OECDコーポレート・ガバナンス原則と日本のコーポレート・ガバナンス・コードの制定

今週首相官邸がリリースした『「日本再興戦略 改訂2014-未来への挑戦-』http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbun2JP.pdf )[では、日本のコーポレート・ガバナンス・コードを制定することが決まって、以下のことに書いてあります。その中に「国際的にも評価が得られるもの」の基準の一つとして指摘されているOECDコーポレート・ガバナンス原則は、下記のリンクでダウンロード出来ます(この画面の左側の欄もご参照ください)。

日本語訳 http://bdti.mastertree.jp/f/4bdkcxz1

http://bit.ly/TrBesY 

英語 http://bit.ly/1jY1bHJ

『「日本再興戦略 改訂2014-未来への挑戦-』 の抜粋:

①「コーポレートガバナンス・コード」の策定等
コーポレートガバナンスは、企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みである。コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方を諸原則の形で取りまとめることは、持続的な企業価値向上のための自律的な対応を促すことを通じ、企業、投資家、ひいては経済全体にも寄与するものと考えられる。
こうした観点から、上場企業のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」を策定する。コードの策定に当たっては、東京証券取引所のコーポレートガバナンスに関する既存のルール・ガイダンス等や「OECDコーポレートガバナンス原則」を踏まえ、我が国企業の実情等にも沿い、国際的にも評価が得られるものとする。このため、東京証券取引所と金融庁を共同事務局とする有識者会議において、秋頃までを目途に基本的な考え方を取りまとめ、東京証券取引所が、来年の株主総会のシーズンに間に合うよう新たに「コーポレートガバナンス・コード」を策定することを支援する。新コードについては、東京証券取引所の上場規則により、上場企業に対して“Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)を求めるものとする。

p. 18

1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す
(1)企業が変わる
① 企業統治(コーポレートガバナンス)の強化
○「コーポレートガバナンス・コード」の策定
・持続的成長に向けた企業の自律的な取組を促すため、東京証券取引所が、新たに「コーポレートガバナンス・コード」を策定する。上場企業に対して、当該コードにある原則を実施するか、実施しない場合はその理由の説明を求める。
【来年の株主総会のシーズンに間に合うよう策定】 

 

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p. 30-31
(3)新たに講ずべき具体的施策
これまでの取組により企業の新事業へのチャレンジや収益性・生産性の向上に向けた機運が生まれつつあり、今後は、企業のこのような姿勢を更に後押しするため、これまで以上に新たな切り口の施策を強化する。
i)コーポレートガバナンスの強化、リスクマネーの供給促進、インベストメント・チェーンの高度化
生産性向上により企業収益を拡大し、それを賃金上昇や再投資、株主還元等につなげるためにも、グローバル企業を中心に資本コストを意識してコーポレートガバナンスを強化し、持続的な企業価値向上につなげることが重要である。
このためには、企業自身が果敢に取り組むことはもとより、様々な投資主体による長期的な価値創造を意識した、リターンを最終的に家計まで還元する一連の流れ(インベストメント・チェーン)の高度化、及び資金の出し手である金融機関等による借り手の経営改善・体質強化支援があいまって、企業の収益性・生産性向上の取組が総合的に進められる必要がある。
こうした取組による経済成長の成果を、雇用機会の拡大や賃金上昇、設備投資や配当の増加等を通じて経済全般に還元することにより、経済の好循環をさらに強固なものとすべきである。
このため、以下の施策を実施する。
①「コーポレートガバナンス・コード」の策定等
コーポレートガバナンスは、企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みである。コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方を諸原則の形で取りまとめることは、持続的な企業価値向上のための自律的な対応を促すことを通じ、企業、投資家、ひいては経済全体にも寄与するものと考えられる。
こうした観点から、上場企業のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」を策定する。コードの策定に当たっては、東京証券取引所のコーポレートガバナンスに関する既存のルール・ガイダンス等や「OECDコーポレートガバナンス原則」を踏まえ、我が国企業の実情等にも沿い、国際的にも評価が得られるものとする。このため、東京証券取引所と金融庁を共同事務局とする有識者会議において、秋頃までを目途に基本的な考え方を取りまとめ、東京証券取引所が、来年の株主総会のシーズンに間に合うよう新たに「コーポレートガバナンス・コード」を策定することを支援する。新コードについては、東京証券取引所の上場規則により、上場企業に対して“Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)を求めるものとする。
また、持ち合い株式の議決権行使の在り方についての検討を行うとともに、政策保有株式の保有目的の具体的な記載・説明が確保されるよう取組を進める。さらに、上場銀行、上場銀行持株会社について少なくとも1名以上、できうる限り複数の独立社外取締役導入を促す。また、上場銀行持株会社の100%出資銀行子会社に関しても、独立社外取締役の導入について検討するよう促す。

 

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(コーポレートガバナンスの強化)
日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である。特に、数年ぶりの好決算を実現した企業については、内部留保を貯め込むのではなく、新規の設備投資や、大胆な事業再編、M&Aなどに積極的に活用していくことが期待される。
昨年の成長戦略を受けて、これまでに日本版スチュワードシップコードの策定、社外取締役を選任しない企業に説明責任を課す会社法改正、さらには公的・準公的資金の運用の在り方の検討を通じて、投資家と企業の間で持続的な収益力・資本効率向上やガバナンス強化に向けた対話
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を深めるための取組等が緒についたところである。こうした中で、スチ
ュワードシップコードへの参加を表明する機関投資家や社外取締役の導
入を進める企業が続々と現れているうえ、本年の年初には、収益力が高
く投資家にとって魅力の高い会社で構成される新しい株価指数である
「JPX 日経インデックス400」の算出が開始されるなど、「稼ぐ力」向上
に向けた気運が高まりつつある。
今後は、企業に対するコーポレートガバナンスを発揮させる環境を更
に前進させ、企業の「稼ぐ力」の向上を具体的に進める段階に来た。こ
れまでの取組を踏まえて、各企業が、社外取締役の積極的な活用を具体
的に経営戦略の進化に結びつけていくとともに、長期的にどのような価
値創造を行い、どのようにして「稼ぐ力」を強化してグローバル競争に
打ち勝とうとしているのか、その方針を明確に指し示し、投資家との対
話を積極化していく必要がある。
同時に、銀行、機関投資家等の我が国の金融を担う各プレーヤーが、
長期的な価値創造と「稼ぐ力」の向上という大きな方向に向けて、それ
ぞれが企業とよい意味での緊張関係を保ち、積極的な役割を果たしてい
く必要がある。そのうち、銀行・商社等については、企業の新陳代謝を
支援する観点から、ファンド等を通じた民間ベースでのエクイティ、メ
ザニン・ファイナンス投資等への貢献も含む収益性を意識したリスクマ
ネー供給の促進、目利き・助言機能を発揮することが求められる。また、
公的・準公的資金の運用機関を含む機関投資家についても、適切なポー
トフォリオ管理と株主としてのガバナンス機能をより積極的に果たして
いくことが期待される。
こうした一連の取組を実行していくことで、企業収益の更なる拡大が
実現し、雇用機会の拡大、賃金の上昇、配当の増加という様々なチャネ
ルを通じて、脱デフレの果実が最終的に国民に還元される、真の好循環
が実現することとなる。

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