経産省第6回CGS研究会(5/25)のテーマはグループガバナンス

経産省CGS研究会の第6回テーマはグループガバナンスでした。
2017年10月~2018年5月に実施したグループガバナンスに関する企業ヒアリングをもとに、日本企業のグループ経営における現状と課題を整理しています。

以下配布資料より抜粋:

攻めのガバナンス
• 海外展開や事業分野の拡大に伴い、その時点その時点の判断で分社化等により子会社 を設立し、結果としてグループが形成されてきたため、必ずしも、グループ設計につ いて一貫した戦略性がなく、経営の効率性や全体最適が意識されていない(一部には、 こうした問題意識から、子会社数の削減など積極的な見直しを行っているところも)。
• 迅速な意思決定のために事業部門に権限委譲を進めた結果、事業部門の権限が強すぎ、 グループ全体として最適な経営資源の配分ができていない。(成長分野に経営資源が 配分されない、優先順位の低い事業では競合他社との競争に必要な経営資源も配分さ れないなど)

守りのガバナンス
• 経緯的な理由で子会社を設立してきたため、管理可能性(管理の実効性)を意識せず に多数の子会社を抱えることとなり、中核子会社を除き、本社の直接の管理が必ずし も十分にできていない(特にM&Aによる海外子会社)。
• リスクマネジメントや法務等に関する本社機能が弱く、事業部門ごと、子会社ごとに 管理を任せている一方で、子会社等における人的なリソース制約から、子会社等のリ スク管理が不十分(そのため、子会社においてコンプライアンス等に関する問題が発 生しやすい状況となっているのではないか)。

組織設計ごとの課題
【純粋持株会社】
• 純粋持株会社とした後も事業会社の経営に関与しすぎ、事業会社と持株会社で機能の 重複が生じているため、意思決定の迅速化という目的が果たせず、本来目指していた 全体最適が実現できていない。
【事業持株会社等】
• 事業部門ごとの経営評価が不十分で(投下資本に対する収益性の評価を行っていない など)、全体最適の観点からの事業ポートフォリオマネジメントが行われていない。 また、親会社の取締役会への付議事項が多く、意思決定に時間がかかる。

事業ポートフォリオに関する課題
• M&Aについては積極的に活用している企業が多く、連続赤字等の事業部門に対して一 定期間内に改善を求める、といった対応もある程度行われている(ただし、必ずしも 本社主導ということではなく、本社と事業部門の調整事項としているところが多い)。
• 一方、売却等による切り出しも含め、グループ全体での事業ポートフォリオの観点か ら、見直しに関する基準やプロセスを明確にして「仕組み」として運用している企業 はごく一部(商社等)。

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