自民党の日本経済再生本部は「独立社外取締役の確実な導入」、「取締役の教育方針についての開示」、「株式持ち合い解消等」を提言 

中間提言書(5月10日)より              

「 D) コーポレートガバナンス強化
日本は、他の先進国に比べ、特定分野における同業者数が多く、同業者間の国内競争で消耗し、国際競争で敗北している、との指摘がある。しかし、むしろ問題なのは、業者が多い中、低収益率で甘んじる取締役、株主、融資先金融機関の存在である。本来であれば、経営者が低収益率のままの経営を継続した場合、株主代表たる取締役が企業再建、産業再編など、外部の目で厳しい指摘をし、企業経営の刷新と新陳代謝を起こさなければならない。独立社外取締役の確実な導入等により、そうした刷新と新陳代謝が自律的に起こるコーポレートガバナンスの強化が必要である。

● 独立社外取締役の確実な導入
戦後日本経済の発展過程で示された日本的経営の優れた面を踏まえつつも、グローバル競争に打ち勝ち、企業価値と雇用の増大を図るためには、コーポレートガバナンスの一層の充実は不可欠である。そのためにも、取締役の監督機能、執行機能のうち、監督機能の一層の奏功を通じた業績向上や雇用の確保を通じた市場評価を高める観点を考慮すれば、独立社外取締役の導入、積極登用が不可欠である。公開会社に関しては、少なくとも一人の独立社外取締役導入を確実なものとするよう、政府において年内に適切な施策を講じることを要請する。

● 取締役の教育方針についての開示
取締役の能力情報を積極的に開示するため、①指名前の役員候補者への研修の実績、②全ての役員に対する教育、継続教育の提供、及び必要性の評価に関しての方針を開示することを誘導する(例えば、東証上場企業が提出しなければならないコーポレートガバナンス報告書記載事項に上記2つの内容を追加する等)。

E) 株式持ち合い解消等
株式持ち合いや、銀行資本による株式保有を通じた支配により、日本の企業は「ぬるま湯」的な経営風土に陥り、産業全体の新陳代謝が停滞している。ドイツの成功事例を見習い、持ち合い解消を促進し、「ぬるま湯」経営からの脱却により、経済活動の活発化を図る。

● 株式持ち合い解消、銀行の株式保有制限強化の検討
日本の企業を取り巻く環境においては、株式持ち合いの普及により、物言わぬ株主や、安定株主が多数を占め、その結果企業ガバナンスが機能せず、経営者にとっても低ROE 経営から脱却するインセンティブが希薄化している。その結果、企業の行動選好が、リスクテイクを行う投資よりも内部留保を選択する素地を形成してしまっている。その解決策として、同じ株式持ち合いの慣行のあったドイツが、その解消に成功し、産業の新陳代謝を成功させた事例にならい、日本の企業から株式持ち合いを解消することを図る必要がある。また、そうした株式持ち合い構造の重要な一端を担う銀行による株式保有については、禁止を含めその制限を強化することを検討する。」

https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf100_1.pdf
(5月10日、29-30頁)

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