2019年7月24日(水)厚生労働省第6回社会保障審議会企業年金・個人年金部会にて「企業年金のガバナンス等について」の報告書が作成されました。これによりますと、企業年金のスチュワードシップ ・コードへの関心は依然として低く、700以上の日本の確定給付企業年金の中、2019年6月末現在で受入れを表明した企業年金は19基金しかありませんでした。(ページ16およびページ19をご参照ください。)尚、その19基金の大半は金融庁を規制当局とする金融機関であって、受け入れを表明した非金融系企業の基金は八つしかありません。
詳しい資料を作った事に感謝しておりますが、厚生労働省は以前と変わらず上記の状況を改めるのに弱腰であるようです。確かに「資産運用ガイドラインの見直し」には「スチュワードシップ・コードの受入れや取組状況、ESGに対する考え方を運用受託機関の選任・契約締結の際の定性評価項目とすることを検討することが望ましいこと」を追加しましたが、私が2016年に厚労省に提案した「開示による圧力」(最小限の対策)と比べてほど遠いステップです。
厚労省はこのように説明しています。(ページ19をご参照ください。)「企業年金におけるスチュワードシップ・コードの受入れを促進していくため、厚生労働省と企業年金連合会が連携して、2016(平成28)年10月から「スチュワードシップ検討会」を開催し、企業年金におけるスチュワードシップ・コードの受入れの意義具体的な行動例などについて、2017(平成29)年3月に報告書をとりまとめた。」
そこまではいいですが、そもそも当検討会は私の提言の結果でした。検討会の後2年も経っているのに、労働者の退職後の生活原資を保護する任務を負う厚労省はまだ「促し」対策しかしていないということは、同省が本来の使命を貫くのにまだまだ及び腰であることを反映しています。