ACCJの意見書、「自由民主党の選挙公約の「日本の上場企業のコーポレート・ガバナンスの改革」の実現を要望」

ACCJ (在日米国商工会議所)のコーポレート・ガバナンス改革についての提言書が最近に発表されたので、その概要を掲載いたします。BDTIにとっては、(a)(iii)は興味深いです。尚、提言書は下記のリンクからダウンロードが出来ます。

「提言
先般の自由民主党(自民党)の政権復帰は、日本の金融市場の信頼回復と経済成長を促すことを目的とする包括的なコーポレート・ガバナンスの改革案を含む、積極的な政策を基盤とした政治運動が成功を収めた結果である。2012年11月27日付の「総合政策集」において、自民党は以下の公約を発表した。 

 「社外取締役の要件厳格化、上場会社における複数独
立取締役選任義務の明確化、会計監査人選任における監査役・独立取締役のあり方の見直し、公益通報制度の実効化、親子会社等に関する規律の法制化、監査法人・公認会計士制度の見直し、違法行為についての刑罰厳格化と「過去は問わない」一定期の自首による免責などを検討し、企業統治改革を推進します。」

在日米国商工会議所(ACCJ)は自民党がこの重要な方針を明確にした先見性を高く評価する。しかし、残念ながら、法務省の法制審議会会社法制部会(会社法制部会)は現在、特に社外取締役の義務化の要件の面において自民党の選挙公約とは程遠い、前政権によって取りまとめられた会社法の改正案を国会に提出しようとしている模様である。

ACCJは、自民党と安倍晋三首相が率いる日本政府が、国会に提出される予定の会社法の改正案に自民党自らが先の選挙運動にて掲げていた内容を盛り込む様、早急に行動することを要望する。

この観点から、ACCJは日本の法令に以下の(a)~(e)の具体的改正を加えることを提言する。
(a) グローバルなベスト・プラクティスに則った「独立社外取締役」の定義を盛り込むように、会社法を改正すること。
(b) 各上場企業が以下(i)~(iii)を実施するように、会社法、日本の金融庁および東京証券取引所(東証)等の証券取引所の規則に詳細な規定を加えること。
(i) 独立社外取締役の定義に一致している取締役または取締役候補者がいる場合、その一致する者を特定する。
(ii) 独立していると特定された各取締役または取締役候補者について、独立性を判断する際に会社の取締役会が検討した取引または関係を開示する。
(iii) 業務執行取締役に対する選任前の研修および全ての取締役に対する継続的教育に関して、取締役の研修にかかる会社の方針を開示する。

(c) 上場企業の取締役の少なくとも3分の1を独立社外取締役とすることを義務付けるよう会社法および日本の証券取引所の上場規則を改正すること。

(d) 取締役会が会社法第373条と同様に、特定事項に関する意思決定を独立社外取締役のみで構成される「特別取締役会」に法に則って委ねることができるように、会社法を改正すること。

(e) 自己利益および利益相反性のおそれが潜在的に高い類型として特定された取締役会決議事項について、少なくとも3名の独立社外取締役のみで構成される「特別取締役会」が利用されない場合、しかるべき善管注意義務および忠実義務の充足に関する立証責任を取締役に転換するように、会社法を改正すること。

(f) 監査役会設置会社の取締役会によって選任することができる「執行役」(代表権のあるCEOを含む)に関する法制度を整備すること。当該改正は委員会設置会社における執行役(会社法上の定義を参照)の法的義務、責任および潜在的な責任を含む法規と同様の
制度とすべきである。

またACCJは、会社法制部会の改正案が監査役に一定事項に関する議決権を与える第三のガバナンス・ストラクチャーの導入を含むことに注目する。最も効果を得るためには、かかるストラクチャーの導入が、先に概要を述べた方針を反映したコーポレート・ガバナンス・システムの義務付けを達成するための包括的プランの一部としての経過措置でない限り、この導入は効果がないばかりでなく、将来のより有益な改正を阻むものであるとACCJは考える。」

1 「J-ファイル2012 自民党総合政策集」、題名:「日本を取り戻
す」53ページ、 192項

http://www.accj.or.jp/images/130524_Calling_Upon_FDI.pdf
または
http://bit.ly/1aXMjpL 

 

 

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