オリンパス事件を参考に考える公益通報者保護法改正案

現行の公益通報者保護法は2004年に制定、2006年に施行された。三菱自動車によるリコール隠しや雪印食品による牛肉産地偽装がきっかけになったと言われている。しかし、施行当初から、その保護対象事実の狭さや、報復禁止の実効性の乏しさなど、不十分さが指摘されていた。国会の付帯決議や法律の附則に基づき、消費者委員会公益通報者保護専門調査会が設置され、改正議論がなされていたが、その速度は遅々としたものであった。2018年12月に同調査会報告書がようやくまとまり、対象となる法律を定める別表についてのパブリックコメント募集を経て、2020年3月9日に改正法案が閣議決定を受け、国会に上程される運びとなった。

法案の主な改正点には、次のようなものが含まれる。

松下幸之助の言葉

今から40年前、50年前に松下幸之助が語ったコーポレートガバナンスとスチュワードシップの考えが、今注目されています。昨年月刊誌『Voice』で松下幸之助の「株式の大衆化で新たな繁栄を」と題する文章が紹介されました。 同氏の『実践経営哲学』からの引用と併せて紹介します。

曰く、株式会社は、社長や重役のものではなく、 株主のものであると同時に、社会の「公器」でもある。 決算期ごとに株主総会で業績を報告し、業績が良いモノは 株主から称賛とねぎらいの言葉を頂戴する。 充分な成果が上がらなかった時には、 謹んでお叱りを被る。これが、本来の姿であり、 株主は経営者の御主人である事を決して忘れてはならない。 株主は短期的な売買姿勢をとらず、むしろ「主人公」として毅然とした態度を保つ事が大事である。 単に株式を保有して配当を受け取るだけでなく、株主としての権威、見識をもって 経営者を叱咤激励する事も望ましい。(BDTIによる要約。以下は各出典本文から引用。)