「ポストコロナ時代のリスク管理−法改正を踏まえたD&O保険の見直し」動画

2021年4月16日、「ポストコロナ時代のリスク管理−法改正を踏まえたD&O保険の見直し」と題したウェビナーを開催いたしました。

新型コロナウィルスの蔓延で保険事故が増え、企業のリスクマップも大きく変化しました。リスクに備えるため、適切な保険の付保が今まで以上に重要になっています。さらに、会社法令の改正により、D&O保険の購入や役員との補償契約締結について、取締役会での議論、事業報告での開示を適切なものとするよう、十分配慮する必要が出てきました。

特に、D&O保険の重要性は、株主代表訴訟において巨額の損害賠償を命じる裁判例が散見され、金融庁等から課せられる課徴金も高額のものが目立つ昨今、企業の大きな関心事となっています。「攻めの経営」にはリスクヘッジが必要であり、取締役の果断な意思決定を萎縮させないための仕組みは、成長を目指す企業にとって不可欠です。

しかし、D&O保険について、上限額や免責事項が合理的なものであるか、取締役会で討議する日本企業は、これまで決して多くなかったのではないでしょうか。それは保険商品の構造特徴、業界のリスク、他社とのベンチマークなど基礎知識が不十分であったからかもしれません。今後、事業報告による開示も見据えて、取締役はいかなる合理性の尺度を持って討議・決議をすれば良いのか、専門家からの解説、経験者からのアドバイスを伺う機会を用意しました。D&O保険の購入担当者様はもちろんのこと、ガバナンス委員会や取締役会事務局の方にも、さらにはD&O保険の中身を知らない、という取締役にこそ、見ていただきたいウェビナーです。

ウェビナー『公正なM&A – ベストプラクティスは実践されているか』動画

2021年3月26日、「公正なM&A – ベストプラクティスは実践されているか」と題したウェビナーを開催いたしました。

支配株主による従属会社の買収には、構造的な利益相反、情報の非対称性といった問題が存在し、一般株主の利益を確保するため、ガバナンス上の手続的工夫を履践する必要性が認識されています。

指針を作成した研究会委員である研究者、クロスボーダーM&Aを専門とする弁護士を講師としてお招きし、長年フィナンシャルアドバイザーをしてきたBDTI代表理事ベネシュを交えてパネルディスカッションを行いました。日本、グローバル、取引当事者、アドバイザー、投資家など、様々な視点を取り入れ、公正なM&Aについて考えたい大勢の方にご参加いただきありがとうございました。

「女性社内役員調査」~ 研修の必要性

2020年3月期決算の上場企業(2240社)の役員数は2万5273人で、そのうち女性役員は1530人で前年から258人増えたことが、東京商工リサーチの調査で発表された。役員総数に占める女性の比率は6・0%と前年比1・1ポイント上昇。3%台だった17年以降、女性の登用が少しずつ着実に進んでいる状況を裏付けた。

意思決定に女性の視点を取り込みたいと考える企業も増えてきた。女性をリーダーとして育成し昇格させている企業がこれから増えてくることを期待したい。

日本経済新聞社と企業統治助言会社プロネッド(東京・港)が共同で実施した「女性社内役員調査」によると、生え抜きの女性役員はこの2年で1.6倍に増えた。多様性のロールモデルになり始めた彼女たちは昇進をどう捉え、登用に何が壁となると考えているのか。女性社内役員を対象にした意識調査から本音を拾った。

調査は今年1月初旬~3月初旬、東京証券取引所1部上場の売上高5000億円以上の主要企業320社を対象に実施。企業向けの質問票と同時に、社内役員(取締役、執行役、執行役員、監査役)の女性にも個別にアンケートを送り、86人から回答を得た。

調査から見えたのは、経験や実績に裏打ちされた自信だ。成長に役立った経験は「管理職への昇格」が最も多く、28%を占めた。「他部門への異動」(25%)、「新規事業立ち上げ」(14%)が続いた。プロネッドの酒井功社長は「責任と権限のあるポストに就くことの重みを本人たちは実感している。会社も男性と同じように女性に機会を与えることが重要」と指摘する。

役員に就けた理由は「経験」が30%で最多。2番目に「実績」(23%)、3番目に「女性だから」(16%)が挙がった。一部の企業では今も女性に専門的仕事を任せたり、同一部署に長くとどめたりする人事を行う例が少なくない。幅広い経験を若い頃から積ませることが重要になる。

2021.05.25(火)無料ウェビナー:『投資家が求めるガバナンスとエンゲージメントとは?』

コーポレート・ガバナンス強化のための施策として、金融庁がコーポレートガバナンス・コードを策定してから早や6年、2回の改訂が行われました。コードコンプライの割合が非常に高い日本企業ですが、投資家の目には、コーポレート・ガバナンスの改善はどのように映っているのでしょうか。

他方、投資家の方も姿勢が変わり、積極的な議決権行使やエンゲージメントを行う機関が増えており、事業会社には懸念が広がっています。しかも、こうした活発な活動、一部でアクティビズムと呼ばれるような活動も、社会の受容度が高まり、今回は消え去る様子がありません。

本ウェビナーでは、エンゲージメントに力をいれている投資家をお招きし、経営陣との積極的な対話で、企業内部からコーポレート・ガバナンスを改善できるようなエンゲージメント活動の手法、その具体的事例を伺いしながら、形式的ではない実体的なコーポレート・ガバナンスの向上、株価やPBR改善のためのガバナンスの在り方について考察いたします。

ウェビナーは、投資家のガバナンスへの期待値、企業に求められる、これまでと違ったアプローチを知る、非常に希少な機会となります。IR・SRのご担当者様には業務上すぐに役立つ情報となりましょうし、企業価値創造のためガバナンス推進に取り組む取締役会のメンバー・事務局の方々にも、是非ご参加頂きたいウェビナーです。

パネリスト:中神 康議氏 みさき投資株式会社代表取締役社長 丸木 強氏 ストラテジック・キャピタル株式会社 代表取締役社長 朝原 丈雄氏 GMO LLC ユーソニアン・ジャパン・エクイティ・チーム リサーチ・アナリスト 北後 健一郎 氏 企業年金連合会 年金(PFA) 運用部 ヘッジファンド投資担当部長、コーポレート・ガバナンス担当部長

開催日時: 2021年5月25日(火曜日)9:30ー12:00 (2時間30分)

タイムテーブル:9:30 BDTIのご紹介 & ウェビナーのご紹介

        9:40 パネリストによりプレゼンテーション

        11:00 休憩

        11:10 パネリストによるディスカッション

        12:00終了

開催方法:インターネットでウェビナー形式

「東芝はCVC以外の対抗案も含めた検討を、ファラロンが声明」 (Reuters)

「公益社団法人会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ代表理事は「もしこれが米国であれば、レブロン・ルールが適用される。売り手の取締役会はできるだけ高値で売却することが求められる。取締役会の義務は、会社を最も効果的に経営することから、株主にとって最高の価格を獲得することに移行する。しかし、日本にはこうしたルールがなく、取締役会の取るべき行動は不透明で、株主にとっては価格が抑えられることになる」とコメントしている。」

詳しい記事はこちらから。

日本企業の統合報告に関する調査2020

KPMGジャパン コーポレートガバナンス センター・オブ・エクセレンスでは、2014年から日本企業の統合報告の内容に関する調査を継続して実施しています。前回の調査から有価証券報告書の記述情報も調査対象に加えており、今回は前回との比較も行っています。

「8つの領域における調査結果の主なポイント」

1. マテリアリティ
マテリアルな課題を特定する企業は年々増加していますが、未だ、多くは統合報告で求められる価値創造に関わる視点から検討された内容にはなっていません。それらを特定した根拠や、特定のプロセスに取締役会が適切に関与している旨についても説明されていないのが実態です。特定の根拠や、そのプロセスにおける取締役会の役割を説明することで、より企業価値との関わりや組織内での議論の深度が伝わりやすくなるでしょう。

2. リスクと機会
統合報告書でリスクや機会を説明する企業は70%と前年から増加し、有価証券報告書では、すべての企業がリスクを説明しています。しかし、列挙した個々のリスクや機会について、顕在化の可能性、影響、対応策などが必ずしも十分には説明されていません。リスクと機会が影響を及ぼす事象に関する具体的な対応を検討し、それに裏打ちされた実効的なリスクマネジメントの導入が前提ではありますが、取組みの実効性を伝えるためには、個々のリスクや機会に関するより踏み込んだ説明が必要でしょう。

3. 戦略と資源配分
長期戦略と中期経営計画を併記する企業が増えています。長期的な価値創造への過程として中期戦略を位置付け、さらには全体から各事業へと繋がる一貫性のある戦略の説明は有用です。これにより、説得力が増し、企業価値の適切な評価に繋がるものと考えます。また、戦略目標をブレイクダウンし、価値創造ドライバーと結び付けて説明している企業はまだ少数にとどまっています。戦略を達成する道筋をより伝わりやすくするためにも、より結合性のある説明が求められてくるでしょう。

メトリカル:ポストコロナは資本配分政策がポイントか

新型コロナウイルス感染症の終息はまだ確信を持って見出さない中、経済の正常化に向けて資本市場は動き出しています。製造業の中には企業業績の回復を確認できる会社も少なくない状況にあります。このような状況を踏まえてポストコロナを見渡すと、経営は企業価値を高めるために資本の配分がいかにあるべきかを決定し、あわよくば投資家に対して資本配分方針を打ち出すことができることが望まれます。
資本配分方針は、今後の成長への投資と株主還元から成ります。ポストコロナにおける社会的変化やライフスタイルの変化に応じて、事業構造を適応していく中で検討されるであろうと予想されます。下表はMetricalリサーチユニバース約1,800社の配当方針スコアの分布を示しています。配当方針スコアは配当方針と実際の配当性向を比較した上で、最小0から最大5(配当性向50%以上)までスコアリングしています。現状では純利益の20%-30%に設定する会社が多いことがわかります。
標とも有意性のある正の相関関係の兆候が確認される必要があると思われます。今後は指名委員会のプラクティスの改善がさらに進んで行くか、他の価値創造指標と指名委員会スコアとの間で相関の兆しが出てくるのか、注目されます。

メトリカル:3月の株式相場は米国10年債利回りの上昇を懸念して神経質な値動きが続いたが、結局3月も上昇して終えた。1ヶ月間のCG Top20株価のパフォーマンスはTopix、JPX400に対してわずかにアンダーパフォーム。

3月の株式相場はワクチン接種が順調に進む米国経済再開期待から債券利回りの上昇ペースの速さを懸念した米国株式相場の変動を受けて月半ばに大きく下落したものの、その後の堅調な米国株式相場に支えられて3月も上昇して終えた。当1ヶ月間ではTopixとJPX400の両株価指数は4.82%、4.48%とそれぞれ上昇した。CGレーティング・スコア上位のCGTop20株価は4.16%上昇とわずかにアンダーパフォーマンス。
別件になるが、日銀はかねてよりETF買いによって日経225インデックスの価格形成を歪めているのではないかとの指摘されていたが、4月より日経225連動のETFの買いを行わないとの政策変更があった。一方で、日銀のETF買いでは機械的にインデックス構成銘柄の全ての会社を買うことになっているので、ガバナンス視点としていかがなものかとのもう一つの指摘があったが、その返答はETFの運用会社がその任にあるとのことであった。

環境省:「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」発行

環境省は3月26日、インパクトファイナンスを実施する金融機関・機関投資家向けに「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」を発行しました。インパクトファイナンスとは適切なリスク・リターンを追求しながら、明確な意図を持って環境・社会・経済にポジティブなインパクトをもたらそうとする投融資であり、インパクトファイナンスの5つの基本的流れとしてインパクトの特定事前評価事前評価結果の確認モニタリング情報開示を提言しました。

金融庁:コーポレートガバナンス・コード改訂案

2021年にコーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されています。意見書では、2022年に予定されている東京証券取引所の市場区分再編後のプライム市場につき、その上場企業に対し、独立社外取締役の3分の1以上の選任を求めるべきであると提案しています。

プライム市場に関して、微々たる微調整でしかなく(既に3分の1の選任が多い)、プライム市場に参加しない企業に対しては「現状のままでいい、これ以上は要求しない。ご安心を。」というメッセージを送っているように見えます。

2013-2014年にコーポレートガバナンス・コードを提唱した時、7年後は「過半数」まで行くであろうと思ったので、がっかりしています。過半数の独立社外取締役まで原則を上げないと、多くの企業の取締役会は充分変わりません。