日本政策投資銀行『有価証券報告書における定性情報の分析と活用―リスクの多様化にともなう望ましい対話のあり方―』

「リスク情報と企業価値の関連性が強まる一方で、リスクの多様化によってステークホルダーとのコミュニケーションを図るための開示のあり方がいっそう難しくなってきている。[…]つまり「事業等のリスク」の信頼性をあげるために具体的、数字的な裏づけを求め過ぎることは、社会的なリスクを含めリスクが多様化していることから難しい場面が増加する。さらには個別リスクの対応に追われ、本当に重要なリスクの開示をためらうことで、かえって投資家に重要なリスクが伝わらず、企業のレジリエンスが十分に把握できなくなる危険性をはらんでいる。」

http://www.dbj.jp/ricf/pdf/research/DBJ_EconomicsToday_37_01.pdf

2016.08.29 会社役員育成機構(BDTI)セミナー『不正行為リスク:測定方法と低減策 ~ 「チーフ倫理オフィサー」の役割と日本における倫理基準ベンチマーク・プロジェクト』

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近年、「不正行為リスク」と「企業倫理」は規制当局、コンプライアンス・オフィサー、機関投資家の間で流行語になっています。企業にとって、はたして社内で不正行為が行われる可能性を測定することはできるのでしょうか? 何が企業風土を測定する最善慣行と考えられているでしょうか?従業員に対する分析的な調査によって、潜在的に問題になるかもしれない考えを探り出すことは可能なのでしょうか?

海外では、過去15年ほど、企業における不正行為と倫理違反行為のリスク測定やリスク管理の手法について多くの改善が見られており、企業内に専門の部署が設置されることはあります。海外ではこれらの手法を実際に活用するため、多くの企業が「チーフ倫理オフィサー」といった執行役員のポジションを作っています。こうしたポジションは日本ではほとんど見られませんが、海外の多くの組織では不可欠なものになってきており、BDTIでも日本企業にとって実効性のある役割ではないかと考えています。