海外投資家の株式保有比率分析

海外投資家の株式保有はこの1年間で減少した一方で、アクティビストタイプの投資家が日本株に関心を高めている。もちろん、コーポレートガバナンスは、2015年6月のコーポレートガバナンス・コードの導入以来改善してきたということができるが、その進展は彼らの期待よりもスローである。今回、海外投資家の持ち株比率とCG評価項目との関係についてあらためて検証する。下記の表は、メトリカルの評価項目13ファクターと2つのパフォーマンス指標のROE, ROAに関して回帰分析の結果を示した。15のファクターのうち、14ファクターが海外投資家持ち株比率と有意性のある相関が確認された。

海外投資家はROEよりもROAに注目しているように思われる。高いキャッシュフロー創出の結果としてバランスシートに現金が積み上がる会社に投資しているようだ(現金保有スコアと有意性のある負の相関)。彼らがCGファクターをどのくらい考慮して投資しているか不明であるが、上の表で海外投資家持ち株比率は分散された株主構成(大株主持分ファクター)、女性取締役数(が多い)、独立社外取締役比率(が高い)、報酬委員会スコア(が高い)、報酬インセンティブプランスコア(が高い)、買収防衛策(がない)、成長方針スコア(がしっかりしている)、株式消却(が多い)の各ファクターと有意性のある相関が確認された。彼らがこれらのCGファクターを好感することは理解できる。一方で、指名委員会スコア、政策投資保有株スコア、配当方針スコアとの間に統計的に有意性のある相関は確認できなかった。今回の分析で、顧問・相談役スコア(少ないほどスコアが高い)と有意性のある負の相関が示された。海外投資家は顧問投資家が顧問・相談役の存在に好意的であると思われないことから、ROAやキャッシュリターンの高いような会社に投資したところ、顧問・相談役が多かったという状況が考えられる。顧問・相談役についてあまり多くの会社が情報開示していないが、海外投資家がエンゲージメントを通してディスカションする中で今後重要な問題になると思われる。

詳細は下記のウェブサイトをご参考にしてください。Metrical:

http://www.metrical.co.jp/

松本 昭彦, CFA
Executive Director, Metrical Inc.

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