メトリカル:9月の株式相場は大幅上昇。CG Top20株価はインデックスに対しアンダーパフォーマンス。

9月の株式相場は日本株の出遅れ感とワクチン接種の進展を背景に、前月末日の急反発を引き継いで月前半に大きく上昇した。その後は月末にかけては強弱感の高まる相場環境が続いた。9月1ヶ月間のTopixとJPX400の両株価指数は3.61%、3.68%とそれぞれ上昇した。CGレーティング・スコア上位のCGTop20株価は2.30%の上昇にとどまり、両インデックスに対して6ヶ月ぶりのアンダーパフォーマンス。

メトリカル:英語による情報開示

以前にも英語による情報開示について記事を書いて、ご報告したことがあります。今回はあらためて英語による情報開示について考えてみたいと思います。BDTIおよびMetricalでは繰り返し英語による情報開示の重要性を訴えていますし、最近では東証が「英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果」を公表するなど、この問題に関しても少しづつ注目が集まりつつあります。
上場会社の英語による情報開示に関しては、東京証券取引所の「Availability of English Disclosure Information by Listed Companies」において示されています。これによると、英語による情報開示に関して、「Timely Disclosure Documents」「Notices of General Shareholders Meetings」「Corporate Governance Reports」「Annual Securities Reports」「IR Presentations」「IR Website English Links」の各項目で各上場会社からの開示情報をもとにデータを提供しています。

2021年6月30日現在の東証のデータでは、全上場企業3,782社のうちデータ集計できた3,730社について各項目の英語による情報開示は次の通りです。IR PresentationsとIR Website English Linksに関しては約半数の上場会社が英語での情報開示を行なっています。次いで英語による開示が進んでいるのは決算短信などの収益報告で、38%の会社が英語による流開示を行なっています。最も英語による情報開示が進んでいないのが、有価証券報告書とコーポレートガバナンス報告書で、それぞれ6%と11%の会社が英語による開示を行なっていることになっています。

投資家と上場会社との対話が対話にならないわけ

森本 紀行:ヤフージャパンニュース「投資家と上場会社との対話が対話にならないわけ」

https://news.yahoo.co.jp/byline/morimotonoriyuki/20210916-00258076

対話ではなく単なる質疑応答

「金融庁のガイドラインを一読して、対話という言葉を想起するのは、かなり難しいことです。これは、責任ある投資家として、その責任を果たすために、上場企業の経営者に問い質すべきことを列挙したものであって、上場会社の経営者や取締役には、その質問に誠意をもって答えることが期待されているのだとすれば、対話というよりも、質疑応答のガイドラインです。

しかも、質問は、基本的に、「何々となっているか」という形式になっていて、それは「何々すべきである」という「コーポレートガバナンス・コード」の原則に対応しているのですから、実質的には、質問を通じて、原則の実施状況を確認する主旨になっています。これでは、責任ある投資家の責任とは、上場会社を監視し、持続的成長へ向けて努力するように監督する責任と解するほかありません。

それにもかかわらず、敢えて投資家と上場会社との対話と呼ばれるのは、おそらくは、両者間の対等性を強調するためです。なぜなら、投資家による上場会社の監視監督という表現は、投資家の地位の優越を明瞭に示していますが、株式の上場制度の本来の原理原則からすれば、上場会社と投資家とは、開示制度による情報の対称性を介して、対等の地位にあることが前提になっているからです。

対等なもの同士の対話とするためには、両コードにおいて、責任ある投資家に対しては、投資先企業の選択基準と売却基準、投資先企業との対話に関する基本姿勢などについて、行動原則の策定、および原則が確実に履行されるための仕組み作りを要求し、上場会社に対しては、投資家が原則通りに行動していることについて、監視監督することを要求すべきです。

しかし、実際には、そうなっていないのですから、投資家と上場会社の対話とはいっても、対話という用語は文飾であって、実態は、投資家による質疑と、上場会社による応答です。」

 

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企業価値を高め、成長していくためにはコーポレートガバナンスの強化は必須です。ESG投資の期待に応えるため企業活動の高度化がガバナンスの重要性をさらに上げています。BDTIが特化する「役員研修」「社外取研修」および「コーポレートガバナンス教育」は経営に関わる人には非常に大切です。

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2021 年 ICGN エクセレンス・イン・コーポレートガバナンス・プログラム

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東京証券取引所(TSE)は最近、日本の上場企業による英語の開示を強化するため、海外の機関投資家に開示に関する調査への参加を呼びかけました。 調査の結果、英語による開示の要望が強く、80%の回答者が決算報告の英語での開示が必要であると回答し、74%がIR資料についても同様と回答しています。

東証は2022年4月に新しい市場構造への移行を計画しており、改訂されたコーポレートガバナンス・コードには、新しいプライム市場の上場企業は「開示文書で必要な情報を英語で開示、提供する必要がある」という原則が含まれているため、これらの結果はかなりタイムリーです。

プライム市場に上場する企業は、グローバル投資家との建設的な対話を通じて、中長期的な企業価値を向上させることが期待されています。調査では、多くの海外機関投資家が、英語の開示が不十分であることが上場企業との対話や投資決定に影響を与えていると指摘しました。英語の開示がさらに進展することで、建設的な対話が強化され、日本企業への投資が拡大することが期待されます。

東証をパートナーとしてお迎えし、ICGN”ICGN’s Excellence in Corporate Governance Programme“を開催します。このコースでは、グローバルに分散投資するポートフォリオを有する機関投資家が、企業のコーポレートガバナンスの実践と長期的な価値を生み出すためのアプローチをどのように分析するかについて認識を深めます。 カリキュラムは、日本のコーポレートガバナンス・コードの最近の改訂と JPX、特に新しいプライム市場に上場する企業に期待される基準に焦点を当てます。

メトリカル:多様性は強くなければならない

今月もダイバーシティについて取り上げます。ダイバーシティは企業の底力を引き上げると信じているからです。ダイバーシティはESGのSとGに深く関わっていて、会社のカルチャーの変革に大きく影響を及ぼすのです。一方で、ESGの取り組みの中でSとGに比べてEに熱心な日本企業が多いように感じられます。Eの場合には、CO2排出量目標のような技術的な数値目標を設定して、エンジニア中心にボトムアップで技術水準を向上させて最終的に高い目標を達成してきた成功体験を持つ日本企業には相対的に取り組みやすい分野だからなのでしょうか。SとGでも、数値目標でなくとも明確な目標を掲げ、タイムフレームを設定して改善に取り組むことはできるはずです。これまで何度かダイバーシティについて取り上げる中で、さまざまな人々が関わりあう企業であれ社会であれ、皆が生きやすい環境を作っていくには、人権の尊重、つまり多様性の理解が大切なことを述べてきました。以前の記事でも触れた、先進的なダイバーシティの取り組みを行なっている物語コーポレーション(3097)の2021年6月期決算のアナリスト・ミーティングが8月19日(木)にあり、参加しましたので、当社のダイバーシティの取り組みをアップデートしてみたいと思います。

物語コーポレーションはダイバーシティに積極的に取り組む上場会社の一つです。当社はパートタイム・ワーカーでない幹部社員としてインターナショナル(外国籍)社員の積極登用を進め、2021年6月時点で13カ国126人が在籍(全社員比率10%)と2020年12月時点の11カ国105人が在籍(全社員比率9.5%)から増加しています。この6ヶ月間でインターナショナル(外国籍)社員の店長は4人から18人に大幅増加しました。また、LGBTQ人財の活躍支援にも取り組んでいて、全社員に対しての研修で基礎知識から始まり職場での対応方法などを学び、あらゆるセクシャリティを理解し、支援する考えを共有するほか、同性パートナーが社内で法律婚と同じ待遇を受けることができる「ライフパートナーシップ制度」を導入しています。これによって、LGBTQまだ同性婚が法律上認められていない日本で法律婚カップルと同等の待遇を受けられるようになり、具体的には結婚お祝い金や、配偶者手当、同居できない場合には単身赴任手当や帰省旅費の支給などを行なっています。

本アナリスト・ミーティングで、当社は新しく策定した「長期経営ビジョン」の中で、「個の尊厳を組織の尊厳より上位に置く」との経営ビジョンのもと、「目指すべき姿」として、(1)多様性の表現、(2)多様性の表現が生む価値、(3)多様性の受容 を掲げています。企業の持続的成長のためには、差別化が欠かせない中で、当社社長の加藤氏は「仕組みや構造で差別化を起こす大きな差別化(type of operation)は真似されやすいが、小さな差別化の積み重ねは大きな差別化になり、キャッチアップされにくい。後者の差別化のためには、個人が自分を表現することによって、多様な議論が会社の中で巻き起こり新しい価値を生み出すことが必要。個人の価値を会社全体に広げていく企業文化にしていきたい」と述べました。

女性管理職の数値目標が達成されない日本の現状


日本の生産年齢人口は今後減少の一途を辿り、近い将来、企業は人材不足に直面し、人材の奪い合いが起こることが予想できます。そのため日本の企業では、女性にいかに活躍してもらえるかが人材確保における1つのポイントになります。

しかしながら世界経済フォーラムの2021年「The Global Gender Gap Report 2021」によると、各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数では日本は156か国中120位でした。活躍しづらい社会で、働きたいという意思を持つことは難しく、働くことを諦めてしまう女性が多くなってしまっているのが現状です。女性が活躍できる環境を創っていくことが、企業における今後の人材確保のために必要になります。

女性活躍推法は女性管理職の数値目標の設定とその達成に向けた行動を求めています。最近は女性役員や女性リーダー育成プログラムも多く目にします。大手派遣会社は70万もする合宿を開催しています。研修の多くは「自己理解」、「コミュニケーション力」や「プレゼンス力」がメインです。もちろん自己認識やコミュニケーション力は大事です。でもそれは会社が行うべきではないですか?歴史的には日本企業は男性社員に対してはこのようなスキルを新入社員の時点から内製プログラムおよびOJT (現場でのトレーニング)によって上手に育てられてきました。

逆に日本企業が下手だったのが、具体的な内容の経営・管理手法についての知識をオフサイト研修によって育成することでした。これは男女を問わず言えることですが、特に育成されなかったのは女性でした。

女性の場合には多くの会社自身が長期的なキャリアを視野に育成をしてこなかったため、管理職・幹部・役員候補となる女性が不足しています。

日経新聞:英当局「取締役の4割以上を女性に」上場企業に要求へ

『英国の金融当局である金融行為監督機構(FCA)は28日、上場企業の経営にさらなる多様性確保を促す新たな指針案を公表した。取締役の40%以上を女性としたり、少なくとも1人は白人以外としたりすることを求める。企業統治におけるダイバーシティー(人材の多様性)充実を上場ルールとして強力に推進する。

10月中旬まで産業界や市場関係者の意見を募り、年内に制定する。ロンドン証券取引所の主要市場へ上場するすべての企業に、2022年1月以降に始まる会計年度から適用をめざす。

新指針案はジェンダーや人種などの面で多様な取締役会づくりを求める。まずメンバーの最低40%を女性(自認する人も含む)としなければならない。会長、最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)、上級独立取締役のうち少なくとも1人は女性とする要件も課す。

取締役のうち1人以上は「非白人のエスニック・マイノリティー(人種的少数派)」にすることも求めるとした。

いずれも強制はしないが、従わないなら未達の理由を対外的に説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」の運用とする。ロンドン証取のプレミアムとスタンダード市場の全上場企業を対象にする。取締役会と経営層の多様ぶりが外部から分かるよう、関連する人数構成の情報を年次報告書で開示することも求める。

「取締役・監査役を「トレーニング」するという表現は、奇妙であり、かねてから違和感があります」 (??)

2021.07.13 Diamond Online『「ガバナンス・コード」改訂で問い直すべき企業経営の原点』のインタービュで橋本勝則氏が【取締役を「トレーニングする」ことへの違和感】と述べている。
どうして「違和感」があるのか、理解できません。

橋本勝則氏:「一例をあげると、CGコードの第4章「取締役等の責務」の「原則4-14」にある、取締役・監査役を「トレーニング」するという表現は、奇妙であり、かねてから違和感があります。好意的に読めば、業界や企業独自の状況にうとい社外取締役に、十分な情報提供と説明をせよ、ということなのでしょうが、それをトレーニングとすると、緊張感が薄れ、独立性に影響するおそれもあります。監督してもらう側の企業が取締役をトレーニングするという表現は、本来あるべき実態にそぐわないものです。」  (https://diamond.jp/articles/-/276480?page=2)

トレーニングとは必要なコーポレートガバナンス、会社法、金商法、ファイナンスなどの知識を補給することが含まれてあり、トレーニングをセミナー等と理解する会社も多いが、社外取締役のトレーニングとして事業所視察を実施している事例もあり、自社の事業内容を理解することも重要です。通常、これだけではCGCは「オリエンテーション」と言われています。社外取締役に対して、就任時に事業、財務、組織等の基本的な情報を提供し、その後、経営判断に必要な情報を随時提供することは当たり前のことであり、独立性に影響するおそれはないはずです。しかし、それだけではCGCが勧めている「トレーニング」を満たしたことにはなりません。CGCに書いてあるのは、「新任者をはじめとする取締役・監査役は、上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすため、その役割・責務に係る理解を深めるとともに、必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべきである。」

女性登用比率の政府目標、「すべて達成」は1割のみ

朝日新聞が全国主要100社を対象にしたアンケートで、政府が掲げる民間企業の役職別の女性比率目標について達成できるかを聞いたところ、「すべての目標を達成できそうだ」は10社にとどまった。女性登用の取り組みは進む一方、幹部候補となる女性が少ないなどの理由を挙げて、目標に届かないとする回答が多かった。

昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」の女性の登用・採用に関する成果目標一覧では2025年に係長級が30%、課長級が18%、部長級が12%を女性にする目標が掲げられた。東証1部上場企業の役員については22年に12%。5月24日~6月4日に行った調査で、最も多かったのは「一部は達成できそうだ」で39社。「どの目標も達成は難しい」も26社にのぼった。

 

女性の管理職登用を進める上での課題について複数回答で聞いた質問では、「男性の意識改革が進んでいない」が32社で最も多かった。中でも「男性はリーダー向き」といった無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の存在を指摘する企業が目立った。