「経済財政運営と改革の基本方針2020」と「成長戦略実行計画」

7月17日、政府は、令和2年第11回経済財政諮問会議および第41回未来投資会議を合同で開催し、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針)」と「成長戦略実行計画」が取りまとめられました。

経済財政運営と改革の基本方針2020のポイントはコロナ禍と防災対策であり、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなかで、デジタルを活用した“新たな日常”の実現を強く打ち出しました。

コーポレート・ガバナンス改革の推進に関しては、成長戦略フォローアップ案42ページ)に主に下記のように言及されています。

・「コーポレートガバナンス・コード」について、更なる中長期的な企業価値の向上を目指し、事業ポートフォリオ戦略の実施など資本コストを踏まえた経営の更なる推進(上記ⅲの事業再編を促進するための実務指針との連携も検討する。)、上場子会社の取扱いの適正化を含むグループ・ガバナンスの強化、監査の信頼性の確保、中長期的な持続可能性(サステナビリティ)についての考慮や社外取締役の質の向上などの論点につき検討を行った上で 2021 年中に改訂を行う。

・その際、東証の市場改革において高い時価総額・流動性とより高いガバナンスを備え投資家との建設的対話を中心に据えて中長期的な企業価値向上にコミットする企業が参加する市場(プライム市場(仮称))に上場することを予定する企業については、今後、「コーポレートガバナンス・コード」等の改訂等を重ねるごとに他の市場と比較して一段高い水準のガバナンスを求めていくこと等により、我が国を代表する投資対象としてふさわしいガバナンスの水準を求めていく必要があることから 2022 年4月の市場構造改革実施に向け、2021 年中に改訂が予定されている「コーポレートガバナンス・コード」において一段高い水準のガバナンスを求めることとする。

取締役・監査役のトレーニングは言及されず

成長戦略フォローアップ案には「取締役会の監督機能の要となる社外取締役の機能を実質化するため、社外取締役の役割認識や取締役会等における具体的な行動の在り方についてのベストプラクティスを示す「社外取締役の在り方に関する実務指針」の普及・浸透を図ると明記されています。今月末には、「事業再編実務指針」と「社外取締役の在り方に関する実務指針」の二つの指針が公表される予定です。案を見る限りは取締役・執行役員の研修にはまったく言及されておらず、コーポレートガバナンスを促進することは建前だけなのか、と疑問を抱いてしまいます。あるいは、経団連と産業界が許せる範囲がここまでだったのでこのようなの乏しい内容になってしまったのでしょうか。

何しろ、パキスタンのような新興国では役員研修はほぼ法律上必須になっているのに対して、コーポレートガバナンスの運営を新しい方向に舵取りしようとしている日本企業も政府も、この分野にまだ殆ど何もしていません。

社外取締役がより実質的な役割を果たし、その機能を発揮することが重要であるとの問題意識があるにも関わらず、日本ではこれらのプラクティスが十分に積み上がっているとは思えず、課題をまだ多く抱えています。また、日本の上場会社の役員研修修実施率は社内取締役に対してまだまだ低いとされており、社外取締役の場合にはもっと低いのが現状です。※ 監督者としての役割を期待しているのであれば就任時に十分な知識を習得している必要があり、能力向上を目的とすることに重きが置く必要があります。

※2016年の経営法友会のアンケート調査の結果を要約するレポートでは、このような記載があります:「実施率は低いという印象が拭えない。・・・就任時に十分な知識を習得しているケースは稀であると考えられ、役員研修を実施しないことは、新任の取締役に対していささか酷ではないかとの感がある。」

持続的・中長期的成長を実現できる社会を目指すためにも、皆さんのさらなる意識改革が必要となります。

会社役員育成機構(BDTI)では一日国際ガバナンス塾で会社法、金商法、CGコード、財務、ケーススタディなど役員として基本的な知識を身につけるための研修をはじめ、英語版ガバナンス塾のBoot Camp、役員だけでなく現場の方々にも基礎的な会社法やコーポレートガバナンスを理解していただくためのeラーニングなど多様な研修を行っております。

令和2年第11回経済財政諮問会議・第41回未来投資会議合同会議資料(外部リンク)

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