経産省、顧問や相談役の企業経営への影響の実態調査

NHKニュースによると、経済産業省は、 顧問や相談役が企業経営にどのような影響を与えているか、国内の証券取引所に上場するすべての企業、およそ3500社を対象に、初めての実態調査に乗り出す方針を固めたと報道されています。
「調査では、顧問や相談役の人数や業務、報酬のほか、制度の廃止や報酬の削減を検討したことがあるかどうかなどを調べることにしています。また、今回の調査では、外部の目で経営を監督する社外取締役の活動状況や、今の経営トップがどのように後継者を選んでいるかも調べる方針です。経済産業省は、年内に調査結果をまとめ、これを基に、有識者らでつくる研究会で、より透明性の高い企業統治の実現に向けた具体策などを検討することにしています。」

顧問や相談役の企業経営への影響 初の実態調査へ

BDTI代表理事のニコラス・ベネシュは、以前から相談役や顧問が問題だと指摘してきました。

「顧問は企業にとって良いアドバイスをすることもありますが、自分達のレガシーを念頭に経営陣の決定に悪影響を与える事の方が遥かに多いです。(善管注意義務を負い訴訟される立場の役員ではないのに、、、)だから私は「幽霊役員」と呼んでいます。、、、、、(続く)

【BDTIウェブサイト-NEW機能】 ガバナンス関連書類の検索エンジン始動!

CG search

各企業のコーポレート・ガバナンス関連書類を簡単に検索できる新しい検索エンジンをBDTIウェブサイトに搭載しました!

  • 全上場企業の情報を早く簡単に検索!

東証1部・東証2部・ジャスダック・マザーズなどのあらゆる上場企業の適時開示速報、ガバナンス報告書、CGガイドライン、株主総会参考書類、議決権行使結果が簡単に検索できます。

  • 全てのドキュメントがhtml, xbrl, xsd, xml 形式でダウンロード可能!(開発中)

法人賛助会員の特典として、テキストを抽出してCSVファイルに簡単に落せるツール、ドキュメントを様々なフィアル形式でダウンロードすることが出来る機能などを開発中です。

是非、ガバナンス書類検索機能 をお試しください。

Jones Day:「少数株主のキャッシュ・アウトにおける株式取得価格に関する最高裁決定」

「最高裁判所(第一小法廷)は、平成28 年7 月1 日、公開買付け後に少数株主のキャッシュ・アウトのために行われた全部取得条項付種類株式の取得の価格決定につき、実務上大きな影響を与える決定(以下「本決定」といいます。)を下しました。

本件は、公開買付けに応じず、その後、全部取得条項付種類株式の取得によって強制的に株式を取得された少数株主が、公開買付価格と同額とされた当該株式の取得価格につき不満を示し、裁判所に対し、公正な取得価格の決定を申し立てた事案です(平成27 年5 月の改正会社法施行前において、普通株式を全部取得条項付種類株式に転換した上でこれを強制的に取得するという手法が、少数株主のキャッシュ・アウトのための手段として頻繁に使用されていました)。

2016.10.21 会社役員育成機構(BDTI)の『国際ガバナンス塾』(一日役員研修プログラム)

本研修ではコーポレートガバナンス・コードの提唱者であるニコラス・ベネシュを初め各分野の専門家が、取締役や監査役としての基本的な知識を身につけるための研修「国際ガバナンス塾」を定期的に開催しています。執行役・部長など役員を支える立場の方々にとっても、この知識は不可欠なものです。実例を参考にしたディスカッション形式を取り入れた活気ある研修を行い、ベストプラクティスを導くためのヒントを豊富にお伝えします!

講義内容
当日の講義には最新の動向を盛り込むため、一部内容を変更させていただく場合があります。予めご了承ください。 ※尚、お申込みいただいた方には、eラーニングコース「会社法」の6ヶ月使用権が付与されます。

Ⅰ.「役員力」:役員は何を、なぜ目指すべきか

大和総研レポート『米国のコーポレートガバナンス改革 ~大手企業と運用機関が共同で提言書を発表~』

大和総研常務執行役員 牧野正俊氏が、米国の著名投資家、運用機関のトップ、米国を代表する大手企業のCEO等で構成されたグループが7月に発表したコーポレート・ガバナンスのあり方についての提言書の内容を同社コラムにて紹介しています。

「株主の権利の平等という観点から、議決権種類株式の導入には否定的である。提言書は「議決権種類株式を導入している場合、企業は一定の時限措置等を採ることを検討すべきである」としている。2004年にグーグルが上場した際、創業者の議決権確保のために議決権種類株式が用いられたことがきっかけとなり、その後、IT関連企業が相次いで議決権種類株式を導入した。このような方法は、経営陣による長期的な視点に立った経営を可能にする一方、年金基金や機関投資家からの批判は少なくない。」

2016.10.05 会社役員育成機構(BDTI)セミナー『不可分となったサイバーセキュリティと経営』

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「お宅のサーバから攻撃を受けた。うちの企業秘密が盗まれた痕跡もある。説明と謝罪のため、大至急社長が来るように。」取引先からこのような連絡が来ることを想定していますか。近時、セキュリティ事故は大きなニュースになります。ところが、自社には盗まれるほど重要な情報はない、可能性の低いサイバー攻撃に手はかけられない、といった理由で、対策が二の次になっている例があります。対策の遅れた企業のサーバは、攻撃者の踏み台に利用され、他社への攻撃に使われることがあります。利用され被害者だったはずの企業が、他社への攻撃者になってしまうのです。冒頭の連絡をしてきた取引先との関係に亀裂が入ることは想像に難くありません。サイバーセキュリティは、今や事業活動に重大な影響を及ぼすリスクとなり、さらには企業の社会的責任の一環となり始めています。

経済産業省は、2015年12月「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を発表しました。その中では、経営者のリーダーシップの重要性が繰り返し説かれ、経営者が認識すべき3原則、担当者に指示すべき重要10項目が挙げられています。サーバ、ネットワーク、アプリなどに関する、この技術的・専門的分野で、技術者でなく経営者の責任が重要視されています。

コーポレートガバナンス国際比較法

8月上旬、東京大学法科大学院のサマースクールに参加した。今年のテーマはコーポレートガバナンス。様々な法域から訪日した7名の教授陣による国際比較法講座となり、さらには経済学からの視点も合わさって、大変興味深い内容であった。比較法で重要な軸となるのが「機能」。プリンシパル・エージェンシーコストのうち、株主・経営陣間にあるそれを軽減するという機能から見ると、独立取締役、敵対的TOB、proxy-fight、株主代表訴訟が同列に論じられるというのが、今更ながらに新鮮であった。

ドイツから来たハラルド・バウム教授は、BDTIのアドバイザーでもある。ドイツは、1861年から2層式のスーパーバイザリーボードという機関設計をとり、経営と監督の分離が確立している。しかし、監督者の多くは、経営陣や大株主と関係を持っており、さらには1976年からは従業員代表取締役も加わることとなって、さらに内部者色が強まった。経営陣や大株主から隔絶した「独立取締役」というアイデアは、創業家の影響力の前に、未だ浸透が進まないようである。詳しくは、バウム教授のレポート”The Rise of the Independent Director: A Historical and Comparative Perspective”を参考にされたい。

創業家の影響力については、日本の上場企業でも経営陣との対立を巡ってしばしば話題を呼ぶ。イギリスのメイ首相はコーポレートガバナンス規制の改革を表明し、ドイツ式の従業員代表取締役に感心を寄せている。今後、ドイツのコーポレートガバナンスが注目される機会が増えそうである。

スチュワードシップコードが実効的に機能するために、年金ガバナンス強化の具体策を提言する

年金ガバナンス強化はアベノミクスのガバナンス改革を完成するのに不可欠

コーポレートガバナンス・コードが最大限に機能するために、スチュワードシップ・コードは実効的に機能しなければなりません。いくら「建設的な対話」と唱えても、本来、ファンドマネジャーにとって対話活動及び議決権行使は「コスト・センター」であって手間暇がかかるので、そのファンドマネジャーの重要顧客がその活動を具体的に求めなければ、どちらかと言えば運用業者は手を抜いて表面上の行動で済ませがちです。

残念ながら、政府の努力にもかかわらず、日本ではこの「インベストメント・チェーン」には大きいな問題がまだ残っています。ファンドマネジャーの一番重要な顧客は年金基金です。多額の額の掛け金を定期的に委託してくれるのですから、神様のようなものです。年金基金がファンドマネジャーの選定に当たってスチュワードシップ活動およびESG分析が重要な基準であることを明確にすれば、あっという間に「建設的な対話」は半分PRようなものと思われている「コスト・センター」ではなくなります。

ところが、スチュワードシップコードの受け入れを表明した何百社の機関投資家の中には、何社の非金融上場企業の年金基金が含まれていると思いますか?現時点では、一社のみです(セコムの年金基金)。たった一社!これでは、同コードがそのフル・ポテンシャルを発揮するはずがありません。

日本政策投資銀行『リスク情報の統合開示―統合報告にみる新しい財務報告の視座―』

「会計は、この制度資本に該当しており、社会的共通資本としてのさらなる会計の役割の向上が期待されている。それは、次の(1)~(6)の試みによって実現可能となる。グローバルリスクに晒されている現代の企業は、(1)多種多様なリスクを識別・評価できるようにリスク情報を統合開示して、(2)価値創造プロセスに係わるビジネスモデルを明確化していなければならない。そのためには、(3)リスクマネジメントの強化が不可欠であり、(4)財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、自然資本および社会関連資本に分類される資本の増減または移転によるアウトカムの開示が、アウトプットの開示に加えて必要である。そうすることによって、(5)広範なステークホルダーを意識した情報開示への取り組みが促され、(6)サステナビリティ情報の開示を積極的に行うことができるようになる。」

http://www.dbj.jp/ricf/pdf/research/DBJ_EconomicsToday_36_07.pdf