当社はこれまで、大株主による株主保有形態と収益指標ならびに株価に統計上有意性のある相関があることに着目していました。株主の持ち分によって会社を大きく3つのグループに分類して考えてみます。(a) 50%以上の株式を保有する大株主が存在する会社、(b) 20%以上50%未満の株式を保有する大株主が存在する会社、(c)20%以上の株式を保有する株主が存在しない会社に分けて、当社ユニバースでパフォーマンス収益指標ならびに(過去3年間平均ROE, ROA)およびトービンのQで比較したのが下表です。
これを見ると、大株主が存在する会社のグループ(a)および(b) の大株主が存在しない会社のグループ(c)に比べて、ROA, ROE, Tobin’s Qのいずれにおいてもかなり高いことがわかります。この理由にはいくつかの仮説が考えられるでしょう。大株主の存在がリーダーシップを発揮しやすく迅速な経営判断が行われる、経営目標が株主目線に近くなる、多様な事業を抱えたコングロマリット企業が少なく得意事業に集中している、等々が考えられます。コーポレートガバナンスの観点で考えると、大株主以外の一般少数株主の声が経営に反映されづらいことから、大株主の存在は必ずしも良い面ばかりではありませんが、利益率と株価においては大株主の存在がプラスに作用しています。