大和総研: 独立取締役の選任状況と ROE、ROA との関係~積極的に選任を進めている企業の ROE や ROA が高い~

2019年11月26日、大和総研政策調査部・主任研究員の伊藤正晴氏によるレポート「独立取締役の選任状況と ROE、ROA との関係」が公表された。このレポートによると、独立取締役の選任状況と ROE や ROA との関係を分析すると、独立取締役を複数名選任している企業群や独立取締役の積極的な選任を進めている企業群の ROE や ROA が高いとの結果を得た。また、独立取締役の選任を積極的に進めることが ROE や ROA の上昇と関係している可能性を示唆する結果も得られた。
これらの結果は、独立取締役の選任状況と ROE や ROA の因果関係を示したものではないが、独立取締役の選任が企業価値の向上につながることや、企業価値の向上に資する経営を行っていることの指標の 1 つとして機能していることを示している可能性がある。

経済産業省「第3回 新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」

2019年11月21日、経済産業省にて「第3回 新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」が開催されました。第3回の研究会では、株主総会において企業と株主・投資家の建設的な対話を促すための新たな環境整備として、ハイブリッド型バーチャル株主総会に係る論点について議論されました。”リアル”株主総会と、インターネット等の手段を用いて審議等の確認・傍聴 および会社法上の出席を可能とする”バーチャル”株主総会。両者を組み合わせた ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施および普及に向けて、内外の具体的な事例を踏まえながら今後の課題が整理されました。

企業年金におけるスチュワードシップ・コード受け入れの現状と課題

2019年7月24日(水)厚生労働省第6回社会保障審議会企業年金・個人年金部会にて「企業年金のガバナンス等について」の報告書が作成されました。これによりますと、企業年金のスチュワードシップ ・コードへの関心は依然として低く、700以上の日本の確定給付企業年金の中、2019年6月末現在で受入れを表明した企業年金は19基金しかありませんでした。(ページ16およびページ19をご参照ください。)尚、その19基金の大半は金融庁を規制当局とする金融機関であって、受け入れを表明した非金融系企業の基金は八つしかありません。

BDTI/METRICAL共同研究アップデート:「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」-2019年10月-

BDTIとMETRICALは、「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」を継続的に共同研究しているが、このほど時価総額約100億円超の約1,800社の上場会社について2019年10月末の分析結果をアップデートした。
本分析では、CGプラクティスをボードプラクティスとアクションに分けて考えた場合、ボードプラクティス(取締役会の運営体系)とアクション(実際の企業行動)が価値の創造の指標とされるROE,
ROA, トービンのqと有意性のある相関があるか、独立取締役比率と上記価値創造の指標との関係を分析している。

METRICAL:「コーポレートガバナンス1,800社スコア(2019年9月末)」

IR/株主総会ディスクロージャーの良い会社の株価は高い

下記の表はIR/株主総会のディスクロージャーに関するスコアと主要パフォーマンス指標および外国人投資家持ち株比率の相関関係を示しています。
IR/AGM株主総会のディスクロージャーに関するスコアはROA(予想)を除く、ROE (予想), ROE (実績), ROA (実績)およびトービンのQといった主要パフォーマンス指標と有為性のある相関が確認されています。また、当スコアはトービンのQとも有為性のある正の相関を示しています。

BDTI/METRICAL共同研究アップデート:「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」~2019年8月~

BDTIとMETRICALは、「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」を継続的に共同研究しているが、このほど時価総額約100億円超の約1,800社の上場会社について2019年8月末の分析結果をアップデートした。

本分析では、CGプラクティスをボードプラクティスとアクションに分けて考えた場合、ボードプラクティス(取締役会の運営体系)とアクション(実際の企業行動)が価値の創造の指標とされるROE,
ROA, トービンのqと有意性のある相関があるかを分析している。

海外投資家の株式保有比率分析

海外投資家の株式保有はこの1年間で減少した一方で、アクティビストタイプの投資家が日本株に関心を高めている。もちろん、コーポレートガバナンスは、2015年6月のコーポレートガバナンス・コードの導入以来改善してきたということができるが、その進展は彼らの期待よりもスローである。今回、海外投資家の持ち株比率とCG評価項目との関係についてあらためて検証する。下記の表は、メトリカルの評価項目13ファクターと2つのパフォーマンス指標のROE, ROAに関して回帰分析の結果を示した。15のファクターのうち、14ファクターが海外投資家持ち株比率と有意性のある相関が確認された。

TIIP「日本におけるサステナブル投資:行動アジェンダ」

エグゼクティブサマリー:

世界の運用資産の4 分の1 以上が、経済的持続可能性や環境的・社会的持続可能性を追求する環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素を考慮した「サステナブル(持続可能な)」投資の手法で運用されている。個人投資家も機関投資家も、その資産状況を問わず、サステナブル投資の手法を資金計画や投資ポートフォリオに組み込むことへの関心を高めており、アセットマネジャーや国際金融機関もこの手法を採用した関連サービスや金融商品を拡大している。

日本においてもサステナブル投資への関心が急速に高まり、サステナブル投資残高が急増している。
しかし、こうした関心の高まりや投資残高の増加にもかかわらず、サステナブル投資を採用しているメインストリームの投資家やファイナンシャルアドバイザー、投資コンサルタントは日本ではまだ少数にとどまる。

日本のコーポレート・ガバナンス~この3年で何が変わった?~

私は最近、この質問に答えるプレゼンテーションを行いました。結論は次の通りです。

  • 投資家は議決権行使によって意思表示
  • 投資家の要望の声が必要
  • 「政策保有株」の壁を取り壊す方法がある
  • 優れたパフォーマンスと相関関係が優位な要因> =独立取締役、政策保有株が少ない、15%を超える女性取締役、および企業年齢が45歳未満
  • アクティビズムはより効果的になっている

これらの結論は、私たちが収集した膨大な量の時系列データに基づいています。現在、財務データだけでなく、有価証券報告書およびコーポレートガバナンス報告書のテキストおよび数値データ、および議案別に集計された株主総会(AGM)の議決権行使結果データを含む包括的な時系列データベースを構築しています。データベースは、必要なデータに直ぐいアクセスできる形になります。以下は、取締役の会構成およびその他のパラメーター(委員会等)、過去のAGMの議決権行使比率とCEOの再選任議案の支持率、および「政策保有株」の保有残高傾向を示す簡単な例です。

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このデータベースを利用すると、まもなく時系列統計分析を実行できるようになります。