株主との対話を有効にするために、協同的エンゲージメントの規制緩和が必要

ニコラス・ベネシュー日経
2021年に日本経済新聞に書いたこの記事で、#ESG や効率的な対話に拍車をかけるために、日本の「協同的エンゲージメント」に関するルールの改訂を提案いたしました。その前からもFTなどで書いていました。最近日本政府はこの件に関して動きそうだとうわわを耳にしますが、本当ならいいのですが、またまた蓋を開けると不必要な条件付き「限定的な範囲」にならなければいいなと思っています。
記事の内容の一部から引用します:
「必要になるのが、複数の投資家が連携して企業に対して対話をする「協働対話」というスタイルだ。欧米では普通に行われているが、日本ではほとんどない。
なぜだろうか。まず、日本は企業統治で先を行く英国とほぼ同じ内容のCGCとSCを導入したが、英国と違って「必要であれば協働対話すべき」のような能動的な義務を明記せず、「協働対話が有益な場合もあり得る」という玉虫色の表現にとどめているという、コード自体の消極性の問題がある。
また金融商品取引法の規制もネックだ。日本の大量保有報告制度では、機関投資家の報告期限などに関する運用負担が軽い緩和措置があるが、「重要提案行為等」を目的とする場合にはこの緩和措置を受けられない。しかも重要提案行為の範囲は不明確で、行政の裁量が大きい。
複数の機関投資家が参加する協働対話では、重要提案行為の該当性判断を統一するため、保守的に対応せざるを得なくなる。その結果、企業の株主の重要なメッセージが伝わらず、有効な対話とならない懸念がある。
かつてこの規制には「アクティビスト」という悪役イメージのレッテルを早いうちに「物言う株主」に貼ってしまう目的があった。しかし現代では、SCが求める「対話」すべき事項が「重要提案行為」の定義の中に多く含まれている。役員構成や配当などの資本政策などだ。現行の規制は協働対話や投資家の意見交換すら委縮させている。投資家責任を求めるのであればその責任が実際に有効に履行される環境を整備する必要がある。」
ニコラス・ベネシュー日経

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください