経産省『価値協創ガイダンス』公表

経済産業省は、5月29日、『価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス -ESG・非財務情報と無形資産投資-』(価値協創ガイダンス)を公表しました。企業価値向上に向けて、企業経営者と投資家が対話を行い、経営戦略や非財務情報等の開示やそれらを評価する際の手引となるガイダンス(指針)と位置付けています。(説明資料)

ガイダンスの概要:(以下引用)

2017.07.07 会社役員育成機構(BDTI)の『国際ガバナンス塾』(一日役員研修プログラム)

本研修ではコーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるためのBDTIの役員研修、「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役 […]

2017.07.03 会社役員育成機構(BDTI)セミナー:『第三者委員会の設置から企業の信頼回復まで』

不祥事が起き第三者委員会が調査報告書を提出すると、そこで提案される再発防止策には、決まったように取締役会による監督強化と企業風土の改善が挙げられています。これは何も日本企業に限ったことではありません。

これら再発防止策は不祥事の防止・発見に本当に役立つのでしょうか。また、再発防止策は具体的にどのように展開され、取締役会のあり方はどう変わるのでしょうか。さらには、これらを他山の石として、不祥事を未然に防ぐ内部統制の構築することはできないでしょうか。

本セミナーでは、第三者委員会報告書格付け委員会で委員を務める久保利英明氏をお迎えし、数多くの再発防止策を調査したからこそ見えてくる、実効的な内部統制のポイントをお話頂きます。

また、米国で数多くの不祥事調査を担当した Shearman & Sterling 法律事務所のパートナーであるケネス・レブラン氏を迎えし、両国の経験を基に調査・再発防止策の日米における相違・類似点などについてご解説頂きます。

パネルディスカッションでは、同志社大学法科大学院教授のコリン・ジョーンズ氏や、当機構代表理事ニコラス・ベネシュを交え、当機構理事市川佐知子をモデレータとして、再発防止策の重要ポイント、取締役会の役割について議論します。

NHK:「相談役や顧問の業務内容は 東証で情報開示へ」

「企業の「相談役」や「顧問」について、政府は日本企業に特有の制度で経営への関与が不透明だという指摘を踏まえ、来年にも上場企業を対象に相談役らの業務内容などを開示させる、新たな制度を導入する方針を固めました。東京証券取引所が上場企業に提出を義務づけている企業統治に関する報告書の中に、相談役や顧問の業務内容や報酬、それに常勤・非常勤などの情報を記入する項目を新たに設けます。情報の開示は義務づけはしないものの、企業が「非開示」としたことがわかるような仕組みを検討します。…」

http://bit.ly/2rNzVGF

コーポレートガバナンス・コードを提唱した時から、開示を提案しているので、方向的に大賛成です。しかし、上記の記事に書かれているように「情報の開示は義務づけはしないものの、企業が「非開示」としたことがわかるような仕組みを検討します」にすれば、「開示」のインパクトは空洞化されてしまるおそれがあります。一番知りたい企業(つまり、相談役制度を廃止したくない企業)こそがどうなっているかわからないことになります。そもそも、事実上の役員報酬の続きですので、なぜ有価証券報告書で開示が義務づけられていないか、分かりづらいです。

スチュワードシップ・コードと日本企業年金基金

セコム企業年金基金は、2011年3月30日に『国連責任投資原則(国連PRI)』に署名したのに続き、2014年2月28日には金融庁が策定した「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」の受け入れを表明しました。現在に至るまでスチュワードシップ・コードを受け入れている唯一の(非金融系)事業法人系年金基金です。

同基金は、株式運用を委託している運用機関に対して、投資先企業に対するエンゲージメント活動への積極的な取り組みを推奨するとともに、活動の一環として行う議決権行使結果を公表しています。

議決権行使結果 (2016-2017年)
https://www.secom.co.jp/corporate/csr/pdf/201705_voting_rights.pdf

(2015-2016年)https://www.secom.co.jp/corporate/csr/pdf/201606_voting_rights.pdf

(出所:https://www.secom.co.jp/corporate/csr/stewardshipcode.html  )

翻って、他の700ぐらいの大企業の確定給付型の企業年金基金は、「わが社は従業員をとても大事にしている」といいながら、なぜスチュワートシップ・コードを受け入れないのでしょうか?

磯山友幸氏ブログ『東芝よ、日本の監査制度をコケにするのもたいがいにしろ なぜ誰も怒りを表明しないのか』

経済ジャーナリストの磯山友幸氏は、現代ビジネスと自身のブログにて、東芝が5月15日に監査法人からの監査意見を得ないまま2017年3月期の「連結業績概要」を発表した事について、「東芝一社の問題にとどまらず、日本の資本制度の根幹を問うている。』と厳しく指摘しています。