ラウンドテーブル⑩:「海外投資家によるエンゲージメントとエスカレーション」

  BDTI Roundtable  

BDTIが開催する「ガバナンス・インサイト・ラウンドテーブル」の第10回目のテーマはKaname Capitalの槙野尚氏をお招きし「海外投資家によるエンゲージメントとエスカレーション」です。

Kaname Capitalは米国ボストンに拠点を置く資産運用会社です。日本の中小型の上場企業にフォーカスし、クオリティ(事業の質)とバリュー(割安さ)を併せ持つ会社に中長期的な投資を行っています。割安さを解消するためのエンゲージメントにも注力しており、海外戦略、グリーン転換、取締役会構成など、海外投資家としての視点も活かしながら、幅広い経営アジェンダについて対話を行っています。しかしながら対話に進展が見られない場合や、それを阻害する要因が明らかな場合には、取締役会への書簡送付や株主提案などのエスカレーションを行う場合があります。今回は海外投資家として日本企業の経営にどのような問題意識を持っているか、またどのようにエンゲージメントやエスカレーションを行うのかなど、事例を交えながら参加者の皆様と議論したいと考えています。

キャシー松井さん「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」動画

2020年8月5日、ゴールドマン・サックス証券株式会社 副会長のキャシー松井さんをお招きし、「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」と題したウェビナーを開催いたしました。

安倍政権が成長戦略の柱として推し進めている「女性活躍推進」は大きな関心を集めるテーマです。当機構の使命といたしましても多くの方々に知ってもらいたいと思い、今回ウェビナーの動画をアップすることといたしました。ご参加いただいた方はご質問の機会や資料の配布等の特典もございましたので何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

(「続きを読む」をクリックすると動画がご覧いただけます。)

ウェビナー『ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント』(2020.08.05 )

「ウーマノミクス」という言葉がキャシー松井さんによって日本に紹介されてから20年余が経過しました。1999年56%だった日本の女性就業率は、2019年には71%に達して米国(66%)を追い抜きました。さらに就業率が日本の男性と同じレベル(83%)まで上昇すれば、日本のGDPを10%押し上げる可能性があると言われています。

今回、長年にわたるBDTIの支援者である松井さんをお招きし、日本の到達点と将来像についてお話いただきます。ウーマノミクスがアベノミクスの重要な一角となった背景には、キャシー松井さんのアドバイスがあったことは皆様ご承知の通りです。BDTIも、企業のリーダー層のダイバーシティと財務パフォーマンスとの相関等について、多くの示唆を頂いてきました。BDTI代表理事のニコラス・ベネシュも加わって、データの示すダイバーシティの効果についてご紹介します。

他方で、女性登用を進めたい企業や上司の方々には、特有の悩みがあるというのもよく聞く話題です。キャシー松井さんがこの度上梓された「ゴールドマン・サックス流女性社員の育て方、教えます」(中公新書ラクレ2020.7.8)は、そのような経営上の悩みへのヒントになります。労働法を専門とする弁護士の市川佐知子がお話を伺います。本では触れられていない、キャシー松井さんご自身の一人の女性としてのキャリア形成や、法と現実の狭間、女性を育てる現場の本音等に迫ります。

2020.04.22 【無料】ウェビナー『コロナの時代のテレワーク活用~最先端企業のこれまで得た教訓、これからの課題』

NTTグループは国内で新型コロナウイルスによる肺炎が拡大していることを受け、2月17日から従業員に対して時差出勤やテレワークの実施を推奨しました。NTTグループは国内で新型コロナウイルスによる肺炎が拡大していることを受け、2月17日から従業員に対して時差出勤やテレワークの実施を推奨しています。NTTコミュニケーションズ株式会社では、テレワークについて以前から制度の整備を進め、 昨年からMicrosoft Teamsを中心としたシステム環境の整備とその活用の啓蒙活動をさらに積極的に展開してきました。加えて、幹部会議もリモートで実施するなど、「風土・意識」「制度・ルール」「環境・ツール」の三位一体で働き方改革へ取り組んだ結果、今回の新型コロナウィルスの感染拡大に対するスピーディーな対応を可能にしました。

そこで当セミナーでは、NTTコミュニケーションズ株式会社 デジタル改革推進部 情報システム部門担当部長の久野 誠史氏および 日本電信電話株式会社でグループ全体のCyber Security Integrationを担当する横浜 信一氏をお招きして、(1)これまでNTTコミュニケーションズでの取り組みを元にテレワークの制度・ルール、「風土」・環境、システム、また(2)NTTグループのテレワークとセキュリティに関する方針および課題について基調講演を行います。 お二人は作業時間の大幅な短縮などテレワーク導入により実現した効果を説明しながら、具体的にテレワークを活用した三位一体の働き方改革についての説明を行います。

個人による外国人家事労働者の身元引受、今こそ解禁を

安倍総理大臣の要請により、全国の小中高校の臨時休校、在宅勤務の推進、スポーツ・文化イベント自粛が続く中、我が国の働く母親たちは大きな負担を強いられています。このような時にこそ、政府はすでに掲げた政策である外国人家事労働者(FDW:Foreign Domestic Workers)の受け入れ戦略を加速させ、一般家庭での身元引受を解禁すべきです。

日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の背景

当ブログに頻繁に訪れる方々は、日本の主要なガバナンス改革に深い関心を寄せておられますが、これらの改革がどのように行われてきたかについては、なかなか知る機会が無いのが現状です。
 カリフォルニア大学バークレー校 政治学教授スティーヴ・K・ヴォ―ゲル氏が、簡潔に分かりやすく、1990年以降の日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の歴史をまとめられているので、ご紹介いたします。

金融審議会ディスクロージャーWGに係る意見 (ニコラス・ベネシュ)

ニコラス ベネシュ(個人として)
平成30年5月18日
  1. 総論

企業の持続的・長期的な成長のため、いわゆるESG(環境・社会・ガバナンス)の投資手法が日本でも広まってきていますが、私はこれまで、この中でも特に「G(ガバナンス)」が重要であるという認識のもと、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの制定・発展に寄与すべく、金融庁や日本取引所グループ等に対して様々な働きかけを行ってきました。今では、日本のコーポレートガバナンスは、(もちろんまだ不十分な点も多いですが)世界的に見ても急激な発展を遂げていると評価できます。

そうした中、企業情報の開示・提供は、企業と投資家を結び付ける重要事項です。しかしながら、今のままでは、この点で日本は主要国から遅れを取る恐れがあると言わざるを得ません。いかに近代的なコーポレートガバナンス原則の枠組みを構築しても、多数の企業の比較分析が可能な形でそれぞれの企業の現状が投資家に伝わらなければ画に描いた餅になってしまいます。コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードを車の「両輪」として機能させるため、企業情報の開示・提供のあり方を検証し、整備することは、今日本において最も必要な喫緊の課題であると考えています。(このことは、コーポレートガバナンス・コードを提唱する時から私が強調していた点です[1]。)

以下、この点に関して私がお伝えしたい点をいくつか述べます。

BDTI/METRICAL共同研究アップデート:「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」

BDTIとMETRICALは、「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」を共同研究しているが、このほど時価総額約100億円超の約1,800社の上場会社について2018年4月末の分析結果をアップデートした。

本分析では、CGプラクティスをボードプラクティスとアクションに分けて考えた場合、ボードプラクティス(取締役会の運営体系)とアクション(実際の企業行動)が価値の創造の指標とされるROE, ROA, トービンのqと有意性のある相関があるかを分析している。

CGコード導入以来、それ以前に比較して一定程度のボードプラクティスの改善は進んだと言えるが、株式会社の目標が価値の創造であるという前提に立った場合、その改善が価値の創造に繋がっているか定点観測することに意義があると見ている。

今回の分析結果において確認されたことは、次のようにまとめられる。

優れた企業業績と相関性が高いのは?(調査サマリー)

公益社団法人会社役員育成機構(以下、BDTI)と株式会社メトリカル(以下、メトリカル)は、このほど日本の好業績企業のパフォーマンスとガバナンスストラクチャー/プラクティス及び企業の実際の行動がどのように相関しているかに関する研究を行い、第一次分析結果をBDTI主催の3月16及びゴールドマン・サックス証券主催の4月4日のセミナーにて報告を行った。当共同研究はまだ途中経過ではあるが、今後の分析に繋がる興味深い有用な指針がもたらされた。

BDTIとメトリカルでは、コーポレートガバナンスは優れた戦略・最適な資本配分及びその他の価値を生み出すための企業行動がなければ、それが有効に機能していないのではないかと考える。したがって、分析においては取締役会の運営・基本方針などのボードプラクティスと主要なアクションと価値の創造のリンケージと相関を見出すことを主眼とした。

生命保険協会:「株式価値向上に向けた取り組みについて」調査結果

生命保険協会は3月21日、企業の株式価値向上に向けたアンケート調査結果を公表しました。上場企業572社、機関投資家93社が回答しました。

「当協会では、企業と株主が建設的な対話を行い、双方の課題意識を共有化することが、中長期的な株式価値向上に向けた企業の取り組みを促すものと考えております。当調査結果を踏まえ、今年度は、コーポレート・ガバナンス、持続的成長に向けた経営戦略、対話の3つの観点から、企業に対し以下の11項目、投資家に対し以下の3項目を要望いたします。当報告書が、中長期的な株式価値向上を促し、ひいては株式市場全体の活性化につながることを期待しております。