日本最大級のビジネスプロフェッショナルグループ・デロイト トーマツ グループがこのほど、日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度の導入およびコーポレートガバナンスへの対応状況に関する実態調査を実施したので、その結果の一部を紹介します。
「 社長報酬総額は売上高1兆円以上企業の中央値で9,946万円(前年比+0.9%)、株式関連報酬採用企業は60.2%(同+15.3ポイント)、報酬委員会設置企業は49.0%(同+9ポイント)に。
【調査結果のサマリーとポイント】
■ 報酬水準は昨年対比でわずかに上昇。年々増加傾向に
売上高1兆円以上の企業(2019年度版においては52社)における社長の報酬総額水準は中央値で9,946万円(前年比+0.9%)。
■ 株式関連報酬は増加傾向にあり、特に株式交付信託・譲渡制限付株式の導入が進んでいる
60.2%の企業が株式関連報酬を既に導入していると回答し、昨年から15.3ポイント増加。現時点での導入済みの制度としては、「株式交付信託(信託の設定による株式付与)」が147社と最も多い。
■ コーポレートガバナンス・コードの改訂を受け、報酬委員会の設置および選解任基準の整備が進んでいる
昨年6月の改訂版コーポレートガバナンス・コードの影響を受け、任意の報酬委員会を設置している会社は全体の49.0%と昨年より9ポイント増加。加えて、CEOの選解任に関する手続きにおいて、CEOの選任基準を整備している企業は対前年比21.1ポイント増加し、全体の28.7%にまで上った。
【『役員報酬サーベイ(2019年度版)』の調査結果】
■ 社長報酬総額の推移
- 売上高1兆円以上の企業における社長の報酬総額は中央値で9,946万円となり、前年の9,855万円と比較し+0.9%となった。【図1】
■ コーポレートガバナンス
- 指名委員会等設置会社を除く910社のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は49.0%(446社)と前年より9ポイント増加、任意の指名委員会を設置している企業の割合は42.9%(390社)と前年より約9ポイント増加している。
- 任意の報酬委員会・指名委員会の設置率は上昇したものの、年間開催回数は、ともに年1~2回の企業が半数以上を占めており、昨年度の水準(報酬委員会で54.5%、指名委員会で52.1%)から大きな変動は見られず、形式的な議論にとどまっている可能性がある。【図2】
- 昨年6月に公開された改訂版コーポレートガバナンス・コードの影響を受け、CEOの選任基準を整備している企業が266社と全体の28.7%(前年比+21.1ポイント)と大幅に上昇した。CEOの解任基準においても全体の27.7%にあたる257社が整備しており、CEOの選解任に関する手続きの客観性・透明性担保に対応する企業が見られる。なおCEO以外の役員についても、選任基準を整備している企業が380社(40.9%)、解任基準を整備している企業が315社(33.9%)と、前年から増加して4割程度となった。【図3-1】【図3-2】
- 指名基準に関連して、後継者計画を整備している企業は、CEOは全体の159社(17.1%)、その他役員は117社(12.6%)であったが、今後整備する予定の企業も含めると、CEOは604社(65.1%)、その他役員は559社(60.2%)と徐々に後継者計画の整備が進むと見込まれる。・・・」
デロイトトーマツ(ニュースリリース):『役員報酬サーベイ(2019年度版)』の結果を発表