取締役に横滑りさせる形で移行することはまさにコーポレートガバナンス・コードの形骸化を招くことになります。

米国の資産運用会社であるRBMキャピタルが、5%以上の株式を保有する株式会社オプトホールディングの監査役移行の計画に反対を表明しました。具体的には株主総会で当移行のための定款変更の議案に反対票を投じることを表明すると同時に他の株主に対しても反対するよう呼び掛けています。監査等委員会移行に反対する理由について以下のように述べています。
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当社は、監査等委員会設置会社への移行は現行制度からの改悪にすらなりうると考えます。
・監査等委員会設置会社への移行に際し、従来の監査役がそのまま社外取締役として監査等委員に就任するという、いわゆる横滑りの人事がオプトを含め多くの企業で行われています。単に社外取締役の数をそろえるだけの安易な移行は慎むべきだと考えます。
・移行によってこれまで常勤だった監査役が非常勤となり、また、単独での調査権限がなくなるため、監査機能がかえって低下し、株主にとって不利益となる可能性があります。
・一方で、オプトにおいては移行後も引き続き社外取締役は全取締役8名中3名と過半数に満たないため、上記のような監査機能の潜在的低下と引き換えに議決権を付与することの効果に当社は疑問を持っています。・・・・」

全文:
http://www.icgj.org/blog/blog_diaries/view/244

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