RIETIレポート 『日本型コーポレート・ガバナンスはどこへ向かうのか?』 (アンケート・調査の結果が発表)

独立行政法人経済産業研究所(RIETI)のレポート『日本型コーポレート・ガバナンスはどこへ向かうのか?「日本企業のコーポレート・ガバナンスに関するアンケート」調査から読み解く』が6月に公表されました。

以下のような問題意識のもとに時系列比較、企業側と投資家側の見解比較などの分析がアンケート調査結果とあわせて掲載されています。

多様性-女性取締役比率と企業リターンの関係

6月28日の日経電子版に『候補者どう選ぶ 「女性役員1人」へ高まる外圧』と題する記事が掲載されました。安倍政権の成長戦略の中に女性活躍推進策として「上場企業に女性役員を少なくとも1人」という目標が掲げられていますが、上場企業ではまだ1.2%にとどまる女性取締役比率を海外の投資家はどのように評価し、日本の企業ではどのように受け止めているのか、興味深い内容になっています。

多様性ディスクを活用し、戦略的かつニーズに適合したボードの構成に

このフォーラムでもたびたびご紹介してまいりましたが、BDTIが監修させていただいた本、「戦略経営マニュアル - 取締役会を成功させる実践ツール集」(原題:”New Corporate Governance”) の著者、ザンクト・ガレン大学(スイス)のマルティン・ヒルブ教授は、企業戦略の策定、実行、監視(モニタリング)で成功する条件の一つとして、「多様性のあるボード」をあげています。

多くの日本企業はグローバルな事業展開を加速させていますが、ボードの構成をみると、ボードメンバーの多くが、①男性、②日本人、③少なくとも58才以上、④他の(大)企業の取締役会議長/社長であるか、以前そうだった者、⑤彼らを選んだ取締役会議長/社長の友人である、といったところがまだまだ多いのではないでしょうか。

今年の株主総会で注目される『企業価値を高める施策とその取り組み』への説明

野村証券シニアストラテジストの西山賢吾氏のレポート『13 年6 月株主総会プレビュー』が発表されました。

社外取締役の選任が大きく前進するほか、早期情報開示手法として進むウェブでの「招集通知の発送前開示」など今年の株主総会シーズンを前にその特色が分析されています。

レポートの全文は下記アドレスからダウンロードできます。
http://bit.ly/13DB0Qx

 

一橋大学での「コーポレート・ガバナンス講座」の面白い試験問題

BDTIの代表理事のベネシュです。実は現在、一橋大学のGlobal Education Programおよび国際大学のMBAコースでコーポレート・ガバナンスの授業を担当しています。過去に出題した試験問題のうち、皆様が興味を持たれると思ったものがいくつかありましたので、ここに掲載いたします(○ 、 ×問題です。)

BDTI事務局まで( info@bdti.or.jp)  までメールをお送りいただければ、回答・解説をお送りいたします。

海外日系企業の現地社員、日本人トップのリーダーシップに落第点

The Wall Street Journalより

「日本企業の海外現地法人のトップにとってショッキングなデータが発表された。部下が概して日本人の上司に厳しい評価を下しているのだ。

経営人材コンサルティングのエゴンゼンダーインターナショナル(スイス)が先月発表した日本企業のグローバルマネジメントに関する調査によると、日系企業 で経営職を経験した現地社員のほぼ9割が「現地法人のトップには、日本の本社から派遣された日本人よりも、現地採用の外国人幹部の方が望ましい」と回答し た。

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外国人管理職人数ランキングトップ62、首位は日本IBM58人、1人以上存在する企業はわずか112社

東洋経済オンラインより

「まず全体像からご紹介しよう。対象1117社のうち外国人管理職が存在した企業は112社と全体の10%だった。人数別では1人が50社、2人が28社、3人以上が34社。日本の大手企業では外国人管理職はかなり珍しい存在であると言えそうだ。

個別企業のランキングトップは日本IBMの58人。外資系企業だから当然という気もするが、管理職者数全体での比率はわずか0.9%にすぎない。部長職は34人、従業員136人と全体的に外国人数は多くない。

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みずほフィナンシャルグループ株主提案「役員研修の方針と実績の開示」

今年のみずほフィナンシャルグループの招集通知資料によると、株主提案として「役員研修の方針と実績の開示」が昨年に続き株主総会決議事項とされているようです。

昨年の提案は28%以上の賛成率を得ました。これは昨年の全上場企業の株主提案の中で4番目といわれる高い支持率です。「役員研修?、、当たり前ではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、昨年のみずほフィナンシャルグループの外国人投資家比率は18%しかなかったことを勘案すると、海外投資家ばかりでなく日本人投資家の中にも同様の問題意識を共有しこの株主提案を支持した方がいたと推測され、今年の動向が注目されます。

自民党の日本経済再生本部は「独立社外取締役の確実な導入」、「取締役の教育方針についての開示」、「株式持ち合い解消等」を提言 

中間提言書(5月10日)より              

「 D) コーポレートガバナンス強化
日本は、他の先進国に比べ、特定分野における同業者数が多く、同業者間の国内競争で消耗し、国際競争で敗北している、との指摘がある。しかし、むしろ問題なのは、業者が多い中、低収益率で甘んじる取締役、株主、融資先金融機関の存在である。本来であれば、経営者が低収益率のままの経営を継続した場合、株主代表たる取締役が企業再建、産業再編など、外部の目で厳しい指摘をし、企業経営の刷新と新陳代謝を起こさなければならない。独立社外取締役の確実な導入等により、そうした刷新と新陳代謝が自律的に起こるコーポレートガバナンスの強化が必要である。