役員研修・ガバナンス関連のブログ - 35ページ目 (165ページ中) - 取締役、役員、投資家など、誰でも投稿できる!

ディスカッション・フォーラム

日本をダメにするイエスマン、「忠臣株主」に立ち向かう方法

ニコラス・ベネシュ (翻訳 市川佐知子)

概要: 機関投資家が本気になれば、企業の株式持ち合いを解消することは難しくありません。これを実現する方法として実務的なテクニックを1つご紹介します。

「忠臣株主」問題

最近の改革で改善したとはいえ、企業の株式持ち合いは依然日本市場の大きな問題です。株価連動インセンティブの小さい経営陣や社外取締役は、めまぐるしい市場経済の変化の中で現状維持に甘んじ、ビジネスリスクをとって収益性を追求する戦略を練らず、経営陣のイエスマンである「忠臣株主」は何も言わない、そしてこれらの経営陣や社外取締役は再任を重ねる、という悪循環が続いています。企業のことを真剣に考える株主の諫言は大きくなりつつありますが、忠臣株主のイエスの大コーラスの前に、かき消されてしまいます。

第14回 CGS研究会(CGシステム研究会)グループ・ガバナンス・ガイドライン骨子案

経済産業省のCGS研究会でグループ・ガバナンス・ガイドラインの骨子案が2月13日に発表されました。背景となるこれまでの委員会の議論の内容及び直近で経産省が実施したコーポレート・ガバナンスに関するアンケート結果の資料も事務局説明資料として公表されました。

重要な事項の虚偽記載

日産とゴーン氏が行ったとされている、報酬を過少に記載した虚偽記載の「重要性」について、弥永真生教授のエッセイが出た(ビジネス法務3月号)。会計にも詳しい弥永教授らしく、有価証券報告書様式の記載上の注意にも触れた、詳細な議論がなされている。意外に思う人もいるだろうが、結論は「重要性あり」だ。ごくごく簡単に彼の3つの論拠をまとめてみた。

金融庁のコーポレート・ガバナンス連絡会議 (2010年)に、議案毎の議決権行使開示を提唱したメモ(ベネシュ)

(メンバーとして2010年6月にニコラス・ベネシュが金融庁の「コーポレート・ガバナンス連絡会議」(第二回の会議)に提出したメモ)

2017年に改訂されたスチュワードシップ・コードでは、議案毎の議決権行使結果の公表が求められているが、恐らくその発想が初めて日本で提案されたのは、2010年6月に私が以下のメモを金融庁の「コーポレート・ガバナンス連絡会議」に提出した時です。最近そのメモが見つかったので共有させていただきます。当該メモでは他にも色々な事を提案しました(以下ご参照)。いまだに(JPXおよびMETIなどに)私が提案中のものも数多くあります。

  • 20%以上の希薄化の場合、株主の承認を要すること。
  • 独立社外取締役のみから構成される「委員会」を設置すること 。
  • 公開会社の取締役会の少なくとも2分の1を超える人数が社外取締役であることを義務付ける こと。
  • イギリスのように、TOBで30%以上を超えそうな時、同条件で全部買付を義務つけること 。
  • エクスチェンジ・オファーによるTOB の有利発行問題回避の利便性ある方法。また、非課税扱い。
  • 議決権行使の参考資料の配布と株主総会の間に設けられている通知期間を、公開会社の場合には少なくとも4週間に延長すること

議案毎の議決権行使結果公表についての私の提案は以下の通りです。これは、改訂スチュワードシップ・コードにあるような 「ボランタリー」な ルールではなく、 議決権行使行為を金融商品取引法41条*の善管注意義務の対象にして、 明確な法的義務として提案しました。いまでもそうすべきだと思っています。しかし、2019年に同様の提案をする場合にはもっと内容を強化します。例えば、保険会社や銀行の場合は開示基準の持ち分比率を「5%」より低くします。やはり透明性の時代が到来したので、いまからこのような法的措置が必要であると思います。

日産自動車のコーポレート・ガバナンス報告書

(2018年12月25日提出。1-2頁の抜粋)

「当社のコーポレート・ガバナンスの状況は以下のとおりです。

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報1.基本的な考え方コーポレート・ガバナンスの充実は、当社の経営の最重要課題のひとつである。当社のコーポレート・ガバナンスにおける最も重要なポイントは、
経営陣の責任の明確化であり、当社は、株主及び投資家に向けて明確な経営目標や経営方針を公表し、その達成状況や実績をできるだけ早く
また高い透明性をもって開示している。これによって経営陣の責任を明確にし、コーポレート・ガバナンスの充実を図っている。【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由】

日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の背景

当ブログに頻繁に訪れる方々は、日本の主要なガバナンス改革に深い関心を寄せておられますが、これらの改革がどのように行われてきたかについては、なかなか知る機会が無いのが現状です。
 カリフォルニア大学バークレー校 政治学教授スティーヴ・K・ヴォ―ゲル氏が、簡潔に分かりやすく、1990年以降の日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の歴史をまとめられているので、ご紹介いたします。

準備するということの重要性:役員会議の議事録をビジネスの武器に変える方法

役員会議の内容を記録するにあたり適切な準備をしておくことは賢い習慣というだけにとどまらず、正確で簡潔な議事録作成の基本を押さえておくことで会議参加者に対しても高い貢献となります。 会議が始まる前にノートを取る準備時間を持つことで、ディスカッション中の混乱を避け、記録過程でのミスを減らし、全体的な効率を高めることが出来ます。 正確かつ生産性の高い議事録を作成するには、次の3つの手順を押さえておくと良いでしょう。

「コーポレートガバナンス分析-CGと価値創造とのリンケージ」(BDTI/METRICAL共同研究)

BDTIとMETRICALの共同研究 – CGと価値創造とのリンケージ -が2019年1月31日現在でアップデートされました 。(要約は以下の通りです)

(1) 相関分析: ボードプラクティスとパフォーマンス

ボードプラクティスのファクターにおいて、パフォーマンスと有意性のある正の相関が継続している。

(a) ROE (実績): 指名委員会、女性取締役数、インセンティブ・プラン、
独立取締役比率のファクターが有意性のある正の相関

(b) ROA (実績): 報酬委員会、インセンティブ・プラン(負の相関)、顧問・相談役のファクターが有意性のある相関

(c) Tobins Q: 指名委員会、顧問・相談役、独立取締役比率が有意性のある正の相関

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