板垣隆夫氏レポート:『2019年住友化学(株)株主総会(6月21日)出席報告』

「[1]全般概況

ここ数年、コーポレート・ガバナンス(CG)改革の影響を受けて、日本企業のCGは確実に変化しつつあり、株主との対話の場としての株主総会も変貌してきたのは明らかだと思います。当社の株主総会も、参加者は増加傾向にありましたが、今年は更に大幅に増えて、質問も活発で以前と比べると明確に活性化してきたと言えます。しかし、形だけでなく実質的に本当に企業体質は変わったのか、株主と本当に真摯に向き合う株主総会になっているか、その真価を見定めるためには暫く時間が必要です。

●一昨年から、会場が利便性の高いベルサール東京日本橋に移り、参加者は着実に増えています。昨年10月に単元株式数を1,000株から100株に変更した影響もあったのでしょう、今年は更に大幅に増え、会場はほぼ満員状況でした(2017年700人、2018年800人、本年1100人强)。

メトリカル:決算発表が相次いだ5月、CG Top20株価はややアンダーパフォーマンスで終える、取締役会の議長についての考察

取締役会の議長

今月は取締役会の議長に注目してみたいと思います。
約1,800社の中で取締役会の議長を社外取締役が勤めている会社はわずかに27社しかありません。取締役会の舵取りを社外の取締役(独立取締役でない場合も含む)に託すというのは、どれだけ抵抗があることかみて取れます。下記がその27社です。

メトリカル:「CG Top20株価は比較的小じっかりの相場展開の中でアウトパフォーマンスを拡大」

「 株式相場は1月の大幅下落後の変動の激しかった3ヶ月間とは異なり、4月の相場は変動が少ない比較的しっかりした展開となった。CGレーティング・スコアTop20株価はそのような環境おいて、4月末にかけてTopix, JPX400の両株価指数に対してアウトパフォーマンスを拡大した。 」

レポート全文はこちらよりダウンロードできます。

ダイバーシティ経営

3月後半、BDTI代表理事ニコラス・ベネシュが外部主催のセミナーで取締役会の多様性についてお話しさせていただく機会が続きました。質疑応答やパネル・ディスカッションでは活発な皆様との意見交換もあり、日本企業における取締役会の構成が大きく見直される機運が感じられました。

GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している17機関(パッシブ7機関、アクティブ10機関、以下、運用機関)に対して、改訂版コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ記載内容が充実していると 思われる「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」の選定を依頼し、延べ41社が選ばれました。

日本をダメにするイエスマン、「忠臣株主」に立ち向かう方法

ニコラス・ベネシュ (翻訳 市川佐知子)

概要: 機関投資家が本気になれば、企業の株式持ち合いを解消することは難しくありません。これを実現する方法として実務的なテクニックを1つご紹介します。

「忠臣株主」問題

最近の改革で改善したとはいえ、企業の株式持ち合いは依然日本市場の大きな問題です。株価連動インセンティブの小さい経営陣や社外取締役は、めまぐるしい市場経済の変化の中で現状維持に甘んじ、ビジネスリスクをとって収益性を追求する戦略を練らず、経営陣のイエスマンである「忠臣株主」は何も言わない、そしてこれらの経営陣や社外取締役は再任を重ねる、という悪循環が続いています。企業のことを真剣に考える株主の諫言は大きくなりつつありますが、忠臣株主のイエスの大コーラスの前に、かき消されてしまいます。