第14回スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議

2月15日、金融庁のスチュワードシップ・コード及びCGコードのフォローアップ会議が開かれ、①投資家と企業の対話ガイドライン(案)と②投資家と企業の対話ガイドラインの策定に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂に係る論点について話し合われました。

投資家と企業の対話ガイドライン(案)
投資家と企業の対話ガイドラインの策定に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂に係る論点

日経記事:社外取締役比率上げ-金融庁「3分の1以上」新ルール

2月15日の日本経済新聞記事によると、「金融庁は上場企業の取締役に占める社外取締役の割合を3分の1以上にするよう求める新ルールを導入」し、2018年のコーポレートガバナンス・コードに盛り込むとされています。

「日本は社外取締役の活用で遅れているとの意識が金融庁にはある。米コンサルティング会社のスペンサースチュアートによると、取締役に占める社外取締役の割合は米国で84%、フランスで69%、英国で61%。日本は時価総額が上位の企業でも31%どまりだ。
 
欧米ではCEOの選解任は社外取締役が中心の指名委員会が主導することが多い。日本は経営トップが後任を指名するのが一般的で、決定過程が外部からは見えにくい場合がある。金融庁は不透明な経営トップの選任手続きが不祥事の一因になるケースもあると見ており、選任手続きの透明性を高めたい考え。企業が互いに株を持ち合う政策保有株に対する説明も今まで以上に求める。株主総会などでの経営へのけん制効果が期待できない政策保有株の解消を企業に促していく。」

金融庁、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正概要を公表

金融庁は、1月26日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正の概要を公表しました。

○ 非財務情報の開示充実(「財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に係る記載の統合と対話に資する内容の充実)

「業績等の概要」及び「生産、受注及び販売の状況」を「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に統合した上で、記載内容の整理を行います。
併せて、経営成績等の状況の分析・検討の記載を充実させる観点から、以下の2点についての記載を求めることとします。
ア)事業全体及びセグメント別の経営成績等に重要な影響を与えた要因について経営者の視点による認識及び分析
イ)経営者が経営方針・経営戦略等の中長期的な目標に照らして経営成績等をどのように分析・評価しているか

経産省『統合報告・ESG対話フォーラム』を設置

経産省が立ち上げた「統合報告・ESG対話フォーラム」の第1回会合が12月18日(月)開催されました。当フォーラム設置の主旨について下記のようにリリースで説明されています。

「本フォーラムにおいて企業の統合的開示の好事例の分析を行い、その成果を広く公表することにより、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)要素も念頭に置いた中長期的な価値向上に資する開示を促進します。同時に投資家の投資手法を検討し、優れた投資手法の普及・発展を促進します。これらにより企業と投資家の対話が深まることを通じた、日本企業の「稼ぐ力」の更なる向上を目指します。」

金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」第1回会合開催

金融庁は、12月11日、企業情報の開示・提供のあり方に関する検討を目的とするディスクロージャーワーキング・グループの第1回会合を開催しました。

企業開示を巡る課題の例として次のようなテーマが挙げられています:
(以下会合資料より抜粋)

Ⅰ 「財務情報」及び「記述情報」(非財務情報)の充実
財務情報、及び、財務情報をより適切に理解するための企業の中長期的なビジョン・見通し・業績に関する評価 などを説明する記述情報を充実させるべきとの指摘。 (例えば、経営戦略、MD&A、リスク情報、雇用関係の情報など)

Ⅱ 建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供
対話の観点から、提供されることが望ましいガバナンス情報を充実させ、また、提供方法も改善すべきとの指摘。 (例えば、政策保有株式や役員報酬の決定方針など)

Ⅲ 提供情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組み
投資判断や建設的な対話に必要な情報の適時の提供と、その信頼性を投資家が判断する際に有用な情報の提 供を一層図るべきとの指摘。 (例えば、会計監査に係る情報、情報開示のタイミングなど)

Ⅳ その他の課題
情報通信技術の進展等を踏まえ、投資家のニーズにあった分かりやすい情報提供を図るべきとの指摘。 (例えば、EDINETの利便性、英文による情報提供など)

環境省:2017年1月 ESG検討会報告書

環境庁は2015年に「持続可能性を巡る課題を考慮した投資に関する検討会(ESG検討会)」を設置しました。その検討結果は、2017年1月にESG検討会報告書『ESG投資に関する基礎的な考え方』として公表されています。

ESG検討会報告書『ESG投資に関する基礎的な考え方』(2017.01)

ベネシュ代表理事コメントが The Economist 誌に掲載されました。

The Economist誌サイトにて、11月23日付記事『The craze for ethical investment has reached Japan』にてBDTI代表理事ニコラス・ベネシュのコメントが掲載されました。

日本における最近のESG投資の波について、以下のように紹介されました。

「Nick Benes, who heads the Board Director Training Institute of Japan, an educational body, says he is “all for” the enthusiasm for ESG in Japan. But he frets that Japanese companies are focusing on environmental and social aspects at the expense of governance. “That is the real driver of sustainability,” says Mr Benes. “But here it’s a big, bold E and S, and a small, plain G.”」

品質データ偽装事件と経営者の倫理(山口利昭弁護士ブログ)

山口利昭弁護士が同氏ブログにて『品質検査データ偽装事件の発覚経過を機関投資家はどうみるか?』というタイトルで機関投資家の視点について『「組織ぐるみ」でないかぎり、またステイクホルダーに多大な損害が発生しないかぎりは機関投資家の企業評価自体は下がらないとみています。要はこのような不祥事発生への経営陣の関与、不祥事発覚時の経営陣の対応が全てであり、「この社長の言動に表と裏がないか」というところが機関投資家の注目点』とコメントしています。

神戸製鋼事件を考える(続き2)

神戸製鋼がこれからどのような訴訟を経験することになるのか、未だ分かりません。なので少し脇道にそれますが、ここでは一般的に、不祥事と訴訟の関係について、ある点を考えてみたいと思います。

訴訟はコーポレートガバナンスの重要なツールです、とシンガポール大学の教授から聞きました。最初驚いたのですが、改めて考えるとそれも当然だと納得しました。責任を問われない環境、自律だけが頼みの環境ではガバナンスにも限界があるという意味だと思います。証券訴訟提起を積極的に進めているGPIFは、この考え方を実践しているようです。
http://www.gpif.go.jp/public/activity/shouken_soshou_ichiran.html

GPIFの証券訴訟リストの中に、フォルクスワーゲン (VW) があります。窒素酸化物の排出量を誤魔化すようなソフトウェアを搭載していたというのが、VWの行った不正です。多くのカーオーナーがVWを相手取って提訴していますが、カーオーナーでもないGPIFがなぜ?と不思議に思う方もいるのではないでしょうか。