無料ウェビナー:「ESG経営」をどう「開示」するべきか?

ESGやSDGsの文言を見ない、聞かない日はないほどに、社会資源の重要性と企業活動の持続可能性を考慮する投資、それに応える企業経営が喫緊の課題となり、その開示情報の量が加速度的に増しています。しかし、ESG投資のスタイルは様々です。格付機関、開示情報基準団体、情報提供機関も多立錯綜し混迷を極めています。基準統一の必要性が叫ばれていますが、TCFD、ISSB、GRI、VRF(旧SASB、IIRC)その他、一体どこが覇権をとるのでしょうか。目まぐるしい変化の中、企業は今、何をして、どのような開示体制を準備すれば良いのでしょうか。

本ウェビナーでは、企業開示の専門家でインパクト投資にも詳しい野村総合研究所の三井千絵氏、三菱UFJ信託銀行アセットマネジメントの加藤正裕氏をお招きし、ESG経営時代、同時に到来したマシーンリーディング時代にあるべき情報開示のあり方についてご講演いただきます。財務会計情報を超えて投資家が求める情報は何か探り、そこから基準統一化の将来を占います。企業に関するESG情報は当該企業が発表するものだけではありません。SNS、ネット情報が光速で拡散する中で自社情報をきちんと伝えるための技術も備える必要があります。必要な情報をトラック・収集、分析し、企業を舵取りする取締役会に迅速に提供するための社内組織も変革が必要となります。

ESG経営は押し付けられた基準を無目的に開示するだけのお荷物ではありません。社会資源の重要性を理解し、自社の強みを発見し長期戦略に繋げてこそ意味があります。取締役会の戦略議論と直結しているのですから、その情報開示についても取締役会がイニシアチブを発揮するべきです。講師のお二人に、BDTIの代表理事ニコラス・ベネシュを交え、ESG経営、企業情報開示、コーポレートガバナンスなどをパネルディスカッション方式で議論します。

【開催日時】  2021年11月4日(木)15:30 –18:00

【参加方法】  ZOOMビデオ会議形式(実名を伏せたい方は、表示名を匿名、参加などへ変更してください、オーディオをオフにしてください)

2021.11.25(木)無料ウェビナー: 実効的対話の本質と形態

 

投資家サイドと事業会社との間で行うエンゲージメントは、それが重要であることを今更繰り返す必要がない程に浸透していますし、その実施には多くの時間とリソースが費やされています。しかし、双方が満足できる対話の実現は少ないのも事実ではないでしょうか。ありきたりの質問、表面的な回答、時間がとられる割には充足感がなく、その後の対話段階に繋がる発展性、究極的な企業価値の向上に繋がる建設性が見えづらい。

投資家サイドは事業会社を十分研究分析し、その上で行う質問や意見交換を事業会社の中枢に届けたいと考えています。事業会社の方も、投資家の声に耳を傾け、資金調達や企業の方向性決定に役立てたいと考えています。しかし、そのためには事業会社のIR担当者と年に数時間面談するという方法は効率的ではないかもしれません。

本ウェビナーでは、ひびき・パース・アドバイザーズの清水雄也氏、ラザード・アセット・マネージメントのスコット・アンダーソン氏をお迎えし、書面を使った対話方式をご紹介します。質問項目を書面にすれば、ファンドは核心をついた情報収集ができ、事業会社の作業も無駄が省けます。また書面を読めば、ファンドがどれ程真剣に事業会社を研究分析しているかは一目瞭然であり、応じる事業会社もメリハリをつけられます。

コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップコードが目指す建設的な対話はIR担当者のところで止まってしまうべきではありません。投資家サイドの声が書面となっていれば、IR部門から取締役会への情報連携も容易となり、取締役会は当社を真剣に研究分析する投資家の声を参考にしながら、戦略議論を進めることができます。講師のお三方に、BDTIの代表理事ニック・ベネシュを交え、建設的な対話の本質や形態についてパネルディスカッション方式で議論します。

【開催日時】  2021年月11日25(木)15:30 –18:00 (2時間30分)

投資家と上場会社との対話が対話にならないわけ

森本 紀行:ヤフージャパンニュース「投資家と上場会社との対話が対話にならないわけ」

https://news.yahoo.co.jp/byline/morimotonoriyuki/20210916-00258076

対話ではなく単なる質疑応答

「金融庁のガイドラインを一読して、対話という言葉を想起するのは、かなり難しいことです。これは、責任ある投資家として、その責任を果たすために、上場企業の経営者に問い質すべきことを列挙したものであって、上場会社の経営者や取締役には、その質問に誠意をもって答えることが期待されているのだとすれば、対話というよりも、質疑応答のガイドラインです。

しかも、質問は、基本的に、「何々となっているか」という形式になっていて、それは「何々すべきである」という「コーポレートガバナンス・コード」の原則に対応しているのですから、実質的には、質問を通じて、原則の実施状況を確認する主旨になっています。これでは、責任ある投資家の責任とは、上場会社を監視し、持続的成長へ向けて努力するように監督する責任と解するほかありません。

それにもかかわらず、敢えて投資家と上場会社との対話と呼ばれるのは、おそらくは、両者間の対等性を強調するためです。なぜなら、投資家による上場会社の監視監督という表現は、投資家の地位の優越を明瞭に示していますが、株式の上場制度の本来の原理原則からすれば、上場会社と投資家とは、開示制度による情報の対称性を介して、対等の地位にあることが前提になっているからです。

対等なもの同士の対話とするためには、両コードにおいて、責任ある投資家に対しては、投資先企業の選択基準と売却基準、投資先企業との対話に関する基本姿勢などについて、行動原則の策定、および原則が確実に履行されるための仕組み作りを要求し、上場会社に対しては、投資家が原則通りに行動していることについて、監視監督することを要求すべきです。

しかし、実際には、そうなっていないのですから、投資家と上場会社の対話とはいっても、対話という用語は文飾であって、実態は、投資家による質疑と、上場会社による応答です。」

 

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企業価値を高め、成長していくためにはコーポレートガバナンスの強化は必須です。ESG投資の期待に応えるため企業活動の高度化がガバナンスの重要性をさらに上げています。BDTIが特化する「役員研修」「社外取研修」および「コーポレートガバナンス教育」は経営に関わる人には非常に大切です。

コーポレートガバナンスに関する投稿、日々感じていることなどを頻繁に更新しています。無料ウェビナーの情報も公開しています。

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2021 年 ICGN エクセレンス・イン・コーポレートガバナンス・プログラム

お薦めなプログラムです。登録する際、BDTIのベネシュ代表理事の紹介で申し込んでいる旨を記載してください。併せてinfo@bdti.or.jp に申し込んだ旨お知らせ下さい。よろしくお願いいたします。( BDTIはスポンサーです。)

東京証券取引所(TSE)は最近、日本の上場企業による英語の開示を強化するため、海外の機関投資家に開示に関する調査への参加を呼びかけました。 調査の結果、英語による開示の要望が強く、80%の回答者が決算報告の英語での開示が必要であると回答し、74%がIR資料についても同様と回答しています。

東証は2022年4月に新しい市場構造への移行を計画しており、改訂されたコーポレートガバナンス・コードには、新しいプライム市場の上場企業は「開示文書で必要な情報を英語で開示、提供する必要がある」という原則が含まれているため、これらの結果はかなりタイムリーです。

プライム市場に上場する企業は、グローバル投資家との建設的な対話を通じて、中長期的な企業価値を向上させることが期待されています。調査では、多くの海外機関投資家が、英語の開示が不十分であることが上場企業との対話や投資決定に影響を与えていると指摘しました。英語の開示がさらに進展することで、建設的な対話が強化され、日本企業への投資が拡大することが期待されます。

東証をパートナーとしてお迎えし、ICGN”ICGN’s Excellence in Corporate Governance Programme“を開催します。このコースでは、グローバルに分散投資するポートフォリオを有する機関投資家が、企業のコーポレートガバナンスの実践と長期的な価値を生み出すためのアプローチをどのように分析するかについて認識を深めます。 カリキュラムは、日本のコーポレートガバナンス・コードの最近の改訂と JPX、特に新しいプライム市場に上場する企業に期待される基準に焦点を当てます。

メトリカル:多様性は強くなければならない

今月もダイバーシティについて取り上げます。ダイバーシティは企業の底力を引き上げると信じているからです。ダイバーシティはESGのSとGに深く関わっていて、会社のカルチャーの変革に大きく影響を及ぼすのです。一方で、ESGの取り組みの中でSとGに比べてEに熱心な日本企業が多いように感じられます。Eの場合には、CO2排出量目標のような技術的な数値目標を設定して、エンジニア中心にボトムアップで技術水準を向上させて最終的に高い目標を達成してきた成功体験を持つ日本企業には相対的に取り組みやすい分野だからなのでしょうか。SとGでも、数値目標でなくとも明確な目標を掲げ、タイムフレームを設定して改善に取り組むことはできるはずです。これまで何度かダイバーシティについて取り上げる中で、さまざまな人々が関わりあう企業であれ社会であれ、皆が生きやすい環境を作っていくには、人権の尊重、つまり多様性の理解が大切なことを述べてきました。以前の記事でも触れた、先進的なダイバーシティの取り組みを行なっている物語コーポレーション(3097)の2021年6月期決算のアナリスト・ミーティングが8月19日(木)にあり、参加しましたので、当社のダイバーシティの取り組みをアップデートしてみたいと思います。

物語コーポレーションはダイバーシティに積極的に取り組む上場会社の一つです。当社はパートタイム・ワーカーでない幹部社員としてインターナショナル(外国籍)社員の積極登用を進め、2021年6月時点で13カ国126人が在籍(全社員比率10%)と2020年12月時点の11カ国105人が在籍(全社員比率9.5%)から増加しています。この6ヶ月間でインターナショナル(外国籍)社員の店長は4人から18人に大幅増加しました。また、LGBTQ人財の活躍支援にも取り組んでいて、全社員に対しての研修で基礎知識から始まり職場での対応方法などを学び、あらゆるセクシャリティを理解し、支援する考えを共有するほか、同性パートナーが社内で法律婚と同じ待遇を受けることができる「ライフパートナーシップ制度」を導入しています。これによって、LGBTQまだ同性婚が法律上認められていない日本で法律婚カップルと同等の待遇を受けられるようになり、具体的には結婚お祝い金や、配偶者手当、同居できない場合には単身赴任手当や帰省旅費の支給などを行なっています。

本アナリスト・ミーティングで、当社は新しく策定した「長期経営ビジョン」の中で、「個の尊厳を組織の尊厳より上位に置く」との経営ビジョンのもと、「目指すべき姿」として、(1)多様性の表現、(2)多様性の表現が生む価値、(3)多様性の受容 を掲げています。企業の持続的成長のためには、差別化が欠かせない中で、当社社長の加藤氏は「仕組みや構造で差別化を起こす大きな差別化(type of operation)は真似されやすいが、小さな差別化の積み重ねは大きな差別化になり、キャッチアップされにくい。後者の差別化のためには、個人が自分を表現することによって、多様な議論が会社の中で巻き起こり新しい価値を生み出すことが必要。個人の価値を会社全体に広げていく企業文化にしていきたい」と述べました。