役員研修・ガバナンス関連のブログ - 27ページ目 (165ページ中) - 取締役、役員、投資家など、誰でも投稿できる!

先見の目:「これからの日本におけるコーポレートガバナンス」(立石信雄(オムロン株式会社代表取締役会長、2001年)

(訳20年前に書かれました。)「…これまで一般に言われてきた日本企業のコーポレートガバナンスの特徴を要約すると、①内部昇進者による取締役会・監査役会の運営、②企業間の株式持合による安定株主化、③メインバンクによる支援体制、といった点があげられる。これらの仕組みは、敵対的な買収を防止し経営の安定化を促進し、企業の長期的な戦略立案を可能にするなど、日本的経営が成功した要因の一つとして評価されてきた。

しかし、取締役や監査役の大部分が内部昇進者で占められ、社長が両者の実質的任免権を持つことにより、取締役会や監査役が利害関係者の集団にとどまってしまい、企業トップ自身が不祥事に深く関わるような場合には、経営に対するチェック機能が働かないという深刻な問題が浮き彫りになってきた。また、株式持合の進行により、互いの経営内容について口を挟まぬ「物言わぬ株主」を増加させ、資本市場からのチェック機能の不全化も招いた。このような経営のチェック機能の弱体化と併せて、株主の権利の軽視や低い投資収益率についての批判もなされるようになった。

九州旅客鉄道株式会社の株主のみなさまへ

ファーツリー・パートナーズ(以下「ファーツリー」といいます。)は、九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」といいます。)の社外取締役として私を選任する株主提案を提出しました。この株主提案の提出は、JR九州の新規株式公開以来、最も長期にその株式を保有するアクティブタイプの最大株主であるファーツリーが、同社に適した新たな取締役候補者を探し出すための対話を同社と重ねてきた末のものです。私は、私のこれまでの専門的な経験と知識が、JR九州の取締役会の現在のニーズに合致しているという信念に基づいて、指名を受けることを承諾しました。特に、私は投資家と企業との対話を重視しており、そのためにアナリストおよび会社役員の両方の経験を役立てることができると考えています。

4月中旬に、私はJR九州の経営陣が何か月もの時間をかけて審査と面談を行った結果、結局は、ファーツリーと検討した全ての候補者を採用しないと決定したことを知り、驚きました。この時に、私はファーツリーから、今年の定時株主総会で提出する株主提案の取締役候補者になるよう依頼されました。日本では、株主提案の候補者が取締役に選任される例はまだ多くありません。それでも、私は株主提案の候補者となることを決心しました。有効なガバナンス及び完全に独立した社外取締役の役割の重要性を強く認識しているからです。ここ数か月でJR九州についてさらに学んだ結果、私は社外取締役として、同社の取締役会に多様性および多角的な視点を提供し、さらにアナリスト、ファンドマネジャー、IR専門職、ガバナンスを担当する会社役員として培った専門性をもってJR九州の取締役会に貢献できると考えるに至りました。私は、JR九州が直面している新型コロナウイルス感染症が引き起こした数々の困難な課題に対処し、同社が本来の力を発揮するためのお役に立てるものと信じています。

また、私は、私がファーツリーから完全に独立していること、ファーツリーに対しても常にそれを伝えていることを公にお伝えしたいと思います。ファーツリーは、外部の人材調査会社を通じて私に連絡をしてきました。それまで私は、ファーツリーの方を誰一人として知りませんでした。私とファーツリーとの間には金銭的な取り決めは一切行われておりません。私がJR九州の取締役として選任された後も、ファーツリーとは独立した関係を保ちます。私はファーツリーの意見を、保有株数に関係なく、他の株主のみなさまからのご意見と同じように扱い、検討します。

私がJR九州の取締役に選任されたなら、広い視野を保ち、偏見を持たないようにいたします。全ての取締役会の付議事項について、公開および非公開の情報を収集して自分自身の意見を持った上で、他の取締役と協議し、経営陣および株主のみなさまのご意見を考慮して、慎重に判断いたします。全てのステークホルダーにとってベストになるような決定を、十分な情報を踏まえて行えるよう尽力いたします。

メトリカル:英文コーポレートガバナンス報告書

新型コロナウイルス感染症拡大の影響でまだ決算を確定できない3月決算会社会社もある中で、6月末の定時株主総会のシーズンが迫っています。近年は株主総会の開催日を月末の集中日から前倒しする会社も増えていますし、英語での株主総会招集通知を案内および開示する会社も多くなってきました。また、会社定款の変更を伴うことになりますが、電磁的投票を許容する会社も増えています。これらは株主・投資家にとってとても良い取り組みです。これら一連の項目に加えて、IRの充実度合いをAGM/IRという評価項目としてメトリカルでは分析しています。ご参考までにAGM/IRファクターとパフォーマンス指標(実績ROE, 実績ROAおよびトービンQ)との相関を下記にお示しします。とりわけトービンQにおいて当ファクターの有意性のある正の相関が注目を引きます。IR情報開示や株主総会へのアクセシビリティが高いなどAGM/IR評価が高い会社ほど市場で株価が高く評価されているということができます。これは上場企業でIRを担当されている方にとって何より救われる結果です。

一方で、東証に提出するコーポレートガバナンス報告書を英文で提出している会社はまだ限定的です。全上場企業(約3,800社)のうち2020年5月現在で265社だけが英文コーポレートガバナンス報告書を提出しています。海外投資家の株式保有および売買高の比率の高さから見れば、英文コーポレートガバナンス報告書を開示する会社がもっと増えても良いと思われます。

メトリカル:5月の株式相場は米国株式相場高に支えられ、月半ばから大きく上昇。CG Top20株価は上昇するも、Topix, JPX400に対してアンダーパフォーマンス

2020年5月の相場は経済活動再開を好感し、前月に引き続き大幅上昇した。新型コロナワクチン治験の進捗の報道を好感して大幅上昇した米国株高をを追って、株式相場は2ヶ月続けて大きく上昇した。Topix, JPX400の両株価指数は当1ヶ月間でそれぞれ6.75%および7.17%の上昇。CGレーティング・スコアTop20株価は3.54%と両株価指数に対してアンダーパフォーム。

マーサー 「役員報酬サーベイ-Mercer Executive Remuneration Guides 2019」の結果発表

世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役・島田圭子)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Mercer Executive Remuneration Guides (以下、MERG) 」(https://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/information-solutions/mercer-executive-remuneration-guides.html)の2019年版レポートを発表した。

マーサージャパン組織・人事変革コンサルティング部門の井上康晴は、「『日本再興戦略改訂2014』において、「コーポレートガバナンス改革」が成長戦略の最重要課題の一つとして位置づけられて以降、持続的な企業価値の向上にむけた改革が進んでいる。過去最多の企業に参加いただいた前回サーベイに引き続き、今回のサーベイにおいても多くの企業に参加いただいており、政府の方針や市場の動向に対する関心の高さを表していると考えられる」と述べている。

近年、日本においては、コーポレートガバナンスに関する関心がこれまで以上に高まっている。同部門の亀長尚尋は、「2019年12月に改正会社法が成立・公布されるなど、進展するコーポレートガバナンス改革に企業は一層取り組むことが求められている。2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにより、先進的な取組を行う企業や充実した開示を行う企業は増加傾向にあり、自社の取組・開示の検討に際しては、市場プラクティスや他社事例は非常に有用である。本サーベイでは、報酬データだけでなく、ガバナンスに関する企業の対応状況やサクセッションプラン(後継者計画)の策定・運用等、時流を踏まえて項目をアップデートしているので、ぜひ活用して頂きたい」と述べている。

調査結果ハイライト

  1. 参加企業数は272社(前年比17社減少)
  2. 日系企業における社長の総直接報酬水準(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は9,010万円
  3. 日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定する傾向
  4. 過半数の企業が各報酬レベルでターゲット水準ポリシーを定めており、さらにその約50%の企業がベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定
  5. 日系企業の74%が中長期インセンティブ導入済み。日系企業の39%が譲渡制限付株式を導入
  6. 諮問委員会(報酬・指名)の設置状況は、報酬委員会が55%、指名委員会は51%となっており、一般的になりつつある
  7. サクセッションプランは、43%の企業が導入済み、30%が導入を検討
  8. 海外子会社の報酬水準を管理・把握している日系企業は74%

取締役会の評価制度と経営者との連携

今日の企業取り巻く厳しいビジネス環境において、取締役会はどのようにビジョンを描き、自社を成功に導くことができるだろうか。取締役会および経営者に対する評価制度は、現在もまだ十分に活用されているとは言えないが、これこそが企業トップ層の最適化に向けて容易かつ迅速に活用出来る取り組みである。

遡ること20年前、取締役会および経営者の評価制度を採用している企業は殆ど皆無であった。 当時の取締役会と経営者の関係性とは、経営者がビジョンを描き、取締役会はそれを忠実に実行することを意味していた。しかしながら、エンロン事件後、ビジネスの世界において、米国のSarbanes-OxleyやDodd-Frank、また英国のガバナンスコードなどの規制が取締役会の在り方に大きく影響し、評価制度を導入する企業や(既に導入している場合)評価制度を更に改善する取り組みが増加した。

そして、評価制度は株主の注目を集めるようになり、これによって機関投資家は企業に対して取締役会の最適化をより一層求めるようになった。今日、評価制度は、ESGやSBP(Sustainable Business Practice)など長期的にビジネスに影響する課題に対して企業のリーダー達がどのように取り組んでいるかを市場へ示すための指標となっている。

評価制度は、以下の取締役会の任務を常に優先課題として認識する上で有効である。

1.企業リーダーとしての能力判定および維持
2.取締役会の構成および再構成
3.企業戦略に対する同意と支援
4.会社のリスクプロファイルの監視
5.より重要な課題に取り組むための時間配分

では、企業はどのように評価を開始すればよいのだろうか。

2020.06.11 BDTIの『国際ガバナンス塾』(一日役員研修プログラム)、WEB会議形式で開催します!

本研修ではコーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるためのBDTIの役員研修、「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支える立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。実例を参考にしたディスカッション形式を取り入れた活気ある研修を行い、ベストプラクティスを導くためのヒントを豊富にお伝えします!
新型コロナウイルスの感染拡大状況に伴い、皆様に安心して受講していただけるようテレビ会議形式で開催する事といたしました。オンラインで実施する研修ですので、日本全国どこからでもご参加いただく事が出来ます。各専門分野の講師による講義に加えて、画面を通じてのディスカッションもございます。毎回ご好評いただいておりますので、お申込みはお早めに!

2020.05.18 BDTIの『国際ガバナンス塾』(一日役員研修プログラム)、テレビ会議形式で開催します!

本研修ではコーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるためのBDTIの役員研修、「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支える立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。実例を参考にしたディスカッション形式を取り入れた活気ある研修を行い、ベストプラクティスを導くためのヒントを豊富にお伝えします!
新型コロナウイルスの感染拡大状況に伴い、皆様に安心して受講していただけるようテレビ会議形式で開催する事といたしました。オンラインで実施する研修ですので、日本全国どこからでもご参加いただく事が出来ます。各専門分野の講師による講義に加えて、画面を通じてのディスカッションもございます。開催日まで残りわずかとなりましたので、お申込みはお早めに!

2020.06.11 会社役員育成機構(BDTI)の『国際ガバナンス塾』(一日役員研修プログラム)

会社役員育成機構(BDTI)では、コーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるための研修「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支える立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。ケース・スタディを随所に組込んだ実践的な研修です。
*今後の新型コロナウィルス感染状況によってはテレビ会議形式に変更になる場合があります。各専門分野の講師による講義に加えて、画面を通じてのディスカッションもございます。是非、ご参加ください。

メトリカル:委員会設置は進んだか

この1年間で指名委員会・報酬委員会を設置する会社が増えてきました。透明性・客観性を深めていく上でも経営の継続性を考えても、これら委員会を設置することはコーポレートガバナンスの充実を図る上ではとても重要な課題です。東証の要請もあって、ここ最近では任意の諮問委員会を設置する会社が多く見られます。一方で、法的な指名委員会と報酬委員会を設置する「指名委員会等設置会社」の組織形態の採用は進んでいないのが現状です。

2年前からどれくらい委員会設置が進んだのかをメトリカルの調査対象約1,800社をベースにお示しします。下グラフの通り、2018年3月末と2020年4月末を比べると、法的な指名委員会と報酬委員会を設置する「指名委員会等設置会社」の数は65社/全1,796社から68社/全1,753社とわずかに3社の増加にとどまりました。指名委員会等設置会社への移行はいかにハードルが高いと上場会社の多くが考えているかを表しています。一方で、任意の(諮問)委員会として、指名委員会と報酬委員会の設置が進みました。任意の指名(諮問)委員会がある会社数は、2018年3月末の550社/指名委員会等設置会社を除く全1,731社(指名委員会等設置会社を除く会社に占める割合31.8%)から2020年4月末の949社/指名委員会等設置会社を除く全1,685社 (同56.3%)に増加しました。報酬委員会でも同様に、任意の報酬(諮問)委員会がある会社数は2018年3月末の609社/指名委員会等設置会社を除く全1,731社(指名委員会等設置会社を除く会社に占める割合35.2%)から2020年4月末の992社/指名委員会等設置会社を除く全1,685社(58.9%)に増加しました。

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