私が社外取締役を務めていたある会社では、取締役会事務局と密に連携する管理部門の方々と良好な関係を築けていました。彼らは皆、私のメールアドレスを知っていました。
ある日、管理部門の方から内密に話をしたいと誘われてランチに行くと、 管理部門の方が2名で現れました。 聞くと、シニアマネージャー(Xさん)がある女性に対して何度も不適切な発言をしている、つまりある種のセクハラをしているという告発でした。問題は、Xさんが企画部門の責任者であるのみならず優秀であり、当時は非常に重要な取引を担当していたため、経験や知識を兼ね備えた後任をすぐに採用できないということでした。そのことを、その女性も知っていたため、会社を巻き込んだトラブルになったり、Xさんへの処罰は他の従業員の知るところとなるので望んでいませんでした。 彼女はただ、できるだけ静かに、不適切なコメントをやめてほしかったのです。
私はCEOのところに行き、私が聞いていることを伝えた上で、「Xさんと話をしてもらえませんか?何が真実かわかりませんが、疑惑があることをほのめかせば、実際に何かが起こっているのであればきっとやめてくれるはずです。」と。しかし、 数週間が経ってもX氏の行動は何も変わっていないことを、ランチで話した2名から知らされました。 そこで私は、再び社長のもとへ行き、聞いた話を伝えました。 そして、「彼の行動をやめさせなければ、次の取締役会でこの件を取り上げます」と伝えました。