メトリカルでは女性取締役数を「いかに会社が変わろうとするのか」を測るうえでボードプラクティスの重要なファクターの一つと位置付けてきました。下の表は2020年3月末で1,755社について、女性取締役数と主なパフォーマンス指標であるROE (実績ベース)、ROA (実績ベース) および トービンのQ との相関分析を示しています。当ファクターは2017年に相関分析をBDTI と行ってきて以来、ROE (実績ベース)と統計的に有意性のある正の相関があることが確認されていました。そして、12月決算会社の年次株主総会後のデータがアップデートされた3月の分析では、当ファクターは新たにROA (実績ベース)とも有意性のある相関があるサインを示しています。
私たちが当ファクターをコーポレートガバナンス評価のキーファクターと考えた理由は、当ファクターがパフォーマンス指標ばかりでなく、下表のとおりボードプラクティスを評価する際の他のファクターと有意性のある相関が確認されているからです。
これは統計的分析結果ですが、取締役会に女性取締役が追加されると会社のカルチャーにインパクトを与えることを想像することができます。女性取締役数は他のダイバーシティ評価項目に比べ比較的容易にデータを入手できるボードダイバーシティの一部分に過ぎません。現在、女性取締役のほとんどが独立社外取締役で、ほんのわずかが社内執行取締役です。しかしながら、私たちは、当ファクターは会社が会社を変えて、コーポレートガバナンスの改善にいかに真剣に取り組んでいるかを評価する上でキーとなると信じています。このとが、私たちが「女性取締役数が“変えようとする意思“を反映する」という仮説を立てた理由なのです。
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株式会社メトリカル
エグゼクティブ・ディレクター
松本 昭彦