大和総研コラム:「取締役会の実効性評価とその開示」

「ここでは、取締役会評価(※1)について、どのようなものとなりそうか考えてみたい。求められているのは「分析・評価」と「結果の概要を開示」することだ。海外の事例を見ると、分析・評価は、取締役や業務執行部門への質問票調査や聞き取り調査を行うようである。質問票は、たとえば取締役会の頻度・日時などが適切か、議題の資料・審議時間などは適切か、経営戦略の方向付けを適切にできたかなど多くの事項について“very good”を5点、“very poor”を1点とするなどの方法で数値化するものだ。わが国でも、取締役会評価用の質問票ひな形がいずれ出回るのではないだろうか。

JPX:「東証上場会社における社外取締役の選任状況<速報>」

「このたび、株式会社東京証券取引所では、上場会社における社外取締役の選任状況について集計を行いましたので、以下のとおりお知らせいたします。

 <サマリー>
・ 社外取締役を選任する上場会社(市場第一部)の比率は、9割を超え、92.0%に(前年比+388社、+17.7ポイント)

カンファレンス・レポート RI Asia 2015

今年度のRI Asia カンファレンスは、4月21、22日の二日間、日本の東京証券取引所で開催されました。

カンファレンスには、多くの来場者が訪れ、活発な情報・意見交換が行われました。日本は依然として世界第三位の経済大国であり、英国に続いて2014年に英国スチュワードシップ・コードをベースとした日本版スチュワードシップ・コードを導入しました。さらに、新たなコーポレート・ガバナンス・コードが、今年の株主総会の時期に合わせ、東京証券取引所の監督のもとに、例外的なスピードで策定されました。安倍内閣のアベノミクスにおける第三の矢「日本再興戦略」では、投資家と企業との関係向上に焦点を当てた企業の経営効率性の向上を掲げています。

ロイター:「トヨタ株主総会、種類株の発行を可決 約75%が賛成」

「トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は16日開催した定時株主総会で、「AA型種類株式」と呼ばれる新型の種類株式を発行できるようにするための定款を変更する議案について、約75%(速報値)の賛成を得て可決した。
 種類株の発行で自動運転技術など中長期的な研究開発資金を調達し、長期に保有する安定的な株主の拡大をめざす。
 

兼任取締役・監査役の状況

最近のデータを分析しタ結果、上場企業の兼任取締役・監査役の状況は以下の通りです。過去の数字を分析したことがありませんが、年々兼任する役員の数が上がっていると言われます。私見ですが、4社以上で社外取締役に務めている人は、他の日々の仕事がなくても、その一社でも有事になった場合には社外取締役としての責任を果たすことがとても難しいと思います。

兼任取締役・監査役 (2015年5月)

対象上場企業数
    3,464社

(A) 取締役・監査役の総数 (席)
 38,134人

(B) 兼任取締役・監査役の数(席)(2社以上)
  5,399人

(C) 社外取締役・監査役の数(席)
  12,447

(D)   (B / A)
     14.2%

(E)   (B/ C)  (殆どの兼任役員は社外者である。)
     43.4%

(F)  兼任役員の平均役員席
  2.46席

(G)    兼任取締役・監査役の数(4社以上)
    570席
  (146人)

(H)   (G / C) (殆どの兼任役員は社外者である。)
      4.6%

(I) 兼任取締役・監査役の数(人)(6社以上)

      97席
  (16人)

東洋経済オンライン:「社外取締役の人選で「ダメ会社」を見抜く方法」 by 夏野剛氏

「6月1日から、上場企業の取締役選任制度が大きく変わりました。東証が発表したコーポレートガバナンスコードというものが正式導入され、ここで社外取締役を2人以上選任することが強烈に勧められているのです。

具体的に言うと、社外取締役を2人以上選任していない企業は、なぜ選任しないのか説明することを義務付けられたわけですが、これはきついですよね。なぜなら、社外取締役を置かない理由をきちんと説明できる企業なんて、ほとんどないからです。

たとえば「社内のことを分かっていないと、取締役は務まらない」などと言う企業があったら、「そんな特殊な状況とはいったい何なんだ」と詰められるでしょう。海外の機関投資家はもちろん、もう日本の投資家もその企業を評価しなくなってしまう可能性があります。

ダイヤモンドオンライン:「サイバーセキュリティの強化は企業を成長させる原動力になる」by 齋藤ウィリアム浩幸

「サイバー攻撃によって倒産する企業が出てもおかしくない

米コンサルティング会社、PwCが77カ国、1322人のCEOを対象に行った「第18回世界CEO意識調査」(2015年1月20日にダボスで発表)でも、サイバーの脅威を懸念事項として挙げたCEOは前年の48%から61%に大幅に増えています。

この背景として、2013年の終わりから2014年にかけて起きた3つのサイバー攻撃による事件が大きく影響していると思います。

Diamond Online: 「 北風政策ではなく「太陽政策」 経営者を守るコーポレートガバナンスの意義」 (池尾和人・慶應義塾大学経済学部教授(下)

池尾教授から、また当たっていいるポイント: 「立派な経営者であれば、ガバナンス体制の有無にかかわらず、良い経営をして結果を残せるかもしれませんが、優れた経営者ほどガバナンスへの関心は高い、というのが私の経験上の結論です。きちんとした経営をしている経営者は、自分のしている意思決定が正当であることを、社外の人にも理解してもらう場を設けることを望むはずで、社外取締役や社外理事によるモニタリング体制の充実は理にかなっています。

The Wall Street Journal: 「【社説】安倍首相が覆す「日本株式会社」 企業統治改革スタート」

「「日本は変化に抵抗することが多い。そうかと思うと一斉に変化を受け入れる。東京証券取引所は1日、上場企業の経営規範を定めた企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の適用を始めたが、これもその一例だ。企業の生産性向上とその価値の解放を目指す安倍晋三首相の取り組みが、「日本株式会社」の古い慣行を覆しつつある。