トピックス
- 独立取締役が過半数を超える会社が85社に前月から1社増加(山田コンサル[4792])
- ボードプラクティスとパフォーマンス指標(ROE, ROA, トービンのq))と有意性のある正の相関は、
(実績ROEと正の相関)
- 女性取締役比率と実績ROE
- インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROE
(実績ROAと正の相関)
- インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROA
(トービンのqと正の相関)
- 独立取締役比率とトービンのq
- 顧問・相談役ファクターとトービンのq
(1)独立取締役比率のグループごとの分析で、今回の分析の特徴は次の通り。
- 独立取締役比率が過半数を超える会社数(東芝を除く)は、前月から1社増えて85社。独立取締役比率が過半数を超える会社Tobin’sQは高い(2.3 vs.全体平均1.7)を示す一方で、ROE(5.5% vs. 全体平均7.6%, 実績)とROA(2.0% vs.全体平均3.9%, 実績)は今回の調査では全体平均に比べて低くなった。この原因はCGに欠陥があるのか、リストラクチャリングによるのか、積極投資によるものなのか?
- 特に独立取締役比率を引き上げた会社とROE(実績)・ ROA(実績)・株式時価総額との関係性を分析する必要がある。
- 5 %未満のグループは政策保有株式が少なく、高いパフォーマンスを継続している。これは“オーナー株主”と他の投資家との目線の一致によるものとの仮説を立てることができる。
(2)ボードプラクティスと価値創造(3つのパフォーマンス指標(ROE, ROA, トービンのq))において有意性のある正の相関が確認されたのは、
(実績ROEと正の相関)
- 女性取締役比率と実績ROE
- インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROE
(実績ROAと正の相関)
- インセンティブ(報酬)プランファクターと実績ROA
(トービンのqと正の相関)
- 独立取締役比率とトービンのq
- 顧問・相談役ファクターとトービンのq
- 上記の結果はCGプラクティスの改善によるものか、一時的な収益の改善によるものか?あるいは、良い会社ほど他社のプラクティスをより早く真似ることによるものなのか?女性取締役数が「変えようとする意志」を反映しているという仮説を立てられるのではないか。
- 報酬委員会とROAが負の相関を示すなど、委員会設置やより良いプラクティス(独立社外取締役による委員会議長やメンバー構成)がパフォーマンス3指標に好影響を与えているかは見出せていない。
- 顧問・相談役ファクターはROAおよびTobins Qと有意性のある正の相関があった。しかし、多くの会社が顧問・相談役数を情報開示していない。質の高い会社ほど開示しているという仮説が立てられる。
詳しい資料はこちらから:2020.01 コーポレートガバナンス分析 CGと価値創造とのリンケージ
BDTIとMETRICALは、「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」を継続的に共同研究しているが、このほど時価総額約100億円超の約1,800社の上場会社について2020年1月末の分析結果をアップデートした。本分析では、CGプラクティスをボードプラクティスとアクションに分けて考えた場合、ボードプラクティス(取締役会の運営体系)とアクション(実際の企業行動)が価値の創造の指標とされるROE, ROA, トービンのqと有意性のある相関があるか、独立取締役比率と上記価値創造の指標との関係を分析している。
詳細は下記のウェブサイトをご参考にしてください。
松本 昭彦, CFA
Executive Director, Metrical Inc.