平成28年4月13日に金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第5回)が開催されました。
「1.基本的な考え方
企業と株主・投資者との建設的な対話のためには、株主・投資者の必要とする企業情報が、全体として、適時に、効果的・効率的に開示されることが必要である。現在、我が国の企業情報の開示に関しては、証券取引所上場規則(以下「取引所規則」という。)・会社法・金融商品取引法に基づく3つの制度が整備されている。制度開示の年度の実務をみると、多くの企業が、事業年度末後の早い時期に、取引所規則に基づき、比較的詳細な情報を記載した決算短信を公表した後、株主総会の3週間程度前に会社法に基づく事業報告・計算書類を提供し、株主総会後に金融商品取引法に基づく有価証券報告書を開示している。また、企業はそれぞれ内容を工夫して制度開示を行うほか、任意の開示も行うことにより、多様な情報開示に取り組んでいる。
一方、欧米諸国の年度の制度開示の実務をみると、
・ 米国においては、早い時期に自由な様式で作成したアーニングリリースを公表し、その後、株主総会までに十分な期間を置いて、証券法に基づく詳細な年次報告書を開示するとともに、年次報告書をもとに作成した株主総会資料を提供している。
・ 欧州(イギリス、フランス、ドイツ)においては、同様に、早い時期に自由な様式で作成したアーニングリリースを公表し、その後、会社法に基づく株主総会資料と証券法に基づく年次報告書の内容を事実上1つの書類として作成し、株主総会までに十分な期間を置いて、詳細な情報を開示している。
建設的な対話の促進の要請や、このような欧米の状況も踏まえ、我が国の開示の現状を巡っては、機関投資家等から、
・ 上場会社は株主に対する情報提供を充実するため、株主総会の開催前に有価証券報告書を開示すべきである1。株主総会の開催前に有価証券報告書が事業報告・計算書類等と同時期に開示されれば、監査手続の効率化にも繋がる
・ 招集通知等の発送から株主総会開催日までの期間は、例えば英国では約4週間以上とされており、他の欧米諸国でも概ね同等の期間が確保されている。上場会社は、株主総会関連の日程を設定するに当たり、こうした国際的な水準を勘案すべきである2
・ 例えば、必要があれば株主総会の開催日を7月に遅らせるなど、株主が議案の十分な検討期間を確保できるように株主総会の日程を設定すべきである
・ 欧米の開示においては企業の経営方針・経営戦略や経営者による経営成績等の分析等の記載が充実しており、我が国においてもこのような記載が拡充されるようにし、対話の質の向上につなげるべきである
・ 特に海外投資家の眼から見ると、制度開示・任意開示を含めて、開示書類の数が多く、言葉の壁もあるので、これらを分かりやすくまとめたものが望まれる
上場会社からは、
・ 株主総会では、前事業年度までの業績を踏まえ、役員の選解任や経営計画の賛否等が決定されることから、決算期末から株主総会までの期間が長くなりすぎ、企業の意思決定に遅れが生じることは適当ではない3
・ 決算短信の記載内容が多く、「決算長信」となっていることから、その記載内容を合理化すべきではないか
・ 四半期決算短信と四半期報告書は重複箇所も多く、重複排除や一本化など見直しを検討すべきである
といった指摘がなされている。・・・・・・」
以下より配布資料が確認できます。
配布資料:
資料 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告(案)
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