「国際的な金融システムの監督機構である金融安定理事会(Financial Stability Board: FSB)が2015年末設立した気候変動に関する財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure: TCFD)での議論を着々と進めています。2016年3月末にTCFDの活動の範囲・目標を決定するフェーズ1を終了し、4月からのフェーズ2では企業による1)自主的な情報開示原則、2)先進事例についての具体的な提言をまとめる予定です。フェーズ1の最終報告書は、良好なコーポレートガバナンスにより1)企業のビジネスにおける気候変動による影響を包括的に把握すること、2)そのリスクマネジメント戦略を持つこと、によりTCFDの提言の有効性が増すと明言しています。
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日本総研:『 実効的な取締役等選任をサポートする日本版スキル&インテリジェンスマトリックスの必要性』
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/8885.pdf
「コーポレートガバナンス・コードは株主を含むステークホルダーに対する配慮を企業に求めており、 「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」において社会全体についての見識・洞察である 「インテリジェンス」を取締役等選任基準に含める必要がある。すでに一部の日本企業ではマトリッ クスという形式を採用していないものの、取締役等に求める経験・素養の一部を公表している場合が ある。今後は、多くの企業が「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」として包括的な選任 基準およびその説明を公表することにより、株主だけでなく、他のステークホルダーに対しても透明 性を確保することが望まれる。」
企業における女性登用-法的責任、コーポレートガバナンス、ESG投資の観点から-
このようなタイトルで、Business Law Journal 2016年5月号に寄稿しました。以下はその冒頭部分です。
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が、2015年8月に成立し、2016年4月から施行される。これにより、従業員301名以上の企業は、女性登用に関する数値目標を含む行動計画を立て、届出、周知、公表することが義務付けられた。各社は急ぎ計画を立て、届出等の対応を済ませたところではないだろうか。一息ついたところで、本稿では、以下の点について整理してみたい。
QUICK ESG : 「【アメリカ】モーニングスター、グローバル20,000ファンドのESG格付けを開始」
「米投資情報大手のモーニングスターは3月1日、業界で初となるESG(環境・社会・ガバナンス)に基づいてファンドを評価する「モーニングスター・ファンド・サステナビリティ格付けTM」のサービスを開始した。これにより、投資家は投資信託やETFが抱えるESGリスクと機会を評価できるようになる。
QUICK ESG :「ハーバード大学Eccles教授、信託銀行に気候変動への対応を求める 」
「ハーバード・ビジネス・スクールの教授でESGクオンツ・ファンドのArabesque Partners会長を務め、SASB(米国サステナビリティ会計基準)およびIIRC(国際統合報告評議会)の創業者の一人でもあるサステナビリティ分野の学術研究における世界的権威、Bob Eccles氏は2月17日、MITスローン・マネジメント・レビュー上で気候変動の取り組みにおいて信託銀行が主要プレイヤーとなることを求める論文、”The Climate Custodians“を発表した。
時事通信記事:「東電元会長ら3人強制起訴=福島原発「津波予想できた」-検察審議決受け指定弁護士」
「東京電力福島第1原発事故をめぐる検察審査会の起訴議決を受け、津波を予想できたのに対策を怠ったとして、検察官役の指定弁護士は29日、勝俣恒久元会長(75)ら東電旧経営陣3人を業務上過失致死傷罪で東京地裁に強制起訴した。2011年の事故発生から5年を経て、原発事故の刑事責任が初めて法廷で争われる。
経済産業省「持続的な価値創造に向けた投資のあり方検討会」
「持続的な企業価値を生み出すための企業経営・投資のあり方やそれを評価する方法の検討に当たっては、狭義のESG(環境、社会、ガバナンス)だけでなく、人的資本、知的資本、製造資本(例えば、IIRC(国際統合報告フレームワーク)における6 つの資本の考え方等)等も視野に入れた総合的な検討が求められます。
上智大学が日本の大学基金として初のPRI署名機関に
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2015/11/globalnews_1659/20151101 昨年11月に上智大学が日本の大学基金として初めて国連責任投資原則(PRI)に署 […]
RIETI:「グローバル・ガバナンスの今後-COP21「パリ協定」合意に見る「一筋の光明」-」
「12月12日、厳戒態勢のパリにおいて開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるための取組などを盛り込んだ「パリ協定」を採択した。本協定は、2009年のCOP15において採択された「コペンハーゲン合意」のような政治合意とは異なり、れっきとした法的文書である。同様に法的文書である「京都議定書」(1997年のCOP3で採択)の後継協定となるが、同議定書とは異なり、加盟各国の温室効果ガス排出削減目標に関して法的拘束力がないことが、今次「パリ協定」の最大の特徴の1つである。
筆者は気候変動の専門家ではないので、「パリ協定」の内容の当否について論ずることは控えたいが、グローバル・ガバナンスに日頃より強い関心を有する立場から一言述べたい。