「今年3月で、東京電力福島第1原子力発電所の事故から5年の歳月が経過する。同事故が国民的課題として突き付けたエネルギー政策の根本的見直しは進展しているのだろうか。結論を先取りすれば、エネルギー改革の到達点は分野ごとに大きく異なっておりまだら模様である。肝心の原子力改革については目立った進展がみられないなど、全体としては残された課題の方が大きいと言える。
エネルギー改革の諸分野の中で比較的進展がみられるのは、電力・ガスのシステム改革だ。電力システム改革については、2015年4月に電力広域的運営推進機関が発足し、16年4月には小売り全面自由化が実施される。さらに、20年には法的分離方式による発送電分離も予定されている。一方、ガスシステム改革についても、17年の小売り全面自由化に続き、22年には大手3社(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス)の導管部門の法的分離が実施される。
システム改革の遂行で小口を含むすべての需要家が電力会社・ガス会社を選択できるようになる。また全面的な市場競争にさらされるため、これまで基幹部門に残る総括原価割により緩みがちだった電力会社やガス会社のガバナンス(統治)も改善される・・・。」
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http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/kikkawa/03.html