純投資目的以外株式保有

長年にわたり株式持合い解消は自己資本利益率(ROE)の向上に関して議論されてきたが、我が国において純投資目的以外株式保有は今でも重要な問題である。当レポートでは本年 8 月末のコア・リサーチ・ユニバースをもとに 当問題点について検証した。その結果、売上高に対して純投資目的以外の保有株式の大きい 50 社の ROE およ び CG スコアは 500 社全体のそれらよりも低いことが認められた。50 社のうちちょうど半数が 銀行で、この 1 年間で 当該株式残高は実際に減少したと言えない。株主に対する説明責任において、会社 は配当収入による収益だけでは ROE の向上に負荷をかける当該株式保有の費用対効果を開示するべきである。 詳細記事は下記リンクをご参照ください。

http://www.titlisgroup.com/mwbhpwp/wp-content/uploads/Cross-share-holdings20160905JP.pdf

Titlis Group   http://www.titlisgroup.com/jp-home/

「コーポレートガバナンスの充実と企業価値向上に向けた東証の取組み」(株懇・TSE)

8月に東京証券取引所と東京株式懇話会が協力して「コーポレートガバナンスの充実と企業価値向上に向けた東証の取組み」をテーマに講演会と意見交換を2日間にわたり4回実施し、756名が出席しました。

詳細は以下の資料をご覧下さい。

http://bit.ly/2edjMqe

 

株懇『企業と投資家の建設的な対話に向けて ~対話促進の取組みと今後の課題~』

全国株懇連合会は、10月27日、『企業と投資家の建設的な対話に向けて ~対話促進の取組みと今後の課題~』を発表しました。具体的な内容は、「建設的な対話の取組状況」、「基準日の適切な設定」、「株主提案権制度のあり方」の3つのテーマを取り上げて、実務的な視点から検討を加えたものです。エンゲージメントの現状について実例を交えて解説し、今後取り組むべき課題が挙げられています。

BDTIでは、エンゲージメントをテーマに、11月14日(月)、本年6月に日本経済新聞出版社から『投資される経営 売買される経営』を上梓されたみさき投資株式会社代表取締役社長の中神康議氏と一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授の野間幹晴氏をお招きして、セミナー『~エンゲージメントの前に経営者が知っておきたい~「投資される経営」とは?長期的な企業価値創造のための経営視点とスキルとは?』を開催します。投資家とのエンゲージメントが求められている企業経営者、IRご担当者の皆様のご参加をお待ちしております。

セミナーの詳細とお申し込みはこちらから。

フェア・ディスクロジャー・ルール・タスクフォース開始

2016 年4月18 日、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が本年4月に公表した報告書に盛り込まれた、「フェア・ディスクロージャー・ルールの導入に向けた検討の実施」がいよいよ本格化し、10月21日金融審議会 市場ワーキング・グループ「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」(第1回)が開催されました。

CGスコアが上昇した会社 2015/09-2016/09

ティトリスは前回のCGスコア増減要因分析に引き続き、2015/09-2016/09の期間でCGスコアが改善した会社をアップデートした。
455社中7社が買収防衛策を外し、多くの会社が取締役会の改善に着手した。この動きはスピーディとは言えないまでも着実な改善を図りたいとする動きとして前向きに評価したい。一方で、ROEの改善にポジティブな影響を与えるとみられる政策保有株式と自社株消却の動きは鈍かった。

http://www.titlisgroup.com/mwbhpwp/wp-content/uploads/CGscore-improvement20161007JPsample1-2.pdf

コーポレートガバナンススコア増減要因分析 2015/09-2016/09

ティトリスでは上場企業約500社のコーポレートガバナンスをレーティングしているが、2016年9月末でコーポレートガバナンス(CG)のスコアは1年前に比べて約3/100 pt改善した。取締役会の改革による要因が最大だが、役員報酬インセンティブ、買収防衛策、自社株償却なども少しずつ改善の方向に向かってはいる。純投資以外の株式保有は減少傾向を示したが、これは株価下落によるものが大きいため、実質的改善はまだまだである。全体として改善傾向を示すものの、そのスピードは期待が高かった分だけ程遠いと言わざるを得ず、今後もウオッチすべき。
http://www.titlisgroup.com/mwbhpwp/wp-content/uploads/CGR-attribution20161008JP.pdf

株式中心のインベストメントチェーン

東京理科大学総合研究院客員教授
(ゆうちょ銀行市場部門執行役員)
清水時彦

日本企業では長いこと、大企業を中心に、年功制、長期雇用、企業内労働組合という3要素が相互補完的に機能して安定的な経営が行われてきた。経営者は従業員出身の場合も多く、経営効率よりは雇用が重視され、社会もそれを求めた。

その背景には、国民がその資産のほとんどを預金として銀行に預け、銀行はそれを企業に貸し出すというメインバンク制があった。ローンなので回収可能性が銀行経営のメルクマールとなり、担保主義と問題が生じた場合の経営関与がその柱で、対象企業の経営効率には焦点が当たらない。一方で国民たる従業員には長期雇用の下で安定的な賃金が支払われていた。

本来なら経営効率の向上を一番に望む株主も、事業の取引先を中心とした持ち合いが支配的であり、彼らも経営の長期的安定性を選好する。

現実はより複雑であろうが、全体を俯瞰すれば、これまでの日本は、国民→銀行→企業→従業員というデットを軸とした資金循環の下で、効率性よりは安定性を重視するシステムであったと言える。

以上は昨年お亡くなりになった青木昌彦元スタンフォード大学教授による比較制度分析に基づく日本の企業システムのアウトラインである。

これらは、人口増加の下で、日本がエマージング的に経済成長している間は有効であったといえる。企業は独自の技術や技能を長期雇用によって蓄積することが競争優位であった。しかし、90年代後半からは生産年齢事項は減少に転じ、また並行して進行している世界的な情報革命の下で既存の技術やビジネスモデルの陳腐化も早くなっている。最近では、AIやIoT、ディスラプティブといった言葉が紙面を賑わすなど、変化の時代といえる。企業も、長期雇用等による人材の囲み込みよりは、環境変化や技術進歩に応じた優秀な専門人材の獲得の方が重要となる。、、、

厚労省及びPFAは企業年金におけるスチュワードシップコードの受入れ表明を促進する検討会を開きます

企業年金連合会および厚生労働省は、企業年金関係者、機関投資家、金融庁などが参加する「企業年金におけるスチュワードシップコードの受入れ表明を促進」する検討会を開きます。政府としても受益者(従業員)としても受け入れを促すことが当たり前なことですから、コード制定の2年半後にこのような検討会のプロセスを速めてほしいが、前進ですので応援しましょう。発表内容は以下に引用します。

ご参考までに、これは当課題(つまり年金ガバナンスとして企業年金のスチュワードシップコード受け入れの表明を促すことが不可欠)についての私が書いた以下の提言の結果であると思われます:

「スチュワードシップコードが実効的に機能するために、年金ガバナンス強化の具体策を提言する」
https://bdti.or.jp/2016/08/20/pengovrprop/

「従業員を大事にする日本」では、スチュワードシップコードの受け入れを表明した何百社の機関投資家の中には、何社の非金融上場企業の年金基金が含まれていると思いますか?現時点では、一社のみです(セコムの年金基金)。たった一社(!)では、同コードがそのフル・ポテンシャルを発揮するはずがありません。

厚生労働省およびPFAの発表:(9月28日) (引用)

スチュワードシップ検討会の設置について

公認不正検査士協会、「COSO – 不正リスク管理指針 エグゼクティブ・サマリー」(日本語翻訳版)を公開

公認不正検査士協会(ACFE)は、10月7日、「COSO – 不正リスク管理指針 エグゼクティブ・サマリー」(日本語翻訳版)を公開しました。同サマリーは、取締役会と上級経営者に向けてCOSOの不正対策方針と統制を制定する利点を説明するために作成されています。

BDTIのe-Learning『コーポレート・ガバナンス(基礎編)』ではCOSOの概略を紹介しています。基礎編に続き、『コーポレート・ガバナンス(実践編)』も完成しました。BDTIのe-Learningでは、コーポレート・ガバナンスの他、『会社法』『金商法』のコースも揃えました。コーポレート・ガバナンスの基礎知識習得のための利便性の高い学習ツールとしてご活用ください。詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください。https://bdti.or.jp/e-learning/

日本総研コラム:「【創発eyes】 業績連動役員報酬の実態と課題」

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=29950

「コーポレートガバナンスコード(以下、コード)施行から2年目の株主総会シーズンが終わり、多くの上場企業がコーポレートガバナンス報告書の最新版を公表した。昨年から、コードの各項目別の「遵守」率や社外取締役の登用状況やその有効性に大きな関心が集まってきた観があるが、このほかに、コード施行により大きく変化している分野として役員報酬に注目することができる。コードの補充原則4-2-1では「経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである」としており、報告書における開示にも多様な記述が出てきた。ここではコードの目指す「持続的な企業価値向上」の実現可能性が高いとみられるJPX日経インデックス400構成企業(2016年8月末現在、以下、構成企業)の業績連動報酬の開示状況を概観したい。、、、、