BDTIガバナンス・インサイト・ラウンドテーブルを創生

 

2020年の時点で、就任して3年目以下の社外取締役で、かつ、その会社で初めての社外取締役を務める方(他社で社外取の経験がない方)は31%でした。今後も、新任社外取締役の増加が見込まれます。これを背景に、FSAMETIも日本の社外取締役の資質・能力向上について重要視しており、効果的な役員研修について検討・調査中であります。そしてこれらの方々はおそらく、他の方々の経験から学び、ネットワーキングの機会が欲しいでしょう。企業側では、「PBRの改善」、「人的資本経営」と「後継者企画・人材開発」「サスティナビリティ開示」などが投資家に求められており、社外取締役に求められる知識・責任はより一層高まっています。

そこでBDTIは過去の受講生や新規会員「候補」者を対象にコーポレート・ガバナンスに関連する話題をテーマに集まり、率直な意見交換や問題について発言しあう場を提供したいと思います。このBDTIガバナンス・インサイト・ラウンドテーブルに参加することで、参加者はコーポレート・ガバナンスに関するトピックを幅広く議論できるだけでなく、現役の社外取締役の方々の経験からお互いに学び、上質なネットワーキングの機会にもなるでしょう。

ガバナンス・インサイト・ラウンドテーブル①:「人的資本が企業業績に影響するメカニズムとは?」

 

BDTIが開催する「ガバナンス・インサイト・ラウンドテーブル」の第1回目のテーマは「人的資本が企業業績に影響するメカニズムとは?」です。

非財務情報のホットトピックとして人的資本があげられるが、なぜ重要なのか、企業業績にどのように影響を与えるのかをまず理解することが大事です。お話いただく日清食品ホールディングス 社外取締役の中川 有紀子氏の博士論文のテーマもD&Iや人的資本がどのように組織能力向上、企業業績向上に寄与するかのメカニズムを研究してきた実務家です。このメカニズムを知ることで、今、何をやるべきなのかが理解できるようになってきます。 ぜひご参加ください。

キャシー松井さん「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」動画

2020年8月5日、ゴールドマン・サックス証券株式会社 副会長のキャシー松井さんをお招きし、「ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント」と題したウェビナーを開催いたしました。

安倍政権が成長戦略の柱として推し進めている「女性活躍推進」は大きな関心を集めるテーマです。当機構の使命といたしましても多くの方々に知ってもらいたいと思い、今回ウェビナーの動画をアップすることといたしました。ご参加いただいた方はご質問の機会や資料の配布等の特典もございましたので何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

(「続きを読む」をクリックすると動画がご覧いただけます。)

ウェビナー『ウーマノミクス20年の軌跡とこれから〜現場へのヒント』(2020.08.05 )

「ウーマノミクス」という言葉がキャシー松井さんによって日本に紹介されてから20年余が経過しました。1999年56%だった日本の女性就業率は、2019年には71%に達して米国(66%)を追い抜きました。さらに就業率が日本の男性と同じレベル(83%)まで上昇すれば、日本のGDPを10%押し上げる可能性があると言われています。

今回、長年にわたるBDTIの支援者である松井さんをお招きし、日本の到達点と将来像についてお話いただきます。ウーマノミクスがアベノミクスの重要な一角となった背景には、キャシー松井さんのアドバイスがあったことは皆様ご承知の通りです。BDTIも、企業のリーダー層のダイバーシティと財務パフォーマンスとの相関等について、多くの示唆を頂いてきました。BDTI代表理事のニコラス・ベネシュも加わって、データの示すダイバーシティの効果についてご紹介します。

他方で、女性登用を進めたい企業や上司の方々には、特有の悩みがあるというのもよく聞く話題です。キャシー松井さんがこの度上梓された「ゴールドマン・サックス流女性社員の育て方、教えます」(中公新書ラクレ2020.7.8)は、そのような経営上の悩みへのヒントになります。労働法を専門とする弁護士の市川佐知子がお話を伺います。本では触れられていない、キャシー松井さんご自身の一人の女性としてのキャリア形成や、法と現実の狭間、女性を育てる現場の本音等に迫ります。

ガバナンス改善に不可欠である役員研修をエンゲージメントで提案する方法

独立取締役が期待される役割を果たすためには、役員研修が最も必要なものである

2013年に政府自民党にコーポレートガバナンス・コードの導入を提唱した際、最も重要な課題の一つが役員と役員・役員候補者の研修の項目を含める事でした。日本企業の平均的な取締役会のメンバーになった経験がある人にとって研修の必要性は一目瞭然でしょう。なぜなら、日本では独立社外取締役の数が増えたとはいえ現状まだまだ取締役会の中で少数派であり、独立取締役が本来求められている役割を果たし、実効性のある取締役会とするためには、業務執行取締役と社外取締役がお互いの役割についての意見調整することが不可欠ですが、両者の議論がかみ合うための共通の土台となる役員としての基本的な知識やスキルが取締役に不足している場合が多いからです。(また、社外取締役の数が増えるに伴って、複数になった社外取締役間にも「役割・重点」などについて意見調整が必要になってきています。)

必要な知識や視点を共有していないと、最も重要な課題についての分析や議論さえもしないこともあります。例えば、個人的な経験から、技術畑出身でファイナンスが良く分からない人には、自社が2年以内に簡単に倒産する可能性があることを理解してもらうことは容易ではありません。残念ながら「ジェネラル・マネージャー」としてではなく、(頻繁にみられるケースですが)業務分野の縦割り構造の階段を上がってきた多くの日本人経営者は、ファイアンス、投資分析、戦略、株式市場、コーポレート・ガバナンスのベストプラクティスなどの「時代が要請する」レベルの知識を持ち合わせていません。豊富な現場経験と自分の組織のことは知っていても、殆どの人はMBA保持者ではなく、経営者や役員として持つべき基本的なスキルセットの多くが不足しています。彼らの知識は特定の分野に限られており、グローバル企業で期待されているレベルのものではありません。(上述は、英語が堪能だとか海外経験が豊富だという事を念頭に置いているわけではありません。これらを含めるとこの問題はさらに大きくなります。)

日産最終報告書

日産の最終報告書についても、気になる点をまとめてみました。
https://www.nissan-global.com/PDF/20171117_report01.pdf

今回の問題を、取締役会が防ぐことができたのか、との視点でみると、客観的な経営数字の作り方、情報の流れがポイントであろうと思い、関係箇所を拾い出してつなげてみました。部署や工場が異なる記載部分をツギハギしていますから、あくまでイメージであり、実態はそこまで酷くないということもあることには注意したいと思います。

神戸製鋼事件を考える(続き5)

神戸製鋼が批判されるポイントの一つに、長期間広範な問題を経営層(の一部)が知らなかった、また知らなかったとすることで現場に責任を押し付けたかのように見える、という点がありました。神戸製鋼の経営層が無責任無関心だったとは思いませんし、知りたくても知らなかったというのは、偽らざる本音だと思います。経営層と現場の関係について記載された次の記事に、納得しました。
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1801/05/news039.html

このような関係が本当であったとして、これまで現場任せになっていた品質管理について、経営層はどう関与すれば良いのでしょうか。さらに取締役会が関与する必要はあるのでしょうか。また必要があるとしてもどう関与したら良いのでしょうか。

神戸製鋼事件を考える(続き4)

不祥事防止・発見に社外取締役は役立つのか、どう貢献できるか、大変難しい問題です。これを神戸製鋼最終報告書はどう考えているのか、記載から分かることを整理しておきたいと思います。

前提事実ですが、神戸製鋼は2016年に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。2017年当時、全取締役は16名、うち5名が独立社外取締役でした。

不祥事防止のための取締役の関わり方

来たる3月20日に行われるセミナー「企業不祥事から学ぶガバナンス強化策」の講師である渡辺樹一先生は、Business Lawyersでご論稿を連載中です。その第2回では、対談形式のコラムを私も担当いたしました。

企業価値向上と毀損防止に向けて企業は何をすべきか
第2回 製造不祥事から学ぶ教訓、問題の本質と対応策の提言(後編)
https://business.bengo4.com/category1/article302