経済ジャーナリスト磯山友幸氏が、11月18日付の自身のブログで年金基金に「スチュワードシップ・コード」を導入させる動きが本格化してきたことを報告しています。
「厚労省は9月末に「スチュワードシップ検討会」という会合を設置した。北川哲雄・青山学院大学教授を座長に、委員は11人。それに厚生労働省の諏訪園健司年金担当審議官ら担当者、企業年金連合会の運用執行理事ら担当者が加わり、オブザーバーとして金融庁の田原泰雅企業開示課長が参加している。10月5日に初会合を開いた。
….
検討会は来年3月までに報告書をまとめる予定だ。
金融庁も来年6月の成長戦略の見直しに向けてスチュワードシップ・コード自体の改訂に着手している。厚労省の検討会の提言を受ける形で、スチュワードシップ・コードに、年金基金はどう行動すべきかという指針が盛り込まれる可能性は高い。
年金基金が本気で年金受益者の利益を第一に考えた行動を取り始めれば、日本のコーポレートガバナンスは大きく変わる。金融庁の幹部も「スチュワードシップ・コードを主要な年金基金が受け入れれば、ガバナンスは一気に向上する」とみる。」
「年金ガバナンスの重要性を訴えているニコラス・ベネシュ会社役員育成機構(BDTI)代表理事は、こう語る。「英国でも同じ事が問題になりました。スチュワードシップ・コードに魂を入れたのは年金基金だったのです。年金基金が本気になれば、その資金運用を受託する金融機関も本気になります。基金から『きちんと運用しないなら委託先を変える』と言われれば、受託している資金のサイズが大きいだけに、機関投資家は真っ青になって行動します」
アベノミクスの3本目の矢の中で、海外投資家に最も評価されたのが「コーポレートガバナンスの強化」だった。果たして、作った制度に魂を入れることができるのか。厚労省の検討会の議論の行方を注視したい。」