スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議に係る意見~スチュワードシップ・コード実施に関するアンケート調査のご提案~

2015年10月20日
金融庁総務企画局企業開示課
(フォローアップ会議事務局)御中
スチュワードシップ・コード実施調査研究会*

スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードの
フォローアップ会議に係る意見
~スチュワードシップ・コード実施に関するアンケート調査のご提案~

1.趣旨
われわれは、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードの普及・定着が、わが国の成長戦略を実現させる上で必要不可欠だと確信しております。特に、資産保有者(アセット・オーナー)である年金基金等が、スチュワードシップ責任への積極的な取り組みを行うことが鍵を握ると考えています。

ところが、わが国の場合、年金基金等には資産運用関連の経験者が限られていたこと等の理由から、年金基金等が自らの判断で行うべき問題を運用委託先である運用機関に依存する形態をとらざるを得ない状況が続いてきました。年金基金等への人材供給や人材育成が進まない中では、「コンプライ・オア・エクスプレイン」というスチュワードシップ責任の新しい課題に直面することになった年金基金等は、以前にも増して運用機関に依存することになると懸念されます。

もとより、スチュワードシップ・コードは、機関投資家が、「責任ある機関投資家」として「顧客・受益者」に対してスチュワードシップ責任を果たすための諸原則であることから、「顧客・受益者」から資産運用を委託された機関投資家(資産保有者)の責任能力の向上が欠かせないと思います。資産保有者の責任意識・能力向上なくしては、資産保有者は、運用委託先である運用業者(ファンド・マネジャー)にスチュワードシップに関する個別具体的な指示およびガイドラインを提示することができないからです。その結果、運用業者は、コストがかかるスチュワードシップ活動に本腰を入れて取り組まないと思われます。(他国にもこの問題があります。) すなわち、行政には、年金基金等が年金ガバナンスを発揮して自立したスチュワードシップ責任を果たせるような施策を講じることが求められているのです。

そのため、年金ガバナンスの観点を踏まえて、資産保有者と運用機関の間でスチュワードシップ責任がどのように実施されているのかに関する調査を行うべきだと考えます。そして、スチュワードシップ・コード策定の手本となった先行する英国の実施状況との比較調査を通して、わが国の社会的な背景や、資産運用業界の実情に則した施策を検討し、資産保有者が「顧客・受益者」への責任を果たせるようにする必要があると考えます。

2.具体的なアンケート調査提案
当研究会では、添付資料にありますように、上記の趣旨を踏まえたスチュワードシップ・コードの実施状況に関するアンケート調査票(案)を作成しました。しかし、これは、現時点でのアンケート調査の検討案に過ぎません。いずれもっと上記の趣旨に合致するように大幅に改訂する予定です。

また、最近、イギリスのFRCとInvestment Association(IA) の担当者の協力を得て、IAが毎年イギリスで使っている調査票を入手しました。今年のIA調査結果およびその日本語の抄訳、また、「資産保有者」の重要性に関するFRCの意見の抄訳を添付します。

わが国の調査結果がなるべくIAの調査と比較可能な形にするため、われわれはこれから日本語のアンケート調査票(質問等)を再構成する予定です。しかし、実際にアンケート調査を行うに当たっては、スチュワードシップ・コード策定の主役である貴庁に調査票の配布・回収の音頭をとって頂かないと、回答は集まらないと考えています。従って、アンケート調査には貴庁のご協力は不可欠です。是非ご検討いただきたいと思います。

以上、よろしくお願いします。

*スチュワードシップ・コード実施調査研究会は、以下の組織・専門家によって組織された研究会です。
・Network for Sustainable Financial Markets (SFM Japan Working Group)
・公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)
・The German Institute for Japanese Studies (Director: Franz Waldenberger)
・日興リサーチセンター理事 宮井博

添付資料
アセットオーナー調査票https://bdti.or.jp/wp-content/uploads/2021/05/アセットオーナー調査票 例).pdf(例)
Investment Association Survey Report 2015抄訳.pdf
FRC Governance + Stewardship report 2015-抜粋の抄訳.pdf

意見書(PDF)

Investment Association Stewardship Code Survey Results

FRC- Corporate Governance and Stewardship

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