メトリカル:5月の株式相場は米国株式相場高に支えられ、月半ばから大きく上昇。CG Top20株価は上昇するも、Topix, JPX400に対してアンダーパフォーマンス

2020年5月の相場は経済活動再開を好感し、前月に引き続き大幅上昇した。新型コロナワクチン治験の進捗の報道を好感して大幅上昇した米国株高をを追って、株式相場は2ヶ月続けて大きく上昇した。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間でそれぞれ6.75%および7.17%の上昇。CGレーティング・スコアTop20株価は3.54%と両株価指数に対してアンダーパフォーム。

メトリカル:委員会設置は進んだか

この1年間で指名委員会・報酬委員会を設置する会社が増えてきました。透明性・客観性を深めていく上でも経営の継続性を考えても、これら委員会を設置することはコーポレートガバナンスの充実を図る上ではとても重要な課題です。東証の要請もあって、ここ最近では任意の諮問委員会を設置する会社が多く見られます。一方で、法的な指名委員会と報酬委員会を設置する「指名委員会等設置会社」の組織形態の採用は進んでいないのが現状です。

2年前からどれくらい委員会設置が進んだのかをメトリカルの調査対象約1,800社をベースにお示しします。下グラフの通り、2018年3月末と2020年4月末を比べると、法的な指名委員会と報酬委員会を設置する「指名委員会等設置会社」の数は65社/全1,796社から68社/全1,753社とわずかに3社の増加にとどまりました。指名委員会等設置会社への移行はいかにハードルが高いと上場会社の多くが考えているかを表しています。一方で、任意の(諮問)委員会として、指名委員会と報酬委員会の設置が進みました。任意の指名(諮問)委員会がある会社数は、2018年3月末の550社/指名委員会等設置会社を除く全1,731社(指名委員会等設置会社を除く会社に占める割合31.8%)から2020年4月末の949社/指名委員会等設置会社を除く全1,685社 (同56.3%)に増加しました。報酬委員会でも同様に、任意の報酬(諮問)委員会がある会社数は2018年3月末の609社/指名委員会等設置会社を除く全1,731社(指名委員会等設置会社を除く会社に占める割合35.2%)から2020年4月末の992社/指名委員会等設置会社を除く全1,685社(58.9%)に増加しました。

メトリカル:4月の株式相場は米国市場の回復を手がかりに上昇。CG Top20株価はTopix, JPX400に対してややアンダーパフォーマンス

2020年4月の相場は新型コロナ感染拡大懸念から大幅下落が続いた前月までの地合いから、大幅回復した。コロナ治療薬の良好な治験に関する期待から上昇した米国株高を好感して世界各国相場が上昇に転じた。Topix, JPX400の両株価指数は1月以来4ヶ月ぶりの上昇で、当1ヶ月間でそれぞれ4.54%および4.60%回復した。CGレーティング・スコアTop20株価は4.15%とややアンダーパフォームした。ちなみに当月間のボラティリティ(標準偏差)は、Topix, JPX400, CG Top20株価はそれぞれ、7.65%, 7.74%, 4.11%。

メトリカル:ガバナンスプラクティスと変えようとする意思、企業風土

メトリカルでは女性取締役数を「いかに会社が変わろうとするのか」を測るうえでボードプラクティスの重要なファクターの一つと位置付けてきました。下の表は2020年3月末で1,755社について、女性取締役数と主なパフォーマンス指標であるROE (実績ベース)、ROA (実績ベース) および トービンのQ との相関分析を示しています。当ファクターは2017年に相関分析をBDTI と行ってきて以来、ROE (実績ベース)と統計的に有意性のある正の相関があることが確認されていました。そして、12月決算会社の年次株主総会後のデータがアップデートされた3月の分析では、当ファクターは新たにROA (実績ベース)とも有意性のある相関があるサインを示しています。 

私たちが当ファクターをコーポレートガバナンス評価のキーファクターと考えた理由は、当ファクターがパフォーマンス指標ばかりでなく、下表のとおりボードプラクティスを評価する際の他のファクターと有意性のある相関が確認されているからです。

メトリカル:3月の相場は前月に続いて大幅値下がり。CG Top20株価は前月に続きアウトパフォーマンス

2020年3月の相場は新型肺炎の感染が世界各地への拡大を懸念して上下動変動の高い相場展開が続いた。月半ばまでの大幅下落の約半分を月末にかけて回復した。Topix, JPX400の両株価指数も3月の1ヶ月間でそれぞれ-6.46%および-6.79%と前月に続いて大幅下落した。CGレーティング・スコアTop20株価は-6.22%と両主要株価指数に比べ、-0.30%と下落率を抑えて前月に続いてアウトパフォームした。ちなみに、CG レーティング・スコアTop10位までの10社の株価では-1.44%とさらに下落が少なかった。

メトリカル:2月の相場は新型肺炎感染拡大の懸念から大幅値下がり。CG Top20株価はTopix, JPX400に対して下落幅を抑えて前月に続きアウトパフォーマンス

2020年2月の相場は新型肺炎の感染が世界各地への拡大リスクを懸念して、月末にかけて世界の主要株式市場で大幅下落。Topix, JPX400の両株価指数も2月の1ヶ月間でそれぞれ-0.59%および-0.57%と大幅下落した。CGレーティング・スコアTop20株価は-0.38%と両主要株価指数に比べ下落率を抑えて前月に続いてアウトパフォームした。ちなみに、CG レーティング・スコアTop10位までの10社の株価では-0.34%とさらに下落が少なかった。

BDTI/METRICAL共同研究アップデート:「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」-2020年1月-

トピックス

  • 独立取締役が過半数を超える会社が85社に前月から1社増加(山田コンサル[4792]
  • ボードプラクティスとパフォーマンス指標(ROE,
    ROA,
    トービンのq))と有意性のある正の相関は、

(実績ROEと正の相関)

  • 女性取締役比率と実績ROE
  • インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROE

(実績ROAと正の相関)

  • インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROA

(トービンのqと正の相関)

  • 独立取締役比率とトービンのq
  • 顧問・相談役ファクターとトービンのq

メトリカル:1月の相場は月前半ばまでのリスクオンモードから、新型肺炎感染拡大によるリスク懸念から値下がり。CG Top20株価はTopix, JPX400に対して下落幅を抑えてアウトパフォーマンス

2020年1月の相場は米国株式市場の最高値更新を手がかりに月半ばまで堅調に上昇。その後新型肺炎の感染拡大が及ぼす世界経済への影響を懸念して主要株価指数、CGTop20株価ともに下落。Topix, JPX400の両株価指数は12月1ヶ月間でそれぞれ-0.11%および-0.09%と下落に転じた。CGレーティング・スコアTop20株価は-0.07%と前月から下落したものの両株価指数に対してアウトパフォームした。