CG Top20株価パフォーマンス(2024年10月)

10月の株式相場は与党苦戦予想の警戒感からの下落を総選挙後は円安と堅調な米国株式相場を背景に月末にかけて上昇。
10月のCG Top20株価はTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して6ヶ月連続のアウトパフォーマンス。

10月の株式相場は前月末の急落から米国株相場高から買い戻し先行で上昇して始まった。その後は総選挙で自民党が苦戦するとの見方から投資家はリスク回避姿勢を強めた。総選挙後はあく抜け感と円安、米国株相場高を背景に反発して引けた。
10月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ1.95%および1.71%上昇した。CG Top20株価は2.03%の上昇と両インデックスに対してアウトパフォーマンス継続。

CG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。荏原製作所(6361)、テクノプロ・ホールディングス(6028)、ENEOSホールディングス(5020)、イノテック(9880)、ユナイテッドアローズ(7606)、パーソルホールディングス(2181)が新たに加わり、H.U.グループホールディングス(2146)、花王(4452)、ワコム(6727) 、ケーズホールディングス(8282)、エーザイ(4523)、トレンドマイクロ(4704)が外れました。構成銘柄の詳細は下記の表の通り。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2024年9月)

9月の株式相場は行って来いの展開と見られたが、石破新政権発足による金利上昇を警戒した売りが優勢となって、月末最終日に下落して引けた。
9月のCG Top20株価はTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して5ヶ月連続で大きくアウトパフォーマンス。

日銀の早期利上げを懸念して月中ばまで下落した日本の株式相場は、米国FRBの大幅利下げをきっかけに大幅上昇した米国株式相場と円安への揺り戻しを好感して、月末にかけて楽観ムードから回復した。その後、石破新政権発足をきっかけに早期金利上昇を警戒した円高を嫌気して売りが先行して、反落した。
9月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ-1.61%および-2.49%下落した。CG Top20株価は-0.71%の下落と両インデックスに対して大きくアウトパフォーマンス。

メトリカル:エンゲージメントが時価総額上位と下位の会社で収益性の差拡大を継続させる

以前の拙記事で何度か時価総額の大きい会社と小さい会社で、収益性およびコーポレートガバナンスの取り組みにおいて差が広がっていくことを述べました。今回はそれを検証してみたいと思います。以前の拙記事「Increasing Profitability to Gain Support from Overseas Investors Is a Condition for Higher Valuation」および「Why Are Companies with High Corporate Governance Practices Ratings More Profitable?」において、外国人持ち株比率が高い会社は時価総額が大きく、収益性が高い傾向があると述べました。また、それらの会社はコーポレートガバナンス・プラクティスも優れていると述べました。その背景には海外投資家の長年にわたるエンゲージメントを通じて、会社が収益性とコーポレートガバナンス・プラクティスを改善してきたことがあります。海外投資家は企業価値を高めるためには取締役会の改善の必要性とキャッシュアロケーションを含めたキャッシュフローおよび手元キャッシュの効果的な使い方を求めてきました。これまでの分析で外国人持ち株比率30%台が閾値として経営者に意識されているようです。この水準に達すると海外投資家の意見を取り入れざるを得なくなる傾向が顕著です。海外投資家のエンゲージメントがドライバとして彼らの投資先会社(時価総額が大きい傾向がある)は収益性とコーポレートガバナンスを一層高めると期待されます。よって、時価総額が大きい会社とそうでない会社でますます差が広がると推察されます。

メトリカル:コーポレートガバナンス・プラクティスの評価が高い会社の収益性はなぜ高い?

今回はコーポレートガバナンス・プラクティスの評価の高い会社にはどのような傾向があるのか、また、コーポレートガバナンス・プラクティスと会社の収益性、バリュエーションにどのような関係があるのかについて考えてみたいと思います。

Metricalでは2018年2月から約1,800社をユニバースとして、有価証券報告書、コ―ポレートガバナンス報告書、決算短信など公開情報をもとに40以上の評価項目で評価し、月次でアップデートしています。また、Metricalではコーポレートガバナンス分析はボードプラクティスとキー・アクションに分かれています。それは会社経営の目標である価値創造のために、ボードプラクティスだけでなくボードプラクティスの改善がディシジョンやアクション(キー・アクション)につながって、価値創造に寄与するとの仮説に基づいています。言い換えれば、取締役会の構成などボードプラクティスの部分を形式的に整えたとしてもそれが価値を生み出す経営に生かされていないかもしれません。ボードプラクティスの改善が実際のアクションにつながり、価値を生み出すことがコーポレートガバナンスの改善であるべきと考えます。このような考えをもとに評価するMetrical CGスコアと会社の収益性、バリュエーションにどのような関係があるのか下記に述べてみます。

CG Top20株価パフォーマンス(2024年8月)

8月の株式相場は月初大幅下落した後は次第に落ち着きを取り戻して、月末にかけて下落分の多くを取り戻して引けた。
8月のCG Top20株価はTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して4ヶ月連続で大きくアウトパフォーマンス。

日銀の7月の金融政策決定会合で決めた0.25%の利上げを受けて始まった8月の株式相場は、大きく上昇した円相場による円キャリー円高トレードの巻き戻しから混乱に陥り大幅下落。その後は落ち着きを徐々に取り戻した円相場に加え、ジャクソンホールでのパウエルFRB 議長講演とエヌビデア決算などの重要イベントを通過した米国株式相場が堅調だったことから、買い戻しが先行した。
8月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ-1.96%および-1.23%下落した。CG Top20株価は2.89%の上昇と両インデックスに対して大きくアウトパフォーマンス。

CG Top20は7月1日より構成銘柄が見直されました。荏原製作所(6361)、テクノプロ・ホールディングス(6028)、ENEOSホールディングス(5020)、イノテック(9880)、ユナイテッドアローズ(7606)、パーソルホールディングス(2181)が新たに加わり、H.U.グループホールディングス(2146)、花王(4452)、ワコム(6727) 、ケーズホールディングス(8282)、エーザイ(4523)、トレンドマイクロ(4704)が外れました。構成銘柄の詳細は下記の表の通り。

【メトリカル】収益性を高めることによって海外投資家の支持を得ることがバリュエーション上昇の条件

Metricalの分析
日本の会社のコーポレートガバナンスの分析を本格的に始めたのは2015年6月からで、その当時は500社をカバーしていました。その後2018年2月から現在まで約1,800社を分析しています。これら1,800社をユニバースとして、有価証券報告書、コ―ポレートガバナンス報告書、決算短信など公開情報をもとに月次でアップデートしています。Metricalのコーポレートガバナンス分析はボードプラクティスとキー・アクションに分かれています。それは取締役会の構成などボードプラクティスの部分を形式的に整えたとしてもそれが価値を生み出す経営に生かされているか懐疑的なためです。というのは、理想的にはコーポレートガバナンスの改善は価値を生み出すことに直接つながるか、あるいはボードプラクティスの改善がキャッシュ・アロケーション、自己株式買い戻し・消却などのキー・アクションを通じて価値を生み出すという仮説に基づいているのです。よって、キー・アクションをコーポレートガバナンスの評価に加えるべきだと信じています。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2024年7月)

7月の株式相場は月初大幅上昇した後、今度は下旬にかけて大きく下落して月末に値を戻して引けるボラティリティの高い展開。
7月のCG Top20株価はTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して3ヶ月連続で大きくアウトパフォーマンス。

米国金利低下期待から上昇した米国株式相場を好感して上昇して始まった7月の株式相場は、その後日銀の利上げへと円高を懸念した売りから大幅下落した。月末最終日は日銀政策決定会合が無事通過した安堵感から買い戻しが先行した。
7月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ0.99%および1.47%上昇した。CG Top20株価は3.53%の上昇と両インデックスに対して大きくアウトパフォーマンス。

メトリカル:CG Top20株価パフォーマンス(2024年6月)

6月の株式相場は積極的な買い手がいない中、月中ばに押される場面があったものの、月末には戻して上昇して引けた。
6月のCG Top20は株価はTOPIXおよびJPX400の両株価指数に対して2ヶ月連続でアウトパフォーマンス。

株主総会が集中する6月相場に大きな波乱はないとみられていたが、外債投資の大きな損失を被った某金融機関が株式パッシブファンドの利益確定の売りのるオペレーションを実行したとので推測から、株式相場は月半ばに大きく下落。その後は月末にかけて落ち着きを取り戻した株式相場は前月末に比べて小幅に上昇して取引を終えた。
6月のパフォーマンスは、TOPIXおよびJPX400の両株価指数がそれぞれ1.40%および1.63%上昇した。CG Top20株価は2.04%の上昇と両インデックスに対して大きくアウトパフォーマンス。

メトリカル:東証の要請後もバリュエーション引き上げのキーは海外投資家を惹きつける収益性改善

2023年3月末に東証がP/B引き上げを要請(「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」要請)して1年間経過しました。株価の上昇に伴ってバリュエーションの上昇が期待されています。今回の分析では、2023年3月から2024年3月の期間にMetricalユニバースにおいてTobin’s Qを上昇させた会社にはどのような傾向があったかについて検証しました。

2023年3月から2024年3月で比較可能なMetricalユニバース1,750社において、Tobin’s Qの変化率で5つのグループ(50%超上昇、25%超50%以下上昇、0%超25%以下上昇、変化なし、低下)に分けて各項目で分析します。この期間のTobin’s Qの変化率の中央値は2.06%でした。

メトリカル:コーポレートガバナンス改善のドライバは外国人持株比率

2024年1月は2023年6月以来の海外投資家の日本株買い越しによって、日本株は大きく上昇しました。東証の売買高の70%超を占める海外投資家の売買が日本株を牽引する構図に変化はありません。一方で2023年3月末の東証の要請以降、上場会社は株価バリュエーション(P/B)の引き上げに苦労しています。海外投資家の買いに期待を寄せるような上場会社からの開示も増えてきました。今回は外国人持株比率に注目して、海外投資家が投資する会社にはどのような傾向があるのか分析します。海外投資家はもとより、上場会社にも注目してほしい内容です。

Metricalユニバース1,822社(2024年1月)を外国人持株比率で5つのグループ(30%以上、20%以上30%未満、15%以上20%未満、10%以上15%未満、10%未満)に分けて各項目で分析します。外国人持株比率の中央値は15%です。15%以上の会社は外国人持株比率がよりも高い会社といえます。また、以前の拙記事「Takeover Defense Measures and Foreign Shareholder Ratio」で述べた通り、30%に閾値のようなものがあると考えられます。外国人持ち株比率が30%を超えると会社にとっては株主総会で特別決議の1/3の確保が難しくなるため、外国人株主の影響力が強くなり、その結果会社の経営改善が進むことが期待できます。