日本のファミリー企業のROAは、他国と異なり、創業者が亡くなった後でも非ファミリー企業より高いという結果がでています。このような研究の土台となっているのが、本年のノーベル経済学賞を受賞したオリバー・ハート米ハーバード大教授とベント・ホルムストローム米マサチューセッツ工科大教授の研究、「契約理論」です。同理論は、雇用契約や株主と経営者の間の契約など、さまざまな依頼人と代理人との関係において、おのおのの利害をいかに調整するか、そのメカニズムを提示するものです。ここでいう「契約」はかなり広い意味で使われており、明示的な契約を結ばないケースにも応用可能で、コーポレート・ガバナンスについても重要な含意をもっています。
ハート教授、ホルムストローム教授の理論をファミリー企業研究に応用し、日本のファミリー企業においては、利害関係者のインセンティブを上手く引出すことで実効性のあるコーポレート・ガバナンスが機能し、これがパフォーマンスの好調に繋がっているという研究成果を発表した日本の4名の研究者からお二人にご紹介いただくセミナーを開催します。